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2010年03月09日22:56

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没後400年 特別展 長谷川等伯@東京国立博物館

ルノアール展はオリンピック女子フィギュアフリースタイル放映中、長谷川等伯展は本日みぞれ交じりの寒い平日、混雑を避けて行ってきました。恐れていた入場制限もなく、比較的ゆったりと観られましたが、大きな屏風は下がって全体像を観ようとするとどうしても人影に遮られてしまいました。ううむ、仕方がないか。ここ数年は、若冲や等伯、蕭白といった日本天才絵師ブームのようです。

http://www.tohaku400th.jp/index.html

水墨画の最高峰「松林図屏風」、金碧障壁画の至宝「楓図」を描き、あの狩野永徳をも脅かした桃山絵画の巨匠「長谷川等伯」(1539〜1610)。没後400年の記念すべき年に、国内に存在するほぼすべての等伯の作品を、一挙に公開する「史上最大にして最上の大回顧展」とのこと。前評判がすごいです。

ちょうど先日のNHK教育「日曜美術館」でやっていたので、予備知識を入れての鑑賞。長谷川等伯、波乱万丈の人生を送ったようで、その点から観てもなかなか楽しめました。

第1章 能登の絵仏師・長谷川信春
能登に生まれた等伯、上洛前は信春と名乗って、法華宗の仏画を描いていました。とても精緻で、眼を凝らしてみるのが楽しく、遅々として進まない行列に却って感謝。
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画像はありませんが、石川県妙成寺の「仏涅槃図」には、“等伯ならでは”ともいうべき猫が描かれていました(詳しくは第5章で触れます)。右下の方、猿の下、麒麟の右隣りに小さく猫の絵。キジトラ白で、尻尾を身体に巻き付け、四肢をきちんとしまって伏せ、顔をやや上にあげて目を瞑り、静かに釈迦の入滅を悲しんでいました。そうなんです、涅槃図は多くの弟子の下方に沢山の動物も釈迦入滅を悲しみ集まっている様子が描かれるのですが、通常猫はいません。でも等伯の描く涅槃図にはちゃんと登場するのですね。等伯は猫好きだったのかしら。干支にも入れてもらえなかった猫なだけにうれしいです。

第2章 転機のとき―上洛、等伯の誕生―
30代にして上洛。狩野派などから貪欲に絵を学び、かつ大胆な自己アピール。それがこの「山水図襖絵」
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すごいエピソードがあります。
「等伯は、大徳寺塔頭三玄院住職に、法殿に襖絵を描くことを切望していたのですが許されませんでした。そこである日、住職が留守と知った等伯は無断で部屋に駆け上がり、一気呵成に見事な山水図を描ききってしまったといいます。一見、無謀ともいえるこの行動が吉と出て、南禅寺、妙心寺など大寺院の障壁画制作につながっていきました。」
銀色の五七桐紋の上に余白を生かした墨痕鮮やかな山水図。紋の桐が降りそそぐ雪のよう。即興画の極み、現代アートのインスタレーションのようです。びっくり〜

第3章 等伯をめぐる人々―肖像画―
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第4章 桃山謳歌―金碧画―
いよいよ狩野派との対決!ここでは国宝2点「楓図壁貼付」と「松に秋草図屏風」が登場。絢爛豪華、すごい迫力です。
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個人的に気に入ったのはこちら。「萩芒図屏風」
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同じモチーフの繰り返しの方が、描くのは難しいんじゃないかな。

「波濤図」もよかった!
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まばゆいばかりの金雲から垣間見える直線の岩に砕け散る曲線の波。息をのみました。

第5章 信仰のあかし―本法寺と等伯―
ここの目玉は何と言っても、三代涅槃図のひとつ本法寺の大涅槃図です。
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ここにも第1章でふれた猫が描かれているのですが、これ観たさに、私、3年前京都に行っています。

それがこちらの日記
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=377109287&owner_id=2083345

3年ぶりの再会にいささか興奮。もちろん何よりも今回同行した夫に見せたくて(3年前は夫は留守番だったのです)。猫は今度は左下に描かれています。同じくキジトラ白。瞑想するかのように瞳を閉じています。釈迦の周りでは弟子たちがそれぞれ身をよじって嘆き悲しんでいるのですが、動物たちの悲しみ方は静かで控えめです。釈迦の入滅の悲しみを押さえて、釈迦の教えを噛みしめているようで、ある意味弟子たちよりも崇高な魂を感じます。動物好きの欲目?いえいえ、やはり、等伯が動物絵師と言われる所以でしょう。

第6章 墨の魔術師―水墨画への傾倒―
金碧画もいいですが、水墨画もまた見応えありでした。特に晩年の水墨画、特に動物を描いた水墨画がいいです。ここでは、前期と後期の展示入れ替えがあってリスト全部の作品が見られないのはちょっと残念でした。ふわふわのお猿さんも凛々しい烏もとにかくいい!そういえば出光美術館で見た虎も良かったものなぁ!(前期展示とのことで今回はみられず) 
猫はいないのかなと捜したら、ありました、「禅宗祖師図襖」の中に猫!ただし、実はとても残酷な話で、僧南泉普願が争う僧徒を諌めるため猫を切断しようとしている図なんです。首根っこをつかまれ、目をむいてびっくりしている猫、可哀そうだけれど何とも愛くるしい。等伯は本当に動物が上手です。

第7章 松林図の世界
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国宝「松林図屏風」。東博の常設展示で何度も観ていますが、溜息が出る素晴らしさです。霧を描いていないのに明らかに霧が立ち込めているこの空気感、湿度。「日本の水墨画はこれだぜっ!」と胸を張って中国人につきつける事が出来る(笑)作品です。あまりすごいので多くは語れないなぁ。

22日まで。4月には京都国立博物館で開催。


これで帰宅するはずだったのですが、有給休暇を取った夫と一緒だったので、日本橋三越に岩合光昭写真展「ねこ」を再度観に行きました。平日&みぞれという事でこちらも混雑を避けることができました。


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