皆さん、あけましておめでとうございます。
2009年は多くの人にとってあまりハッピーな年ではないということは疑いがないんだけど、せっかくだから新年くらいはハッピーに迎えたい。
ということで、我が家の年越しはオーランドのリゾートに滞在して、ディズニーワールドで迎えることに。
なんていうと格好いいけど、実はかみさんが近所のスーパーで勧誘された格安パッケージ。
安すぎると思っていたら、案の定、滞在するリゾート物件の売り込みのプレゼンテーションに付き合うのが条件。
午前中に二枚舌のセールスパーソンの波状攻撃をはねのけて、ディズニーのタダ券をゲット。
お昼にはエプコットセンターに到着。
大晦日だからガラガラじゃないかと思っていたのは浅はかな私だけ。
着いてみたら、ひたすら人、人、人...
人ごみが人一倍苦手な私は、思わずそこで踵を返したくなるけど、ここは家族のためと踏ん張る。
でも...
人が多すぎて歩けないじゃん。
腹が減っているので、先ずはメキシコ・パビリオンのレストランでタコスでもと人ごみをかき分けていってみたけど、今日は予約で一杯だとむげに断られた。
まさかディスニーワールドのレストランに予約がいるとは思わんかったよ。
それで隣のノルウェーに行ったけど、ここもアウト。
結局、行列の短そうなマクドのフレンチフライとチキンナゲットで我慢することに。
ようやく腹が埋まったのが3時近く。
やべー、昼飯確保に2時間も費やしちまった。
で、腹が埋まったところで、こんどはトイレってことになったんだけど、ここでもまた行列。
ようやく用も足して、アトラクションに。
でも、待ち時間120分とか200分とか書いてあるじゃん。
ファストパスというのがあるところは、予約しておいて指定の時間に戻ってくれば優先して入れてくれるらしい。
で、試してみたら、7時半に戻って来てねっていうカードが出て来た。
あのー、今3時半なんですけど。
結局、あきらめて行列に加わることに。
でも、あれだけ待たされると、普段は気の小さい善良な市民のボクもちょっと凶暴な気分になって、暴動を煽りたくなる。
なるほど、共産圏崩壊の原因は行列にあったかと思って、あたりを見回すとみんな辛抱強く待っている。
えー。普段は信号待ちさえ我慢できないような人たちが、どうしたらこんなに忍耐強くなれんの?
実は、いくら遊園地嫌いの私もテーマパークを経験するのは初めてじゃない。
東京ディズニーにもオーランドのテーマパークにも行ったことがある。
誘ってくれた人たちには悪いけど、その時はこれは巨大なジョークだなとしか思えなかった。
最新の科学や技術と巨額の資金を投じて、広大な空間を大衆娯楽施設として作り替える。
これだけエネルギーをこんなくだらない目的に注ぎ込めるのが米国のスゴいところでもあり、ダメなところ。
いくら日本人や他の国の人が真似しようとしても、真似しきれないし、真似してもしゃーない、なんて知ったようなことを言いたくなる。
それでも、楽しければいいじゃんと言えたのだけど、今回の大晦日のエプコットはどう見ても皆楽しむような環境じゃないような気がする。
へろへろになった子供を親が担ぎながら並んでいるのを見るのはむしろかなり悲劇的だ。
パッと思い浮かんだのは難民キャンプ。
なんていうと難民キャンプを知っている人たちに怒られてしまうけど、不十分な食料供給に不十分な衛生施設、狭いスペースに鶏のように詰め込まれた人の群れ、というのは共通している。
違いは、ここにいる人たちは、明らかにこうしていることが良い時間の過ごし方であると信じている。
なんだか、ちょっと宗教的な献身を感じずにはいられない。
きっとディズニーワールドとかその類いのテーマパークは、グローバル消費主義という宗教のメッカなのだ。
メッカへの巡礼には宗教心と娯楽への欲求が絡まっているとすると、ここに世界中から集まった人たちはまさに巡礼者だ。
ながーい行列も、その終わりに何らかの奇跡が期待できるのであれば我慢できる。
そして、奇跡は必ず起きる。お約束のように起きる。
最新の科学と技術を駆使したアトラクションが我々の感性をマニピュレートして、普段は体験できないような経験を味わせてくれる。
しかも、宗教儀式と同じで、そこで起こることは日常からは切り離されている。
例えば、一応エプコットセンターは我々の住む地球というのがテーマなので、環境保護を訴えるアトラクションがある。
ディズニーのキャラクターなんかが、我々人間が自然の均衡をいかに乱しているかを説明してくれる。
でも、フロリダ半島の真ん中に、森林を伐採して、湿地を埋め立て、年中大量の消費者を世界中から呼び込んで、毎日大量のゴミを吐き出している娯楽センターで、こんなお説教を聞くのは明らかに変だ。
結局、環境問題と我々の日常の行為が切り離されてしまっているのだ。
そんな難しいこと言わずに、宗教なら宗教として巡礼者になりきって楽しむことも一つの方法である。
でも、宗教的な献身を欠く我が家族は、せっかくの奇跡のありがたみを素直に味わえない。
3つか4つのアトラクションで行列しただけで、ヘタレな親子はもうあきらめムード。
そいで、最後の「スペース・ミッション」って奴で、いちばん張り切っていたかみさんが乗り物酔い(?)でダウン。
ゲロ吐きそうなかみさんを抱えて、年越しカウントダウンの花火を待たずに早々にホテルへ退散。
結局、ホテルの部屋でボロぞうきんのように新年を迎えることに。
これ以上悪くなりようがない最悪の年越しと相成りました。
それで、新年早々の学んだ教訓がひとつ。
信心を欠く者 巡礼に出るべからず。
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