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2020年01月05日10:19

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「強健術」案内122

今回は、前回に引き続き『体格改造法』に説かれる「腹胸式呼吸法」を見ていきます。まず、「腹式呼吸法」から見ていきましょう。

◎息の吸い方と腹の膨らませ方
(イ)口を閉じ鼻から静かに空気を吸い込みながら、下腹部を出来るだけふくらまします。(この時、胃腑と肝臓のある場所、即ち臍の上部はくぼくなる様にやって欲しいのです。そうして此の下腹部の緊張法は厳密に云いますと、始めは空気のために肺底が膨張し、横隔膜が圧下し、腹直筋と斜腹筋とが緊張して、臍腹、瓢の如く、鞠の如くなるのでありますが、空気を吸いきってから、更に横隔膜の緊縮のみで、一層膨張させることが出来ます。即ち始めは正式の型により、更に逆式の型をとって充分に力を臍下に込むるのである。)腹に力を入れました時には、爪先は確り立てます。上体は軟らかに縮めます。(体格改造法 P.136)

前回見てきました注意事項に、「両肘をついて、体をそり椎骨と仙骨との接合点のあたりの下へ、両手の拳が這入る位にします」という部分があり、その理由は「腹と腰との働きが寝ていても自由」になるからというものでした。
今回、息を「正式(順式)」(息を吸い込む時腹が膨れる)で吸い込んでいますが、その際「胃腑と肝臓のある場所、即ち臍の上部はくぼくなる様に」やるよう指示しています。これは、反っている腰を丸くして息を吸い込むということに他なりません。このように、『体格改造法』に紹介される「腹式呼吸」は、腰を反ったり、丸めたりして行うことが一つの特徴となっています。

次に、吸いきった後に「更に横隔膜の緊縮のみで、一層膨張させることが出来ます」とありますが、これは少々わかりにくいかもしれません。このことを言い換えて「即ち始めは正式の型により、更に逆式の型をとって充分に力を臍下に込」めると解説しています。「逆式」呼吸とは、息を吸い込む時に腹が膨れる「正式(順式)」呼吸とは反対に、息を吐き出す時腹が膨れる呼吸法のことです。ここでは、はっきりとは解説されていませんが、息を「正式(順式)」で吸い切った後、軽く息を吐き出しながら更に腹を膨らませ力を入ていれると考えられえます。それが、「横隔膜の緊縮のみで、一層膨張させる」ことができると解説している点でもあります。
これまでのことを整理しますと、始めに「正式(順式)」で息を吸い込みます。その際「臍の上部はくぼくなる様」腰を丸くして腹を膨らませます。息を十分に吸い切った時、息を軽く吐き出しながら(逆式)更に腹に力を込めて膨らませます。この時、爪先は立て、上体は腰を丸くしてちぢめるのです。

◎息の吐き方と腹の凹ませ方
(ロ)空気を充分に吸い込みまして、腹部が膨張しましたら、腹に力を込めながら咽喉の奥でイキム様にし。ウウーンと極めて静かに強く、長く、鼻から吐き出し、途中で二回位、息を吸い込んで足しながら、漸次腹を凹ませ終わりまで確り、残りなく吐き出してしまします。私は呼吸機関の構造、並びに其の作用の上から呼吸の要領を下の四条件に帰納します。曰く『深くやる』『長くやる』『穏やかにやる』『力強くやる』肺は過激の運動をやる様に出来ては居りませぬから、動作が激しければ、呼吸は益々穏やかにしなければなりませぬ。武術の達人は、自然と其処に達して居ります。又呼吸は短くしてはいけませぬ。短いと肺組織は細かなものですから、交換作用が、充分に行わるる余裕がありませぬ。呼吸停止説がありますが、停止中は、肺中の悪瓦斯が滞積するのですから、私は多くも七秒間を超えない様にして居ります。それは腹にウンと力を込めました場合、呼吸は勢い停止せざるを、得ない場合があるからですが、呼吸の原則としましては、なるべく、停止せぬ様にせねばなりませぬ。又呼吸八分説がありますが、私は酸素を多く供給し、炭酸瓦斯を多く排出の意味からしまして、吸えるだけ充分い吸ったら、生理上肺中に残る一定量の外は悉く吐き出すことに努めます。以上で腹式の、二呼吸が終わります。(体格改造法 P.136〜138)

息を吸い込み切ったら、吐くまでに自然に呼吸が停止する時間が出来ます。これまで春充は、呼吸停止には反対してきましたが、前著『強い身体を造る法』に解説される『伏臥長呼吸法』で7秒までの呼吸停止は認め、ここでも同じ長さで「呼吸停止」を認めています。最後にいきむように静かに強く、長く息を吐き出していきます。また、完全に吐き出すために、途中で軽く息を継ぎ足す独特の呼吸の方法で徹底的に息を出し切り「腹式呼吸」は終了します。
次回は、「胸式呼吸法」を見ていきます。

(写真は、旧肥田邸跡、八幡野来宮神社に至る道)
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