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2009年10月09日23:18

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キエレス・マテ@銀座スウィングシティ

久々のキエレス・マテ。
「マテ茶はいかが?」という素敵な名前を持つユニットを初めて聴いたのはもうずいぶん前のことになる。今回はゲストを招いてひときわ華やかなステージとなった。

・赤木りえ:フルート
・宮野弘紀:ギター
・岡本博文:ギター
・Masayo:ヴォーカル(ゲスト)

フルートとアコースティック・ギター2本というユニークな編成。
ギターによるザクザクしたリズムが心地いい。そこに魔法のフルートが自在に舞う。
ベースやドラムといったリズム・セクションはないが、ギターのテクニカルな刻みがその代わりを果たす。やはり音楽はリズムがしっかりしないと締まらない。
たとえば、クラシックだとメロディーをいかに歌わせるかに腐心してリズムがおろそかになりがちなことが多い。最近の日本の若手演奏家によく見られる傾向だ。
グルーヴィーでないとつまらない。

01.グリオ(宮野弘紀)
02.エル・パライソ(赤木りえ)
03.デシジョンズ(岡本博文)
04.ある恋の物語
05.おいしい水
06.ビリンバウ
07.いつか王子様が
08.佐渡おけさ
<休憩>
09.クレッセント〜ラテン編(宮野弘紀)
10.アルフォンシーナと海
11.ゴジラ(宮野弘紀)
12.アレリのつぼみ
13.ラ・メンティラ〜うそ
14.ケタマの曲(忘れた…)
15.コーヒールンバ
16.マイ・ウェイ
<アンコール>
17.ムネキタ・リンダ

 ※ 04〜06、12〜15、17にヴォーカルが入る。

キエレス・マテはさすがだ。私はギターのことはよくわからないが、ギター小僧必見ではないかと思う。インプロヴィゼーションの応酬も見もの。宮野氏と岡本氏、両者の個性の違いがおもしろい。しかもキメるときはジャストのタイミングでキメる。1+1が3になることの証左とも言えるだろう。
りえさんのフルートの素晴らしさはいくら言葉を尽くしても語りきれない。まさに空気の震える音だ。りえさんの音には精霊が宿っている。

のっけから宮野氏の名曲『グリオ』でのけぞらせてくれた。りえさんのメロディックな『エル・パライソ(楽園)』、岡本氏のリズミカルな『デシジョンズ』と3者の個性的なオリジナルで進む。
『佐渡おけさ』はもはや定番。日本民謡がどう生まれ変わるか聴きものである。ここでのりえさんのフルートはまさしく尺八だ。

先ごろ亡くなった名歌手メルセデス・ソーサを偲んで『アルフォンシーナと海』が演奏された。
女流詩人アルフォンシーナが苦悩の果てに海に入ってその人生を終えるという悲しい詩を持った歌。メルセデス・ソーサの胸に染みる歌が懐かしい。
名曲だけにいろいろな人が歌っている。最近では波多野睦美さんが歌ったものが心を打つ。演奏ではバンドネオンの小川紀美代さんのアルバム『タンゴロイド』に収録されたものが記憶に新しい(宮野氏参加)。
さて、キエレス・マテの演奏は透き通った抒情性が素晴らしい。サラッとした質感なのだが、フルートもギターも泣いている。慟哭ではなく、忍び泣くようだ。心の琴線に触れる演奏だった。
メルセデス・ソーサ逝去により急遽セットリストに加えられたらしい。この曲だけでも足を運んだ甲斐があるというもの。

宮野氏の『クレッセント』もラテン・バージョンということで、全く違う曲のように聞こえる。これもまたお馴染みの『ゴジラ』はとてもチャーミング。あの伊福部昭のゴジラのモチーフはラヴェルのピアノ・コンチェルトの第3楽章を参考に(というかそのまんま拝借)したといいうことを思い出した。

ゲストのMasayoさんのヴォーカルもとてもいい。芯のしっかりした張りのある声だ。聴いたのは2度目だが、伸びのあるいい声をしている。キエレス・マテとの相性もいいようだ。素晴らしい歌手だと思う。
まさか今日『ビリンバウ』が聴けるとは思わなかった。嬉しいプレゼント。

楽しいライヴだった。
あたりまえだが、クラシックと違う楽しさがある。
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