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2009年09月22日22:51

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鴻池朋子展@オペラシティ・アートギャラリー

今日はオペラシティ・アートギャラリーで鴻池朋子女史の展覧会を観てきた。
「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」と題された展覧会。
観たいなと思いつつ、なかなか行けず、とっくに終わってしまったのだろうと勝手に決め付けていたら、まだやっていた。ラッキーだった。。。

いつだったか何かの展覧会のポスターでこの人の作品が使われていて、すごいインパクトがあったのだ。作家の名前は忘れてしまったのだが、その作品は強く印象に残っていた。今回の展覧会のチラシを見て、その作品が出展されていたことから、やっと作者と作品が一致した。
それが物語シリーズという連作のひとつ『第4章 帰還 シリウスの曳航』という作品(後に写真掲載)。

人間の心を地球になぞらえ、その中心に向かって旅をするという形でプログラミングされている。想像力を豊かに創造の世界で遊べということかもしれない。観客それぞれが「インタートラベラー(異なる世界を相互に往還し、境界をまたぐ人)」となって脳内世界を巡るのだ。

まず、中に入った瞬間、この展覧会は「観なければならない」ものだったことを知った。山に人間の顔が浮かぶ襖絵を観たとき、背中がざわつき鳥肌が立つのを感じた。

そして、女史は『みみお』というモノクロの絵本を描いている。
          フォト

毛玉のような「みみお」には顔がない。顔を決められないままスタートし、結局「顔は借物だから」と顔のないままで行くことにしたという。結果的にこれは成功だったのではないかと思う。顔がないゆえに仕種の表情が豊かなのだ。「世界は密やかで すばらしく 謎につつまれている」というのがテーマのようだ。春から冬にかけて、みみおの冒険を通じて、生と死そして再生を描く。すばらしい作品だ。
この絵本の原画が展示されていた。
また、みみおを主役にした映像作品(アニメーション)もあり、これも観るべきものだった。

そして、気になっていた物語シリーズの部屋。四方の壁を4枚の大作が飾る。(写真はいずれも部分)
『第1章』
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『第2章 巨人』
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『第3章 遭難』
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『第4章 帰還 シリウスの曳航』
     フォト

素晴らしすぎる。精密なタッチと画面の迫力に圧倒される。
これも再生を描いた神話的世界なのだろう。第4章のオオカミの群れから少女の脚が突き出た構図が印象的だ。第3章では後ろ足が少女のオオカミが多数宙を舞っている。第2章では竜巻がオオカミを成し、その中に少女の脚が見える。第1章はそれとわかる生物の姿はなく、誕生前夜なのだろう。
実はこの作品、連作となっているが、作成された順は第4章から逆行している。時間軸と進行が反比例していることで、どこか捻じれている感覚がするのかもしれない。
中央にカサブランカの生花が飾られ、これが第0章になるのだそうだ。部屋に入った瞬間にカサブランカが香る。
少なくともこの部屋に20分くらいは留まっていただろう。

次に3点の襖絵。
巨大な髑髏。人間の下半身を持つアゲハ蝶。後ろ足が人間のオオカミ。
この襖絵、及び展覧会概要については以下のURLを参照されたい。
http://www.operacity.jp/ag/exh108/index.html

他にも赤ん坊の頭の巨大なオブジェがあり、これがゆっくり回転することで、部屋が回転しているかのような錯覚を感じる。自己の存在に対する不安が募る。これは創造と破壊、死と再生ということなのだろう。

素晴らしい展覧会だ。現代アートなのだろうが、誤解を招くことを恐れずに言えば、非常にわかりやすい。難解ではなく、自己完結でもなく、無味乾燥な前衛でもなく、技法のための技法でもない。すんなりその世界に入っていくことができる。こういう現代アートなら悪くない。

最後にイメージキャラ(?)のインタートラベラー(下半身だけの女の子)を撮影してきた。
          フォト

ここではインタートラベラーと一緒に撮影できる。自分の股の間に挟んで写している人を見て「品がないなあ」なんて言っていたのだが、自分では隣に座って彼女の腿をすりすりしながら写ってしまった。「この方がよっぽど品がないと思う」とたぬ〜に言われてしまった。
この写真は倫理上の問題があると判断し掲載するのを止めておく。

素晴らしい、と言っておきながら何なのだが、会期は9/27(日)まで。
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