Ｓ園に行く事をホイホイ勧めた人

　　Ｋ大学の女子学生に一人いた。Ｙ子さんとしておこう。その人は僕も入っていた福祉会でも一緒だったが、学生を見るなり、ホイホイ行く事を勧めた。僕もそうして、Ｓ園行ったわけである。
　　Ｙ子さんは独特の問題意識を持って、Ｓ園行っていたらしい。でも、問題意識なるものは個人の心の中から湧いてくるものだ。問題意識が他人に伝わる事は、まず、あり得ないだろう。早い話、Ｙ子さんの問題意識は僕には伝わらなかった。勧められた人たち全員にも伝わらない。それゆえ、勧められていった人は「私は何故Ｓ園に行くのだろう」と言うようになり、福祉会はその話で一時持ち切り。ノイローゼみたいになった人も出た。そのような事ばかり言っていると、福祉会は潰れる。本当に潰れた。後年までそう言っている人も多く、過去を水に流して中国語の通訳になった一人を除き、社会の場に出ない始末。放浪した例も。
　Ｙ子さんだが、卒業後はＳ園の職員に。でも、何故か、短期間でやめ、元園生の女性のサポート活動もしたが、失敗し、身障ミニコミに強く叩かれた所で、消息は途絶えた。
　Ｓ園職員には、行く事をホイホイ勧めた人はいない。確かに、そこは人が生活している場。ホイホイ誘える場ではない。おかしいし、非常に甘かったと。僕もホイホイ勧められて行き、運が悪ければ、心にダメージを受け。一生を棒に振ったかもしれない。そのような可能性すらあった。Ｙ子さんは無責任だったし、又、Ｋ大学の後輩たちも、問題意識は受け継がないのに、ホイホイ勧める事は受け継ぎ、大変な事になった。人に勧める時は「しっかりした関わり」を求めなければならない。ホイホイはおかしいわけだが。
　　Ｙ子さんの行方は知らないが、読者の皆様の方が察しが付くだろう。特に、福祉関係やナースの方は。一生を棒に振る結果に終わった可能性が極めて高い。どうもＫ大学のボランティア関係には甘えの習慣があったみたい。甘えはぬるま湯と同じである。浸かっている時は気持ちよいが、後で恐ろしい事になるわけである。僕の入浴の件とも重ね合わせて見てしまうのだ。