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2015年07月10日20:39

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図書館へ行ってすごく得した気分に

 週刊新潮で長らく続く「黒い報告書」(男と女の事件簿)で、今週号はマイミクさんが寄稿したことを彼の日記で知り、2週間ぶりに図書館へ行くことにした。
 昨日発売なのですぐに読むことが出来た。一気に読ませる筆力もさることながら、骨格も流れも文章もきわめてよろし。よっ、優等生! と声を掛けてあげたい出来映えだった。これに気をよくして本誌全部に目を通してみた。
https://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/newest/
「肉食系中川郁子代議士の不倫相手と「再デート」実況中継」
 またやらかしたのか、と読んでみたが、路チューもなければお持ち帰りもなしで、丁寧な取材こそ感心したものの肩すかしを食った。この記事に限らずどの特集も定例もつまらなくて、結局この号でいちばん面白かったのはマイミクさんの「黒い報告書」だった。
 週刊新潮を戻して、「文藝」の稲葉真弓追悼特集を読む。20歳代に書いたとおぼしき詩が掲載されていて、若い頃の感性を亡くなるまで保ち続けたその一貫性に頭が下がる思いを抱いた。「大和なでしこ」とはこういう女性を指すのではないか?
 はずれクジをひくのが嫌なので、今日借りるとすれば、メイ・サートンの『82歳の日記』と決めていた。『独り居の日記』『海辺の家』『回復まで』と『82歳の日記』はメイ・サートン4部作と括るのがふさわしい「わたくしノンフィクション」で、これを読んだらもうあとはない。彼女は刊行の翌年亡くなったのだから。
 1階の文学書室で『82歳の日記』が貸し出されていないことを確認してから2階へ上がり、好きな建築家のエッセイでもぱらぱら繰ってみることにした。
 2カ月前、松家仁之の『火山のふもとで』を読んでいる間も読み終わったあとも、この本の主役である建築家を中村好文になぞっていた。時代に左右されない質素で質実な感性の建築家。そんなに中村好文の作品や人となりを知っているわけではないけれど、建築に造詣が浅い私は、松家が描く人物像を中村に重ね合わせたのだった。
 建築関係がまとまった棚に中村の『小屋から家へ』と『住宅読本』があったので、窓際に置かれた一脚の椅子に住宅読本を持って行って、読み始めた。
 12章に分けて住宅論を展開していた。
 順に「風景」「ワンルーム」「居心地」「火」「遊び心」「台所&食卓」「子供」「手ざわり」「床の間」「家具」「住み継ぐ」「あかり」。
 たとえば第1章「風景」の出だしはこうだ。
<風景のなかにしっくりおさまっている家を見ると、「ああ、いいなぁ」と思います>
 第2章は<「建築家はワンルームの建築によって記憶される」という言葉があります。20世紀半ばにアメリカで活躍した建築家、エーリッヒ・メンデルゾーンの残した名言です>。
 第3章の「居心地」なんてエッセイの出だしだ。
<とっておきの居心地を家のなかに見つける能力にかけては、とても犬や猫にはかなわないという気がします>
 その通り! 
 こんなふうに12の断章で写真とともに住宅論を語っている本で、読んでいると時間の進み方がゆるくなる。控えめな人はそれだけで優しい。
 1時間半くらいで『住宅読本』を読み終え、本を戻しに行った。
 と、すぐわきに安藤忠雄の『住宅』という大部の本があったので、手に取った。彼がこれまで手がけた住宅やビルなどの設計図やパースが経年で収められていて、一躍有名にした「住吉の長屋」も当然のことながらあった。
 15分くらい立ち読みならぬ立ち眺めをしていて、中村と安藤の差がなんとなくわかったような気になった。同じ10坪の家でも、押し出しの強さを特徴とするのか控えめながら芯があるのを特徴とするのかで、まったく違う家になる。安藤も初期の頃は中村と同様、狭小住宅を数多く手がけていて、両者を比較していると素人目でも面白い。建築家や美術家だとなおいっそう違いがよくわかることだろうな。
 こうして瞬く間に3時間が経ち、『82歳の日記』を借りて、図書館を出ようとして左側を見たら、廃棄本が棚に並べられていたので、どうせ持ち帰るべき本なんぞないだろうと思いつつもすけべ心で行ってみたら、あった!
 以前、買いたいけどページ数のわりに高いからやめた、というフォトエッセイ集、三谷龍二の『僕の生活散歩』。ラッキー! 万引きじゃないですから、と言い訳するような気持ちでバッグに収めた。万引きついでに小谷野敦の『友だちがいないということ』も追加でバックに入れた。これは別に買いたかった本でもないのでまったく罪の意識なし。
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