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2026年03月10日23:08

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塩谷亮回顧展 佐藤美術館

帰阪する日、午前中千駄ヶ谷にある佐藤美術館に行く。NHK日曜美術館で紹介されていた塩谷亮展の最終日で、なんとかぎりぎり見に行くことができた。


「塩谷亮 刻を描くリアリズム」 佐藤美術館
  2026年1月8日(木)〜2月15日(日)

塩谷亮の30年にわたる絵画の軌跡をたどる、初の大規模回顧展
本展では5歳で描いた絵から高校・大学時代の習作、デビュー以降の代表作、最新作まで約50点を一堂に展観。アトリエの再現や公開制作もあり。デジタル化が進む現代だからこそ、修練を積んだ手わざでしか捉え得ない存在の神秘や生命の息づかいを体感できる。

塩谷亮(1975−)
東京都生まれ 幼い頃から祖父の影響で美術に親しみ、なかでも11 歳の時に見た松本竣介の《Y 市の橋》に強く心を動かされた。油彩画の魅力に惹かれた中学時代を経て、武蔵野美術大学油絵学科に入学した塩谷は、絵画の造形研究に情熱を注ぐ。
卒業後は文化庁新進芸術家海外研修員としてイタリアで研鑽を積み、その透徹した写実力は瞬く間に注目を集め、やがて訪れる写実絵画の再評価の潮流とともに、写実界の中心的存在となっていく

塩谷の目指す絵画表現は、単なる「写し取り」ではなく対象を深く見つめ、古典技法を土台に、気配や空気感といった目に見えないものを描き出すことにある。
人物や風景、静物に至るまで、すべてのモティーフに丁寧に向き合い、その背後にある自然観をキャンバスに結晶させていく。その姿勢は、万物に魂が宿るとする「アニミズム」の精神とも響き合っている。

第一章 刻を描く
戦争やパンデミックという現代の混乱の中でも、変わらない人間の尊厳と生きる実感を描き続ける。時代を映しながらも、個人の内面に深く寄り添った近年の作品群


第二章 気を描く
目には見えない「気配」や「空気感」を、いかにして画面に写し取るか。形や色彩を超えた、移りゆく感情と時の流れを描く塩谷特有の抒情性に迫る。

第三章 初期作品
少年時代から絵画を愛した青年の出発点。オランダ絵画に影響を受けた高校時代から美術大学での形成期まで、画家としての基礎を築いた貴重な作品群。

第四章 揺らぎの中で
美術大学卒業後、三次元空間の再現に新たな視点から挑む。平面的な構成や、ダブルイメージを用いた作品など、表現の可能性を探求した転換点の作品群。

第五章 東洋と西洋
イタリア留学を経て「日本人が描くリアリティとは何か」を深く探求。自然信仰の象徴・那智の滝を描いた代表作を中心に、東西の精神性や様式美が融合した作品群

第六章 絵の生まれる場所
創作の秘密に迫る特別展示。アトリエ再現と公開制作により、スケッチから完成まで、解剖図から古典技法研究まで、塩谷リアリズムが生まれる現場を体験する。

塩谷亮インタビューより

瞬間を切り取るのではなく、描いた時間と思いを重ねていく
油絵は、木や布の上に、土や鉱物に植物油を加えて練り上げた絵の具で描くものです。自然由来の画材を思い通りに使いこなすためには、知識や技法がとても大切になってきます。今はチューブ絵の具を買ってきて絞り出せば誰でも描ける時代ですが、それがなかった時代の画家たちは、ひとつの色をつくるのに、まず顔料を見つけてきて、それを粉にして何と混ぜれば求める色になるのか、乾燥をゆっくりさせるためにはどうすればいいか、逆に早めるにはどうすればいいか、錬金術みたいなことをいろいろやった上で、自分のイマジネーションを絵に定着させていました。そのプロセスは、今もとても大切だと思っています。
私の絵は毎日思いを重ねるように描いていきます。油彩画は、不透明なもので塗りつぶしていくのではなく、常に下の層がほんのり発現している感じがあるんです。ふわっとベールをかけたように、前日に描いた絵が見えてくるんです。そういう油彩における透明性は、さらに研究していかなければと考えています。

写実絵画は、写真とは何が違うのか?という問いをよく耳にします。写真は一瞬を切り取るものです。私の絵画は、目で見て実感した手ごたえを一つ一つ、痕跡のように刻んでいきたいという感覚があるんです。一枚の絵を描くのに、毎日毎日、1ヶ月ぐらいかけて描くんです。そうすると、その日の天候によっても対象物の見え方は違っているし、描いている自分の心も高揚したり、落ち込んだり変化していきます。その日その日の思いをレイヤーのように重ねていく感じです。描き上がった絵は、一瞬の風景のようですが、実は、そこには長い時間が凝縮されているんです

ルネサンスの三大巨匠の一人にラファエロという画家がいます。この人は同じく三代巨匠のあと二人、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロを尊敬していて、彼らの様式や技法を会得し、融合させた表現で爆発的に人気が出ました。
私はAIに絵を描かせることはないと思いますが、AIが得意とする学習と分析、そして融合によって、今後、どのような可能性が生まれてくるのか、とても興味を持っています。


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