1/10公開の映画「オークション 盗まれたエゴン・シーレ 」
エゴン・シーレが描いたといわれるひまわりの絵をめぐるお話。過去にエゴン・シーレの自伝映画も見たけれど、これは映画のタイトルにもあるように絵画オークションの裏側で展開される人間ドラマ。
https://eiga.com/movie/102804/
戦時中ナチスは占領国の美術館から多くの美術品を盗んたが、ユダヤ人個人所有の美術品も略奪された。エゴンシーレのひまわりもその中のひとつだったが当時彼の作品は退廃芸術としてナチスにとってあまり価値のないものとされ、流出し、数奇な経路をたどって、とある田舎の労働者の家の壁に飾られることとなる。
それまで全く価値のなかった絵画が、突然金銭的な価値を得てゆく(それに呼応して登場人物たちのそれまでの人間関係も大きく変わっていく)プロセスを描いているのだが。これは「本物とは何か」「いったい何がニセモノなのか」という現代社会(フェイクやなりすまし、捏造が入り混じるSNS社会)の最も基本的な課題を私たちにつきつける。本物と偽物の違いは事実と真実の違いのようなもので、実際に起こったこと(事実)が真実として認定されるかどうかはわからない。それは認定する者が人間的に本物かニセモノかにもよるのだ。
2022-2023冬、京都国立近代美術館で開催の「ルードヴィッヒ美術館展」を見にいった。ドイツ・ケルンにあるこの美術館はウイーン分離派やドイツ表現主義、ロシアアバンギャルドなど21世紀現代美術のコレクションを多く保有している。
鑑賞後エゴン・シーレのひまわりのミニポスターを買って帰った。縦長の独特のフォルムでこの映画に出てくる絵とは違うが、2025年早々エゴン・シーレのひまわりにまつわる映画が見れるなんて、不思議な巡り合わせだなと思った。
私は誕生花がひまわりなので、ひまわりを描いた絵にはつい見入ってしまう。ゴッホのひまわりが最も有名だがエゴン・シーレやクリムト、カンディンスキーもひまわりを多く描いている。
倉本聰の脚本作「海の沈黙」(2024)では、芸術性の高い絵画が贋作であるとされた途端に価値がなくなってしまうことへ対する疑念を描いていた。一方、「
オークション 盗まれたエゴン・シーレ」では、それまで全く価値のなかった絵画が、突然金融的な価値を伴ってゆく(それに呼応して登場人物たちのそれまでの人間関係も大きく変わっていく)プロセスを描いている。対を為すようなこの二作品は本物とは何か、ニセモノと何なのか、、という問題提起を私たちに投げかける。本物と偽物の違いは事実と真実の違いのようなもので、実際に起こったことが真実として認定されるかどうかはわからない。それは認定する者が人間的に本物かニセモノかにもよるのだ。
だましだまされ欲と得がうずまくオークション業界にほとほと嫌気がさすアンドレ
どこまでもまっすぐな目をした労働者の青年こそ本物で、自分は人間的に虚飾(フェイク)ではないかと気づく。
労働者の青年は巨万の富を得たあとでも、今までと同じ生活をつづける
童話「金の斧銀の斧」のような本作の終幕では パスカル・ボニゼール監督が絵画の真贋よりも人間性に対する真贋を描くことに主題をおいていると気づかされほっこりする。
ログインしてコメントを確認・投稿する