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2010年09月11日22:33

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ポーランドの至宝展@東京富士美術館

八王子の富士美術館に行ってきた。
『ポーランドの至宝』という企画展と充実しているという評判の常設展を観るためである。

さて、『ポーランドの至宝』だが、目玉はレンブラントということになるようだ。
ポスターにも使われている『額縁の中の少女』通称『レンブラントのモナリザ』は近年真作として認められたものらしい。本邦初公開となるらしい。額縁の中にいて、手が額からはみ出しているという、一種のだまし絵的な作品だ。
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ヘンリク・シェミラツキという人の『泉のほとり』という作品も色彩的でよかった。
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ただ、この企画展自体は残念ながら楽しめなかった。
作品云々以前に展示方法に疑問が残る。いろいろな事情があるとはいえ、全点ガラス張りの向こうに収められている。したがって、作品との距離感がある。少し離れてみるとガラスが回りを映し込んでしまう。ガラスに近寄ると、今度はそのガラスの汚れが目立ってしまう。しかも作品との距離感があるので、細かいタッチがわからない。どうにも痒いところに手が届かないといった展示だった。
というわけで、非常にストレスのたまる鑑賞となってしまった。

そういえば、ポーランドはホロコースト最大の犠牲者のあった国。意外に知られていない事実かもしれない。
そんなことにはこれっぽっちも触れられていなかったけどね。

で、気を取り直して常設展。こちらは通常の展示方法。ただ、やはり展示の仕方が上手くない。少し高めなので視線に無理が出てくる。ちなみに、企画展はさらに展示の位置が高かった。
コレクション自体は悪くはないが、評判になるほどかというと、そこまでのものかなあという印象。
それでも逸品と言えるものは少なからずある。
たとえば、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの『煙草を吸う男』の光と影のコントラストは素晴らしい。以前ラ・トゥール展を観たことがあるが、彼の作品ばかりだと飽きてしまう。ところが、ほかの画家の作品の中に彼の作品が一点でもあると、非常に存在感がある。今回もそういった印象だ。
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オフェルト・フリンクという人の『犬を抱く少女』もよい。
少女の切なげな表情が印象的だ。犬を拾ってきて飼いたいと思っていたところをお母さんにダメ出しされた、というようなストーリーを考えたくなる。もの言いたげなつぶらな瞳と、その可憐な表情で人の心を打つ。
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そして、特筆すべきはウィリアム・アドルフ・ブーグローの『漁師の娘』だ。印象派と同時代のアカデミズムの画家だが、写実的という点ですごい技術を持っている。ここまで高度な技術だとそれ自体が人の心を動かすのだなと思う。西洋美術館の常設展で『少女』という優れた作品を観て以来すっかりファンになってしまった。
実は今回行ってみたのも彼の作品が目的でもあったのだ。
これだけでも行く価値はあると思う。
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ただ、八王子駅からバスというアクセスの悪さが難だ。
全体的に何だか惜しい美術館という印象。
そう考えると、上野の西洋美術館の展示がいかに上手いかということを実感する。民間のBunkamuraもかなりレベルが高い。そうしたところと比べてしまうと、一枚落ちるのは否定できない。
今後に期待とというところか。
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