�供ヌ楹个瓩茲噺討崟爾△蝓�Wachet auf, ruft uns die Stimme
魔方陣、薫り高き乳香、子山羊、鶏そして子犬の血によって女悪魔ゴモリーは2500年の眠りの後、再び地上に呼び戻されました。
黄金の王冠は彼女の赤毛を紅玉の糸のように輝かせ、艶かしい肢体に黒のシルクと白のレースの薄衣を纏い、その顔（かんばせ）は女皇帝の気高さの中に乙女の初々しさを秘め、双眸の奥からは伝承のリリスやラミアを思わせる色欲の炎を宿していました。
ゴモリーは、自らを召喚した者達に問いかけました、
「妾（わらわ）は汝らの答えし魔人なり、汝らは妾に何を望む？対価があらば応えて進ぜよう」
三人いた男達はゴモリーを見て明らかに狼狽している様子でした、一人は脂汗をたらたら流し、第二の男は目をつぶって目も口も閉ざし石の様に動かず、最後の三人目は何かの物陰を探し必死に隠れようとしていました。
やがて脂汗の男が何とか口を開きました、
「幹事長も副総理も見てください！成功しましたよ！これでなんとかなりますよ！」
「予定通りなら総理と副総理で予定通りやってくれ、俺は知らん、何も見てない」
石の様な寡黙だった男がそう答え、再び口を閉ざします。
隠れ損なった男がそれに反論しました、
「幹事長、それは酷い。彼方が展望の無い約束さえしなければ、こんな危ない橋を私も総理も渡らなかったんじゃないか！」
「知らん、君達で進めてくれ」
ゴモリーは再び男達に問いかけました。
「汝らが望むのは生身の女かえ？汝らは皆老いている様だが心配ない、若き頃の快楽（けらく）を取り戻すのも妾の御業（みわざ）なり。妾を呼び出すほどの錬金師ならばソロモン王の故事を知っておろう。対価によっては妾自ら、地上に居てはとても味わえぬ快楽を与えてやっても良いのだぞ。
・・・・それとも未来視（さきみ）を望むか？対価は高いぞよ？妻の不貞や同胞の裏切りと言った隠された過去を視るか？」
脂汗を流してる男が小声で答えました
「・・・・を・・・・探して・・・・ください」
「なんじゃ？聞こえぬもうそっとはっきり言うがよい」
「金の在り処を探してください・・・・」
脂汗の男の言葉に、動かぬ男も隠れようとした男も首を縦に振ります、
「なるほど、隠された金の在り処を探しておったのじゃな？よかろう探している額を申してみよ」
「・・・・16兆円です。」
「16兆円とな？望みはそれか、然らば少々待て」
ゴモリーは人知を超えた知識と過去視の御業を使い、金を探し始めました。
それと一緒に自分を呼び出した目の前の人間についても考えを巡らせました。自分を呼び出したからには大国の王か、あるいは大魔術師、大錬金師の系譜に連なる人物で、三人の内の一人は名家であるはずです。しかしながら、彼女を最初に支配したソロモン王の威厳はおろか、ヘルメス・トリスメスギスと言った過去に彼女を呼び出した導師の様な、智慧の深さも、男達から感じる事はありません。
そして彼らの望みである16兆円、それの在り処について、彼女が結論を出しました。
「はっ！この莫迦どもめが！106億ミナ（現在の単位で53万トンか）もの金塊ではないか！！」
ゴモリーのこの一喝に、脂汗と隠れていた男は驚きその場にへたり込み、目と口を閉じていた男も眼を開き、驚いて自分の心臓の上に手を置きました。
「良いか汝ら、人の子が上帝より地上に使わされて以来、人の子に与えられた金塊は29億ミナ（14万トン）に過ぎぬ。妾はおろか、上帝の力をも超える望みを求めてどうするのじゃ。世の全ての金塊を積んでも買えぬ物なら、欲するそのものを求めれば良かろう！」
「か、隠し財産を見つけなければ我々は皆破滅してしまします・・・・」
「存在せぬものに滅ぼされるとは、いと憐れな人の子なり」
その一言を告げるとゴモリーは三人の男の目の前から消えてしまいました。
ゴモリーはソロモン王に仕えた72柱の魔人の1柱、女性の愛を得る術を教える女悪魔。未来と過去を見通す力を持つといわれ、
更に隠された黄金＝埋蔵金を所在を告げてくれる、と神学者コラン・ド・プランシーは記録しております。
by 拓也 ◆mOrYeBoQbw
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