そして風が凪いだ時

　昨夜、日記を書き終えて、チェアリング用として買ってきたばかりの菅原大輔著『そして風が凪いだ時』というぶんりき文庫を手に取ってみた。隣町の逗子が舞台なので馴染みがある。見開き２Pくらい読んで閉じる予定だったのだが、風呂場に持ち込んで読みたくなった。
　湯船の浸かって読み出したら、場面場面の簡潔な描写力と、登場人物のキャラがそれぞれ明確ゆえに読みやすい。しかもどいつもこいつもこのあたり一帯に通底する「ゆるい性格」「ラテン的な人生観」「脱資本主義」「享楽好き」で、めっぽう面白い。とうとう風呂に浸かっている時間が1時間を超えたところで読み終えてしまった。わずか100ページちょっとの文庫本ゆえ、物足りなさが残ってしまった。もう少し長く書いておくれ。
　1時間も浸かっていると、湯は37度くらいにまで冷めてしまったのだが、追い焚きはせず。身体も頭も既にふやけきっていた。
　入浴後、菅原大輔がブログかTwitterでもやってないかな、と検索するも、見つからなかった。60歳を超えたいま、どんな生活をしているのだろう？

　今日は午前11時、胃の保護剤と入眠剤を処方してもらうべく近所の病院へ。コロナウイルス騒ぎはとうとう鎌倉まで及び、今朝の朝刊で鎌倉保健所管内（鎌倉、逗子、葉山）で1名の罹患者が出た、と湘南版に載っていた。年寄りは診察時間前に大挙してやって来るのでこの時間だと空いているのが常であったが、いつもに較べてもやや待合室の患者さんは少ない。マスク着用らしい。受付脇に「マスクあります。50円です」という貼り紙があった
　待合室で座って2分後に名前を呼ばれて診察室へ。医師に体調良好であることを伝え、2分ほどで退室。受付前のミニロビーで会計待ちをするのだが、これも2分で名を呼ばれた。
「いつも会計は混んでいるのに、今日はやけに早いですね。日本新記録もの！」と言ってみたら、「普段より3割、患者さんが減っちゃって」と会計の窓口担当者が答えた。
　飲食店やデパートと同様、病院まで3割減か。
　午後、詩人の資料を取り出してはチェックする、という読書を1時間半ほどしてから、ラズリの散歩。体感温度は結構ひんやりしていた。
　帰宅後、昨日と同様、土づくりをする。昨年栽培していた「バケツ畑」の土を山に捨てに行き、それと引き換えに腐葉土状になっている土をもらってきて、庭の隅に積む。
　例年は1月中旬にやってた作業だが、今年は1カ月遅れてしまった。
　葉っぱや小枝が何年も堆積している山肌に移植ごてを差し入れて掘ると、ミミズが何匹が躍り出るように跳ねる。ミミズを土に戻してやりつつ、黒い土をバケツに入れて持ち帰るというようなことを5回ほど繰り返した。
　この土だけでトウガラシは育つ。たぶんトマトでもキュウリでも化学肥料を与えることなく作れるはずだ。いくらでも新鮮な野菜が手に入るので、栽培する気はないのだが、健康維持のためにミニトマトくらいは作ってみてもいいかな。
　夕方、タブレットでdマガジンにアクセスして、晩ご飯の6時まで1時間ほど雑誌のつまみ食いをした。
「週刊東洋経済」「週刊朝日」「週刊プレーボーイ」「LEON」。
　笑ってしまったのは「LEON」の特集「お洒落オヤジはジャケットで攻める！」で、よくもまあこれほどお下品で金満っぽいジャケットを次から次へと出してきて、オヤジモデルが着ると借りて来た猫ならぬ服ゆえ板についておらず、ドン小西とかテリー伊藤のなんと申し上げていいのやらファッションなのである。41万円のアルマーニの、デニムっぽいジャケットを本気で買おうとする読者、いるの？　版元の幻冬舎は決して給料がいいとはいえないのに、編集者はこんなページばっか作って虚しくなんないのかな。ファッション写真なのに、そこらのお嬢ちゃんがiPhoneで撮ってインスタにあげてる写真と変わらないどころか、下手だぞ。
「紺ジャケこそ攻めてナンボ！」
「メゾンのジャケットならデニムで口説ける♡」
「イタリアンオヤジの攻めジャケテク」
「遊べるオヤジはシャカシャカ2.0」
　特集の見出しをこうして打ち込んでいると、また笑い出したくなってきた。
　編集部に30歳前後のフツー感覚な女性編集者はいないのだろうか？
　50歳前後のかつては教養人だった副編はいないのだろうか？
　これ、内容をどうこう言うより、根本的な勘違いからまず改めるレベルだろう。
　dマガジンはメジャーな一般誌が読み放題なので、絶対に金出して買わない雑誌を茶化しながら読むことができる。私、なにもやる気が起きないとき、ネットよりはまだ面白いというだけの理由でタブレットで読んでます。