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2011年06月03日21:48

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黒い雨とブータン(並列するのはおかしいけど)

 新聞の一面から消えるまで、このたびの震災で亡くなられたかた、行方不明のかたのそれぞれの総数を手帳に記すことが、朝いちばんの日課となった。
 当初は3万人超と推定されていたのだが、死者と行方不明のかたの合計数は固まってきて、先週あたりから合わせた数は減ってきた。
 今日の朝刊では15327名、8343名で計23670名。昨日は23714名だった。しかし、こうして私がつつがなく一日を終えている間にも亡くなられたかたのご遺体がひとり、またひとりと発見されていることを思うと、いい加減に生きていちゃいけないなぁなどといい加減な私はあらためて思う。
 一昨日、昨日と大雨だった。が、うちの前の(建築中の現場)には大工が雨でずぶ濡れになりながら働いていた。あずさと散歩中には、ヤマト運輸や郵便配達のクルマがそばを走っては停まり、ドライバーがそのたび雨に濡れながら小包を配達しているのを見た。
 原発の事故以降、しばしば(雨に濡れるのはいやだな)という感覚が湧くのだが、他方で、雨のなかでも普段通りに働いているひとを見るたび、私は彼らの側に自分がありたい、と考える。それがたとえ安っぽいセンチメンタリズムであったとしても、こうした精神の在り方は自分にあって汚染以上の人間らしさをもたらしてくれる、と信じるからだ。

 1週間ぶりに図書館へ行った。
 岩波書店発行の雑誌「科学」6月号は60ページにも及ぶブータン特集を組んでいる。ご存じの方も多いと思うが、ブータンは「幸福立国」を目指す最貧国だ。
 GNH(Gross National Happiness)が異常に高い。2005年の国勢調査で「とっても幸せ」と答えたのが45.1パーセント、「幸せ」と答えたのは51.6パーセントだ。国民の圧倒的多数が幸せだと感じているのである。年間所得のアベレージは1850ドルだから、11万円ほど。30年以上も前からジグメ・センゲ・ワンチェフ国王が所得より幸福重視という哲学の下、着々と農業立国を目指してきた。
 政府の行政諮問機関・国立ブータン研究所の所長ダショー・カルマ・ウラ氏の発言を読んでいて、心打たれた。
 幸福のみなもとは「関係性」につきる、という。
 幸福は自然に生まれるものであって、自分で作っていくようなものではない。周囲との関係性でしか幸福は生じないと彼は言う。
 そして、関係性とは
1 人と人との関係
2 人と自然との関係
3 この世代と次の世代との関係
 の3つを挙げていた。
 編集意図がブータン賛辞だから100パーセント信用するのも危険ではあるが、たとえば農民が「キャベツは換金できるから作っているが、農薬をたくさん使うからホント言うとあまり作りたくないんだ」と言っていたり、「ツルが電線にぶつかったから、電線をなしにして、電気のない暮らしに戻したんだ」という村人の発言を読んでいると、なんだか愉快な気持ちになってくる。
 やせ我慢というのは伝統的な武士道精神の根幹をなすものだ。日本人こそがこんな発想をするべきではないかしらね(笑)。

 
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