今日は七夕である。
だが生憎の天気。確か昨年も雨模様だったような記憶がある。
梅雨時だから仕方あるまい。
さて、今日は後期ロマン派の作曲家グスタフ・マーラーの誕生日である。
中国の詩の独語訳に音楽を付けた『大地の歌』という大傑作があるように、晩年のマーラーは東洋に関心があったのだから、もしかしたら七夕伝説のことも知っていたかもしれない。
そして、今日はシド・バレットの命日でもある。
初期のピンク・フロイドを導いた天才である。
薬物中毒と精神荒廃によりバンドを離脱した後も、フロイドにとってシドの存在は大きなものであった。
シドがいたころのフロイドの音楽はサイケデリック・ロックである。60年代後半、まだプログレッシヴ・ロックというものは存在していなかった。
オリジナル・メンバーによる唯一のアルバム『夜明けの口笛吹き』はロック黎明期の傑作と言えるだろう。
シドがいなくなった後のフロイドがとてつもないビッグな存在になっていったことはもはや説明するまでもない。
一方シドはいくつかのソロ・アルバムを作った後に、70年代以降は完全に隠遁生活に入ってしまう。そしてミュージシャンとして復帰することは二度となかった。
晩年の姿は変わり果てたものだったという。
フロイドがレコーディングしているスタジオにふらっと現れたが、それがシドだとは誰も気付かなかったという。そんな悲しいエピソードが残っている。
アスペルガー症候群だったのではないかという説もある。
共感覚の持ち主だったとも伝えられている。
共感覚というのは五感が未分化で、たとえば音に色を感じるというのがよく知られている。
おそらく現代音楽の作曲家メシアンもそうだったのだろう。
共感覚というのは特別珍しいことではないようだが、創造的な作業をするにあたってはプラスに作用することもあるのかもしれない。
シド・バレットは2006年に亡くなった。
ミュージシャンとしての実働期間は極めて短かったが、後世に与えた影響はとても大きなものだった。
そしてフロイド時代シドと最も仲が良かったリック・ライトも2009年に世を去った。これでピンク・フロイドの完全復活はなくなった。
つい最近はイエスのクリス・スクワイアが亡くなった。
あの時代は確実に終わりを迎えつつある。
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