2005年に初演され、小説
にもなった前川知大さんの代表作で何度も再演されていたこの作品。今年9月には黒沢清監督で映画が公開され、それがとても面白かったので、舞台も観に行くことに
日曜昼の回にお一人様で。
某国から発射されたミサイルが上空を飛ぶ海に近い町。祭りの夜に失踪した夫(浜野)が数日ぶりに戻ってくるも、まるで別人のよう。不仲だった妻(内田)は夫の変化に戸惑いながらも、散歩を日課とする夫の介護に奔走する。同じ頃、町では奇妙な現象が頻発。病院では一家惨殺事件でひとり生き残った少女(天野)が目を覚ます。惨殺事件を追うジャーナリスト(安井)は高校生の少年(大窪)と出会い、彼の奇妙な言動から、あるひとつの事実を知る。それは夫の変貌や奇妙な現象、惨殺事件のすべてを繋いでいて…。
作・演出 前川知大
出演 浜田信也、安井順平、盛隆二、森下創、大窪人衛、内田慈、松岡依都美、
栩原楽人、天野はな、板垣雄亮
映画版を観ているからストーリーはもちろん知っているのだけれど、それでも面白い
そしてじわりじわわりと怖さが募っていく
約2時間、ノンストップでその不穏さに緊張しながらも楽しんで観ていた。で、この物語の奥深いところは、着地点が愛の話になるところ
あらすじからは想像できないでしょう
侵略者(宇宙人)は人間の身体を乗っ取り、出会う人から様々な概念を奪っていく。例えば、家族や所有といった概念。奪われた人間はその概念を失ってしまうので、各々支障が出たり人格崩壊にまで陥ってしまう。けれど、その反応が概念の種類や人によって様々なのもまた面白く、よく練られた戯曲だなぁ、と感心。
妻役の内田さん。映画で色々観ていて素敵だな
と思っていたけど、今回ガッツリ生で観ることができて感激。変わってしまった夫に戸惑いながらも、子供のようになった素直な夫に惹かれていく、その心の機微をじっくり演じていてさすが
夫役の浜田さんは初だったけど、いい役者さんだなと思った。ぜひまた別の役でも観てみたい
SFスリラーな入口で、密な人間ドラマであり、笑いも交えながら笑っていいのが戸惑うような空気も漂わせつつ、最終的にはガツンとくるラブストーリー。これは観てよかった
役者陣の繊細で熱い演技に感涙
哀しくて美しい物語の余韻に浸りつつ、ふわふわした気分のまま家路へ。再演されたらまたぜひ観たい
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