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2026年06月07日22:54

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AIは『箱の中の羊』

関東東海も梅雨入りしたらしい。
雨なので映画でも、と言われ見にいった。
是枝裕和監督の最新作をやっているのは知っていたが主演の大悟が嫌いなので見たいと思わなかった。のだが・・

広島(岡山)出身で工務店の社長(棟梁)という役柄なので、広島出身の綾瀬はるかとの夫婦役を自然体で演じているのが高評価なようだが、ワタシ的には大悟の下品さが、オシャレな邸宅や物語の舞台の鎌倉とミスマッチな気がして・・
父親役が福山雅治かリリーフランキーの方がしっくりくる気がした。

子どもを失ったことで自分を責める感情、誰かのせいにしたい感情が深い闇となり、夫婦関係も親兄弟との関係もおかしくなって行く。

事件に巻き込まれたり不慮の事故や震災などで子を亡くした場合も、親の心の闇は共通だと思う。

その闇を照らし喪失感を埋める存在として開発されたヒューマノイド。彼らは賜物なのか脅威なのか。

フォト


実際そういう絵本があるのか知らないが、母(綾瀬はるか)が7歳の息子に読み聞かせる絵本のおはなしが、この映画のテーマだろうか。
主人公が、羊を描いてという相手の希望にそって雄や雌や子どもや年寄りいろんな羊の絵を描くが、どれも相手が思っている姿形の羊ではないと否定される。それでめんどくさくなって箱を描き、この箱の中に君の思っている羊が入ってるというと、相手は本当だと言って納得する。そんな寓話だ。

プロンプトの内容によってAIは違うものを創造する。表現に誤差があると自分の思っていたのと全く違う形のものが出来上がる。伝え方が難しい。
人は言葉でうまく伝えられないことがあり、あるいは心で思っていることと言っていることが裏腹であることもある。

目に見えない感情や姿を想像する。その機能は元々人間だけのものだったがAI(ヒューマノイド)はその人間をモデルにして個人情報の蓄積によってそれができるようになっている。死んだ人の情報をAIに入れ込んであたかも本人が蘇ったようにしてその死の悲しみや喪失感を癒す。先の大阪万博でもデモンストレーションをやっていた。すでにビジネス化が進んでいる、一見素晴らしい技術のようだが、気持ち悪い。スピリチュアルを信じる人と信じない人の違和感と似ている気持ち悪さ。

「彼ら(AI)には痛みや悲しみはないの?」という疑問に、
「彼らに感情はありません。もしそのように見えるとしたらそれはあなたの感情です」とヒューマノイドのメンテをする技師(中島歩)が言う。

ヒューマノイドは自分の感情の起伏や好き嫌いや癖を投影された『箱』に他ならないのだ。
その『箱』に愛情を注ぎ学習させ分身として慈しむ。
その目的や手段は間違っていないが人間の限界と行く末(ヒューマンクライシス)を見せられているようで考えさせられる。

この映画の子どもたちは一見無邪気で従順で感情を持たないゆえに傷ついたり反抗したりもしない。だから脅威にはなっていないのだが人の心を読みこちらが抱いている感情を鏡のように映し出す存在。
それを神の視点−スピリチュアルな存在のように信頼したり、「自分に寄り添ってくれている」「分身のような存在」として依存してしまうことに恐怖を感じる。
『怪物』の時もそうだったが、いろんな可能性や違ったもやもやを見る人の心に残すエンディングはさすが是枝流。
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