いよいよその日を迎えてしまった。
佐藤悦子の卒業式である。
女声アカペラ五人組アウラのオリジナル・メンバーで、中音域を支えるとともにソロでは反則的なほど清廉なソプラノ・ヴォイスを聴かせる。
アウラの中で最も天使に近い声だと思っている。
アウラと初めて会ったのは九年前のちょうど今ごろの時期だった。
まだアウラという名前もなく、揃いの衣装さえなかった。
遠い昔のような、昨日のことのような、不思議な感覚だ。
アウラや関係者、そしてファンにみんなにお願いしていた寄せ書きも昨日のうちに完了。
さて、今日はアルトの大石悦代が急病のため歌えないとのことで、急遽卒業生の星野典子が呼ばれた。
なんでも連絡が来たのが一昨日の夕方だったそうだ。馴染みのレパートリーが多いとはいえ、それでしっかり仕上げるあたりはさすがだ。
まあ、佐藤悦子にとっても星野典子にとっても結果オーライということだろう。そういう巡り会わせというふうに思えばいい。ただ、いざというときに星野典子に頼り切ってしまうということはなくしていかないと。
プログラムは先日の名古屋とほぼ同じで、1曲だけ差し替えがあった。
あと、アンコールを変えていた。
「歌い継がれた言霊をヴォイス・オーケストラで」と題されたヨーロッパと日本の民謡を集めたプログラム。
全く響かない空間で、さぞ歌いにくかったろうと思う。
最初はピッチも安定せず、どうなることかと心配したが、歌いながらきちっと修正するあたりはたいしたものだ。響かないぶんハーモニーの構造がよくわかるとも言える。
グレードの高いパフォーマンスだ。
アウラはここまで来たんだな。
星野典子が去り、佐藤悦子が去る。
世の中にそのまま留め置くことのできるものなどありはしない。だとすればアウラの変化も必然と言うべきなのだろう。
幸いなことに新たに加わった大石悦代も奥脇泉も歌唱はもちろんキャラ的にもアウラに合うようだ。これからのアウラがどのような音楽を聴かせてくれるのか楽しみにしていよう。
オリジナル・メンバーで活動してきた時期が長かったが、今アウラ在籍経験者は8人になる。
先に卒業した星野典子が言っていた。「アウラの家族が増えたのだと思う」と。
いい言葉だと思う。アウラ・ファミリーという捉え方はアリだと思う。
そして、いつかまた佐藤悦子の歌声が聴けるときを待とう。
恐縮したときに眉が八の字になるのが可愛くてね。
笑って送り出すことはできたが、泣かせてしまったなあ。。。
まあいい、別れに涙はつきものだ。
悦ちゃん、お疲れさま。
そしてまた会いましょう。
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