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2026年09月19日12:16

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ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか

9月も半ばになり、マイケルジャクソンの映画はまだやっている。(「国宝」なんか半年以上やっていたけどね)。が今週からクリストファー・ノーラン監督の「オデュッセイア」が話題沸騰、MJと入れ替わるのかも。
一方で「急に具合が悪くなる」は大手映画館では公開されて2週間で打ち切りとなり、まだやっている映画館を捜すのに苦労した。
この映画「ネルソンさん・・」も大手映画館では上映がなく、大阪は一か所だけのようだ。「急に具合が・・」は見れなくて苦労したので、今度はちゃんと予約して行った。
初めての映画館kino cinema心斎橋は、アメ村のBIGSTEP4階。ライブホールBIGCATの隣にあった。平日なのにほぼ満席(予約しといてよかった)。そんなに人気の映画?いや違う。人気ないからすぐに上映終了となってしまう。みんなが見に行けば上映継続となる。だから戦争反対の平和を訴える人たち(九条を守る会とかICANとか日本被団協とか)が行動を起こしているのかもしれない。実際SNSに署名活動の案内も送られてきた。だから私もこの映画のことを知ったわけだが。
おりしも、高市政権が着々と戦争の準備中(軍事費大増額中)と言われる中、沖縄知事選で現職デニー知事が敗れ、自民党の古謝氏が当選した絶妙なタイミングでもある。

塚本晋也監督映画「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」Mr.Nelson, Did you kill people?
https://nelsonsan.jp/
長いタイトルだがタイトルだけ見ると殺人のことを問いかけているのだとわかる。この問いはベトナム帰還兵ネルソン氏への少女からの率直な問いである。子どものころから殺人は重い罪だと教えられる。人を殺すなんてよほどの事情があったか精神が異常な人がやることだと普通は思うだろう。しかしこれが戦争だと大量に人を殺しても罪にはならず、逆に人殺しはいやだからと兵役を逃れようとすると国家反逆罪で罪人とされる。この真逆のダブルスタンダードをタイトルで示しているのだろう。
そしてその問いは、ネルソンがカウンセリングを受ける医師(ジェフリー・ラッシュ)の執拗な問いに引き継がれる。
「ネルソンさん、あなたは『何故』人を殺しましたか?」その『何故』(Why)の答えを求めて彼は戦争体験を話し続けることになる。
彼が軍隊で叩きこまれたのはたった3つ「考えるな」「服従せよ」「殺せ」。実際戦場に出て、いちいち考えていたら殺せないし殺される。何故殺したのかと言われても「だってそれが戦争だから」と思考停止してしまう。そこをジェフリー・ラッシュは何度もしつこく質問するのだ。
これは私たちへの質問でもあるのだと思う。

同監督の「野火」でも、戦闘で頭部やあちこちが吹っ飛び人がみな肉の塊になる様子が描かれ、死肉にウジがわくのをみてエグイと思ったが、この映画でもそこはすごくリアリティを追求していて迫力があった。死体のニオイまでしてきそう。
そもそも帰還兵のPTSDを扱った映画だからほぼネルソンの回想シーンなのだが、実際にネルソンが体験したことを観客も傍観するのではなくて体験する。ドキュメンタリーとは違い映画館で観るべきと思った。脚本もよくできている。ラストでは胸がいっぱいになり泣いてしまう。

ベトナム戦争時の沖縄のことも描かれていて、米兵の蛮行に苦しむ沖縄県民の怒りと苦しみがよくわかる。米兵が殺しに行くベトナム人と、派兵拠点になった沖縄の日本人は彼らにとっては同じ扱い(憎むべきアジア人として)だったのだな(同盟国なのに)、と思い知らされた。
沖縄の苦しみは映画「宝島」でも具体的に描かれていたけれど「宝島」はエンタメ色が強かった。多くの人に見てもらうためには内容が面白く興行的にも成功しないといけないのだろう。だが「宝島」も興行的にはいまいちだった。それは「国宝」の異例のヒットのせいだとも言われている。
でも、(戦争反対を訴える映画に正統派とか亜流とかどこで線引きをするのかわからないけれど)結局こういう表現を通じて声をあげたり無知な人たちに広めていくしかないと思う。

先日「蟻の兵隊」を十三の第七芸術で観たときに、池谷監督が、「主人公の(中国残留兵)奥村さんは国に見捨てられた被害者ですが、同時に、中国人を殺した加害者でもある。その両面から考えないといけない」と言っていた。この映画でも同じことがいえる。
戦争は被害者を生むだけでなく加害者も生む。そして加害者は戦争が終わってもPTSDなどに苦しみ被害者になる(一生を台無しにする)。この連鎖は戦争をしないことでしか止められない。




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