前回の日記で変わった形のレールに付いてのクイズを出題しましたが、どうも難しかったようですね。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1946018712&owner_id=12290887
答えは、東京都交通局の都電荒川線大塚駅構内で最後まで使用されていた58キロ溝型ガードレールでした。
このレールは東京都のイベントで出品され、東京在住の私の叔父が珍しい形をしているからということで購入してくれたものです。
このレールに関する解説文が同封されています。
58キロ溝型ガードレールについて
路面電車のレールは、初期の舗装がなかった路面や最近のアスファルト舗装の場所では、普通のT型レールまたはこれの背を高くしたハイT型レールを使用していますが、石材舗装の場所には、路面電車独特の段型(ステップ)レールや溝型(グルーブ)レールを広く使用しました。
これらは、車輪のフランジが通る部分(フランジウェイ)を確保するために考え出されたものです。
また、急な曲線部では、脱線防止のためのガードレールを内側に設けますが、この機能を一体として作られたのが溝型ガードレールで、段型レールや溝型レールと組み合わせて使用されました。
T型およびハイT型レールは国産化されましたが、それ以外の路面電車用レールは戦前、戦後を通じて最後まで輸入に頼りました。
このレールは、都電の各所で使用された58kgの溝型ガードレール(長さ1メートル当たりの重さ、現設計は長さ1ヤードあたり117ポンド)で、設計はアメリカですが、1955年(昭和30年)から1966年(昭和41年)にかけてのルクセンブルクのコルメタ社製で、1991年(平成3年)2月まで都電荒川線大塚駅前付近で使われたものです。
溝型ガードレールとしては最後のものであるため、記念にスライスしたもので、図に示した原形と比較するとかなり摩耗して形が変わっているのがお解りいただけると思います。
なお、本文の作成にあたっては、前交通局工務部長 西野保行氏(現首都圏新都市鉄道株式会社 常務取締役)のご協力を得ました。
実は以前にこのレールを模型製作の師匠のところに持っていきまして診ていただきました。師匠は路面電車の模型製作に関しては日本一と言われるほどの腕前でして、路面電車の事に関しては私よりもずっと詳しいのです。
このレールをパッと診ただけで、これは溝付ガードレールで、曲線部分で使用されていたものだと看破したのです。
なぜ曲線部分かと言いますと、このレールを使用するのは石材舗装の部分であり、まくら木と犬釘で固定された後に、敷石を置いていきます。この敷石のおかげで自動車もレールを上を走ることが出来ますが、軌道にカントは付けにくいのです。そのため都電の重量を受けるときに車輪に横からの力(横圧)を受ける事になり、数十年間の使用で、レールが曲がってしまったのです。
ゲージと比較すると右に曲がっています。
そういえば、都電の大塚駅の前後には急曲線がありますから、その部分のレールだったのかもしれませんね。
次に車輪の踏面やフランジがレールに当たる部分の摩耗が結構酷いのです。レールが削れた跡もしっかりと残っています。
新幹線や山手線のような列車の本数が多くて長大編成で高速で運転している路線ではレールの摩耗は酷く、頻繁に交換していますが、都電の場合は本数は多くても車両自体は軽くて低速ですので、摩耗もそれほど早く進むわけではありません。
しかし数十年間使われていたのでしょう。摩耗も年月と共に進んでいたようです。
師匠はレールの断面から様々な事を読み取りました。そして「これは大変貴重なレールだから大切にしなさい」とのことでした。
東京都交通局ではこの58キロ溝型ガードレールの使用はもうありませんが、もしかすると地方の路面電車を運行する会社ではまだ少数ですが使用しているかもしれません。
都電の溝付ガードレールもまだ使用できるものは地方の路面電車を運行する会社に売却された可能性もあるでしょう。
もしもこのような変わった形のレールが残っていたら、記録しておくことも重要でしょう。
場合によってはその事業社にお願いして、レール更新の時には売却もお願いしても良いかもしれません。ドイツ製の珍しい形のレールを手に入れるチャンスです。
レールの断面一つから様々な事が解るものですね。
ところでドイツは路面電車王国ですが、ドイツではまだこのような溝付ガードレールを採用しているのでしょうかね?
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