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2010年07月03日22:42

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川久保賜紀・遠藤真理・三浦友理枝@佐倉市民音楽ホール

しかし、よく組んだなと改めて思う。
ヴァイオリンの川久保賜紀、チェロの遠藤真理、そしてピアノの三浦友理枝。
この三人がトリオを組んで、今年ツアーに出ている。
いずれも若手実力派という位置付けだ。それぞれ雰囲気の異なる美貌を誇り、ヴィジュアル的にも映える。しかし、小洒落たユニット名を付けず、名前を並べただけという素っ気なさに、音楽で勝負という気概が感じられる。実際それぞれの個性が生きたいいユニットだと思う。

コンサートを聴くのは昨年の「せんくら」以来となる。そういえば、このトリオを聴きたくて仙台まで行ったのだ。
今回のツアー、何故か東京は組み込まれていない。
というわけで、千葉県佐倉の佐倉市民音楽ホールまで出かけることにした。

難曲とされるラヴェルのトリオがデビュー盤。
で、今年新曲として用意されたのはブラームスの3番だった。。。
ちょっと意外な選曲だったと思う。
ブラームス晩年の室内楽は名作揃いだが、それだけに枯れた味わいが必要で、技術だけではどうにもならないという印象が強いのだ。しかもピアノ・トリオの中で特別有名という曲でもない。
やはりチャレンジャブルだなあ。。。

プログラムは以下の通り。特に断りのないものはトリオ編成。

01.エルガー:愛の挨拶
02.シューマン:トロイメライ(Vc、Pf)
03.ブラームス:ハンガリー舞曲第5番(Vn、Pf)
04.ブラームス:ピアノ三重奏曲第3番 ハ短調
<休憩>
05.ショパン:雨だれ(Pf)
06.平井正志:Promenade 2(世界初演)
07.ラヴェル:ピアノ三重奏曲 イ短調
<アンコール>
08.ブラームス:ハンガリー舞曲第6番
09.ラヴェル:リゴードン

前半は賜紀嬢が若草色、友理枝嬢が黄色、真理嬢がサーモンピンクのドレス。
後半は賜紀嬢と友理枝嬢が微妙に色合いが異なるブルーグレーっぽいドレスで、真理嬢がトップが黒でボトムが光沢のある白のドレス。

彼女たちはすごい。
個々の奏者として優れているのはもちろんだが、室内楽として見事にまとまっている。それぞれが自分の音を持っているが、その音色の融合がとてもよい。

最初の3曲は挨拶代わりといったものだろう。
で、ブラームスのトリオだが、かなりいい出来だったのではないだろうか。
もちろん、残照の輝きといった枯れた味わいはないが、生命力に溢れている。これもまたブラームスと言えると思う。長らく名演と評判のスーク・トリオを愛聴していたが、微妙なニュアンスや繊細さという点では彼女たちの方が勝っているのではないか、という気がした。
独墺系を弾く友理枝嬢もいいではないか。

6曲目の『Promenade 2』は今回が世界初演なのだそうだ。貴重な場に立ち会えてラッキーだ。
口ずさめるようなメロディーとは言えないが、リリカルないい曲だ。演奏時間7分程度の曲。

さて、お得意のラヴェル。
昨年の仙台に比べると、かなりこなれてきたという印象だ。より熟成した旨味のようなものが聴こえてくる。
ことに悲愴感の漂う第3楽章での抑えた演奏が心を打つ。シリアスなラヴェルゆえ、清潔感の漂う磨き抜かれた音色が効果的だ。難曲であることを感じさせない名演だ。

いずれもいい意味で我の強そうな演奏家なのに、よくまとまっていると思う。
ところどころのアイコンタクトや、ふと見せる笑顔に、ケミストリーの高さを感じる。お互いがお互いを認め合える実力者だからこそ成せる技なのだろう。
何度も恐縮だが、彼女たちはすごい。

友理枝嬢のピアノは先週聴いたばかりだが、賜紀嬢と真理嬢は仙台以来。
真理嬢が仙台のことを覚えていたのには驚いた。
「ううん、仙台だけじゃなくて、どこにでも来てくれてるの」と真理嬢に言っていた友理枝嬢は何が言いたかったのか。。。どこにでも行っているわけではないが、よく来てくれているという印象なのだろうか。
最近友理枝嬢はくだけてきている。「あ、どうも」だよ。。。これもちょっと特別ということなのかな。

帰りは有楽町に出てバーデンバーデンでホフブロイハウス・ビールとドイツ料理を堪能。
ブラームスに敬意を表して、というわけではないけどね。
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