久々に特別企画展でない東博へ。全部は回れないから何と何を見ようか算段するのがワクワクする。この日は月イチキッズデーとかでイベントやワークショップはちょっと賑やか。
まずはマイミクさんご推奨のこちら。
【近世仏画ー伝統と変奏ー】@本館特別1・2室
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2156
この特集では、当館所蔵の江戸時代に制作された仏画をご紹介します。江戸時代の仏画の多くは、制作当初の鮮やかな彩色や表装を残しています。このため、当初の姿がわかりにくい古い時代の仏画を考えるうえで大切な情報を今に伝えてくれます。
当館には絵仏師、画僧、狩野派や琳派の絵師が描いた作品だけでなく、土産物として庶民に親しまれた大津絵なども所蔵されます。これらには、古い伝統の継承に加え、当時流行した思想や信仰を背景とした独自の改変、最新の絵画表現の反映など、江戸時代らしい要素も見られます。江戸時代の仏画の豊かな世界と、仏画が本来持つ華やかさ、造形の魅力をお楽しみください。
勝山琢舟《不動明王二童子像》
鎌倉時代の仏画を写したものなので色鮮やかで、制作当初の様子がわかる。
不動明王の後ろの炎は迦楼羅焔(かるらえん)といい、八部衆の一つの霊長迦楼羅が口から吐く炎だ。迦楼羅は厄災をもたらす毒蛇や悪龍を食べるという。炎の中に迦楼羅の姿が見えるのがおわかりだろうか。明王顔の左斜め上だ。
神田宗庭隆信《当麻曼荼羅図》
曼荼羅と言っても、こちらは奈良当麻寺に伝わる極楽浄土の場面を描いたもの。描き表装も緻密で華やかで見事。
よく見ると、下の方に裸の白い人がいる。踊ったり、蓮の池で湯浴みをしたり…極楽についたばかりの死者なのだろうか。
鶴洲霊翯(かくしゅうれいこう)《観音変相図》5幅
筆者は、江戸時代のやまと絵師住吉如慶の次男。下方に描かれている観音の諸難救済の様子はさながら絵巻物。
鶴洲霊翯《如意輪観音像》
色っぽい
《仏画図集》
絵文字あり
頭に鳥居が乗っっている。神仏習合?
狩野一信《五百羅漢図》
五人の羅漢を描いた二図合わせて一幅とし、合計五十幅からなる。増上寺蔵の半数で、大きさもおよそ半分。しかしながら、増上寺のものと同様、細部には一信独自の改変があったり、遠近法、陰影法を駆使していたり、仏画らしからぬ奇妙な現実感、怪しい雰囲気がある。全50幅のうち20幅を10幅ずつ前後期入れ替え。
〈第27幅 神通〉
首吊り自殺を助ける?
〈第28幅 神通〉
払子で鬼を追い払い
鉢から水を出して象がうれしそうに水浴び
〈第35幅 禽獣〉
ハクタクに経を読み聞かせてる?
冷泉為恭《聖護院・神羅明神像(模本)》
歯並びの悪いおじいさん…
《大津絵屏風》
大津絵は大津宿周辺で売られていた旅人向けの土産物。近代実業家茶人の松永耳庵旧蔵品。
5月29日まで
このあと、東洋館ミュージアムシアターで「VR作品 東博のミイラ」を見て、東洋館の中国絵画「花鳥画の世界」を見る。その中から
呂紀《四季花鳥図軸》
勢いある構図がいい、初見ではないが、特に冬の渓流の表現が面白くて好き。
姜漁《花鳥図扇面》
黄山寿《倣唐寅花鳥図扇面》
明代唐寅(とういん)に倣ったもの。青い鳥がかわいい。
5月22日まで
再び本館に戻り、2階から1階をピックアップしながら見る。
上村松園《焔》
東博創立150年記念特集「未来の国宝」として、この期間はこちらの作品が国宝室にある。
言わずと知れた、嫉妬のあまり生き霊となった六条御息所を描いた異色大作。
改めて見るとすごい迫力。黒髪が上から下までS字曲線を描き、それに沿うように着物柄の藤の花が強い情念を孕んでまとわりつく。張り巡らされた蜘蛛の巣の中心部はちょうど腰あたりで、くっと曲げた左手小指に悔しさが滲み、髪を噛む右手と呼応する。
こちらは6月5日までの展示
《為家本時代不同歌合絵》
過去と同時代の歌人を合わせた架空の歌合。教養なくあまりわかっていない私だが、相対する歌人の表情姿が上手で見入る。
輞隠《三酸図》
蘇軾、黄庭堅、仏印禅師が酢をなめて酸っぱい顔をしているところ。儒教、道教、仏教の教えが根本的には同じという、三教一致の思想を表す画題。
酸っぱい!と口をすぼめる顔がユニーク。
伝狩野元信《朱買臣図》
貧しい暮らしの中で薪を担ぎながら読書をした。二宮金次郎中国版?
しかし、本の持ち方が少し変?横書きの本を上に捲っていくんだろうか??
楫取魚彦(かとりなひこ)《鯉滝登図》
この絵を見てすぐ思い出す!建部凌岱展(
こちら)でもみた弟子の鯉の滝登り図。そっくりなのが、板橋区立美術館にある。
【創立150年記念特集 収蔵品でたどる日本仏像史】@本館14室
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2528
日本に仏教が伝えられた際に仏像ももたらされ、その後、仏教の興隆にともない日本でも仏像が作られるようになりました。仏像の造形には時代ごとに流行した様式があり、そこには当時の人々の美意識や趣向が反映されています。
今年創立150年を迎えた当館には、古代から近代までさまざまな仏像が収蔵・寄託されています。このうち、飛鳥時代から近代にいたる各時代の典型的な作品を展示することで、日本の仏像を通史的に紹介します。作品にみられる時代ごとの造形的な特徴を示し、材質や制作技法を含めてその変遷をたどることで、日本における仏像の入門的な見方を提示します。
飛鳥、奈良、平安、鎌倉、南北朝、室町、安土桃山、江戸、昭和、それぞれの時代の仏像を1~2点ずつ展示しているので、その変遷が一目瞭然。これは仏像入門にいいかも。
飛鳥時代《摩耶夫人および天人像》
教科書にも載っている有名な像。摩耶夫人が庭園を散策中、木の枝に右手を伸ばしたところ、腋から釈迦が生まれたという伝説を表したもの。摩耶夫人(右から2番目)の右手の袖の下から、お釈迦さまがやあ!って出てきているのが見えるかな。
奈良時代《日光菩薩坐像》
木心乾漆造りになって、写実的に。
平安時代《雲中供養菩薩像》
平等院鳳凰堂の堂内壁面にかけられ、阿弥陀如来のいる極楽浄土を演出していた菩薩群像の1体。定朝工房作と推察。微笑んだようなお顔がいいな。
江戸時代・円空《如来立像》
江戸時代・木喰《木喰自身像》
専門の仏師でない信仰者(僧)が作る仏像は、上手下手を超えている。
昭和時代・佐藤朝山《龍頭観音像》
あの日本橋三越本店の天女像を作った人。
現代の仏師ならば、江里佐代子夫人の截金で飾った江里康慧氏が好きだ。
7月10日まで
再び常設に戻り、時間も無くなってきたので、巻きで近代の美術を見る。
河鍋暁斎《花鳥図》
きらびやかな花鳥図と思ったら…よく見て。雉の体に巻きつくは蛇、蛇の視線を追ってみると、狙う鷹。緊張!
竹内久一《執金剛神立像》
重厚な木彫…と思いながら、後ろに回ると…
横山大観《雲中富士》
東郷寿勝《色絵金彩象形香炉》
超絶技巧の薩摩焼。
以上、この日のアルバムあります。
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000120554329&owner_id=2083345
中国絵画はこちら
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000120507176&owner_id=2083345
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