火星に生命が居たか、あるいは今も生存しているか――この命題への回答は、地球という生命あふれる惑星が絶対的なものか、あるいは相対的なものかを決めるのに必要不可欠である。
◎命名からうかがえる今度こそのNASAの意気込み
その解を得るために、アメリカが5回目のローバー(火星探査車)「パーシヴィアランス」を去る2月19日、かつての湖跡とされる「ジェゼロクレーター」に計画どおりに着陸させた。
これまでアメリカは、1997年に重さ10キロ余りの「ソジャーナ」を皮切りに、5機・4回のローバーを送り続けている。
それぞれのローバーは、火星の地形や地質などに貴重な情報をもたらしたが、唯一、「生命は居たか、居るか」という答えは得られなかった。その不成功の挽回のために、今回の探査車は「パーシヴィアランス」と名付けられ。日本語訳をすれば、「不屈、忍耐」である。NASAの意気込みがうかがえる。
◎重さ1トンの超高性能ローバー
ソジャーナは重さ10キロ余りと小型だったが、「パーシヴィアランス」は約1トンで、2012年から運用中のローバー「キュリオシティ(好奇心)」をベースに開発された。6つの車輪を持ち、支柱の上にカメラを搭載した基本構造を踏襲しつつ、カメラや分析装置の性能を大幅に向上させている(写真)。
「パーシヴィアランス」は昨年7月30日に地球を出発。約4億7200万キロの航行を経て19日午前、火星の大気圏に突入した。パラシュートを開き速度を落としながら高度を下げた後、逆噴射装置つきのクレーンに吊り下げられた状態で降下を続け、計画通りに着地した(想像図、写真は同機が初撮影した火星表面)。
◎居たとしても見つけられるか
では、火星に生命は居るのか?
現状の見通しは暗い、と僕は思う。太古の湖跡であっても、現在はカラカラに乾燥している。かつて居たとしても、複雑な体制を持つ生物は生き延びられない。
単細胞のバクテリアは、どうか。希望はなくはない。水と、周囲に適度な養分さえあれば、何とかRNA程度には分子が結合するだろう。それは、乾燥した土壌の中でも、代謝を行わず仮死状態で生き延びられるかもしれない。ただ、それをうまく見つけられるかは、広大な砂漠の中から砂金の粒を見つけ出すほど困難だろう。
だが仮に火星由来の(つまりこれまでの数々の火星探査機が不用意に持ち込んだ地球由来のものではない)生命が確認されれば、これは生命の普遍性、相対性が立証されることになるので、世界史的な大ニュースになるだろう。
ただそうした単純な生命から、さらに進化が進むかと言えば、僕は悲観的だ。
◎微生物が居れば、むしろ取り扱いに要注意
またRNA生命が居たとしても、それはされなりに注意を要する。ひょっとすると、火星を訪れた人の体内に侵入し、新しい疾病を作り出すかもしれないのだ。
地球上のウイルスと違って、火星の生命なら人類にとって接したことのない異物になる。人体の免疫が対処できるかどうか分からない。
冒頭の問いに戻れば、僕は「居ない、居たこともない」に落ち着く。
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