NHK朝ドラ「あんぱん」
第22週 愛するカタチ
【たまるかーハウスに珍客襲来】
嵩の詩集「愛する歌」を読んでファンレターをくれた小学4年の少女、中里佳保(はちきんのぶの幼少期を演じた永瀬ゆずなちゃんが再登場)が、祖父と一緒に嵩の家を訪ねて来た。
このこましゃくれた毒舌少女、まさしく本作の脚本家中園ミホがモデル。
少女は詩や創作を愛し洋画も大好きで、蘭子とも意気投合。「ローマの休日」のグレゴリー・ペックが背が高くてお父さんに似てるから好きだという。
そして、嵩の詩の中で好きな詩が蘭子と同じだった。
《手のひらの上のかなしみ》
手のひらの上に淡い悲しみがこぼれる
握りしめればうす蒼く
その手のひらににじむ遠い思い出
まばたいてすぎた懐かしい愛の日
指先に今も残る幸せな思い出
中園ミホの父は戦時中予科練に入隊、戦闘機に乗るべく訓練中に爆撃を受け両手の指を何本も失う大けがを負った。
それでも戦後は文筆家を志し上京してフリーのジャーナリストになった。母とはモデルか役者のオーディション会場で出会い結婚。貧しいながらも映画や芸術に精通し文化的な家庭を築いていた。がかつての負傷が元でハードな労働はできなくなり早くに亡くなっている。(NHKファミリーヒストリー「中園ミホ」より)
ミホは大好きな父が死んでからあれほど好きだった創作を一切しなくなってしまったという。それを心配した母親がやなせたかしに相談の手紙を出したらやなせ本人から返事が来たという。それがきっかけかどうかはわからないけど、ミホ自身やなせたかしと長年文通していたとか。不思議なご縁があったんだね。
ミホの父は負傷の影響でさまざまな体の機能障害に苦しんだ。とはいえ明るくユーモアのある人で、なんで指がないの?と子どもに聞かれると、「お腹がすいたから食べちゃった」とか「お腹をすかしたライオンに食べさせてあげたんだ」とか言っていたとか。
そんな父を見ていたから《手のひらの上の悲しみ》という詩が彼女には刺さるのもしれない。
ミホは母が買ってくれたやなせたかしの「愛する歌」という詩集のなかで、この詩に救われたとも語っている。父の死を受け入れた瞬間だったという。
たったひとりで生まれてきて
たったふひとりで死んでいく
人間なんてさみしいね
人間なんておかしいね
やがてミホは再び詩を書き始める。父の死についてもこんな詩を書き残す。
神様がレールを敷いた
そのレールの上をとうさまがキチンとのっかって
しずかにしずかにいねむりしながら天国にいっちまった
帰りのきっぷを買うのを忘れてだよ
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