mixiユーザー(id:3696995)

2010年09月09日22:59

123 view

まちぶせ〜

ネットをいろいろ見ていたら、いいものを見つけたので、ショップでゲットしてきた。

三木聖子のCDである。

ご存じだろうか?
70年代のアイドルである。あの名曲『まちぶせ』を歌った歌手である。「ぎんざナウ」のアシスタントとして覚えている人もいるかもしれない。実働期間が極めて短かったことと、スキャンダルのないクリーンなイメージとで、幻のアイドルあるいは伝説のアイドルという位置付けになっている。

何といっても『まちぶせ』の印象が強い。
ご存じの通り、これはユーミンの作詞作曲。石川ひとみが歌って大ヒットした。
勘違いをしている人も多いようなのだが、三木聖子版がオリジナルである。つまり、石川ひとみは同じ事務所の慕っていた先輩の曲をカバーしたということなのだ。
何しろユーミンは三木聖子のために彼女をイメージして作ったというのだから、間違いなく本家本元なのである。

確かに歌の完成度という点では石川ひとみ版の方が上だろう。
ただ、三木聖子の妙に素人っぽい歌い方に惹かれてしまうのだ。特に「むねのお〜くでずうっと〜」のところの声の微妙な裏返り加減がよいのだ。
言いたいのに言い出せない。そんな控えめなふうでありながら、それだけではない女心を覗かせる。絶対に振り向かせる、という得体の知れないパワー。ある意味、女のしたたかさや怖さが垣間見えるとも言えよう。
そういう雰囲気には三木聖子の方がはまっているような気がするのだ。彼女をイメージして作られたのだから、それは当然と言えるかもしれない。

石川ひとみは大輪の花、三木聖子は咲く前の蕾、そんな感じだろうか。
明るくていつもクラスの中心にいる女の子と、引っ込み思案でいつもはにかんでいるような女の子、そんな喩えも可能だろうか。

しかし、この曲、ユーミンが歌うと、甘酸っぱい青春の1ページではなく、どろどろした愛憎劇のように聴こえてしまうから恐ろしい。「偶然をよそおい帰り道で待つ」といういじらしい作戦もなんだかストーカーのように思えてしまう。

三木聖子には『三枚の写真』というシングルもある。これもまた後に石川ひとみがカバーしている。
彼女が歌った曲はアルバム1枚とシングル3枚、合計で13曲しかない。
このCDにはそのうちの12曲が収録されている。
今回改めて聴き直してみて、やはり独特の魅力があると再認識した。強烈な個性こそないものの、ベタつかずかといってクールでもないという雰囲気を醸し出している。まあ、簡単に言ってしまうとフェロモン臭くないのだ。オシャレに関心がありつつもすっぴんの少女、といったところか。
楽曲も粒揃いで、この時代の歌謡曲の底力を感じさせる。レコード会社的にはかなり力を入れていたのかもしれない。明るい曲よりも悲しく切ない曲の方が合うようだから、そこそこの歌手にはなれたのではないだろうか。
あまりにも早すぎる引退は残念だが、その潔さも後になってみると好印象だ。

私は小さい頃からクラシックか洋楽を主体に聴いていたので、実際には日本の音楽にはさほど明るくない。ただ黄金の70年代に子ども時代を送っているので、自然と耳に入ってきていたのだ。そもそも毎日歌番組が放送されていた時代である。
クラスの友だちみたいにアイドルのポスターを部屋に貼っていたことはない。とはいえ、白状すると、自分にとってのアイドルは「アンヌ隊員、太田裕美に三木聖子」ということになる。

あの時代、「まちぶせ」されたいって思っていたかも〜。
0 4

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2010年09月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930