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2009年10月06日22:35

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オンド・マルトノという楽器

さて、オンド・マルトノの話でもしますか。

せんくらコンサートでの原田節(はらだ・たかし)さんの楽器紹介と自分の乏しい知識を合わせたものなので、まあこんなものかという程度で読んでいただければ幸いである。
ちなみに、写真はコンサート会場で許可を取って撮影したものである。左が全体、右が鍵盤に注目。

1928年にモーリス・マルトノという音楽に造詣の深い技術者によって作られた電子楽器である。オンドとはフランス語で波のこと。
楽器はモデルチェンジを繰り返し、一般的に知られる形となったのは第五世代(1935年)以降のことと言われていて、オンド・マルトノ用の曲もこれ以降によく作られるようになった。
発振機で波形を作りそれをアンプで増幅し音にするというのは後のシンセサイザーと基本的には同じ考えである。
また、オンド・マルトノはモノフォニック(単音)演奏のみが可能となっている。つまり、基本的にメロディー楽器ということだね。

音を出すための仕掛けは、普通の鍵盤があり、さらに鍵盤の下にリボンと言われる紐状のものがあり、これで音程をコントロールすることも可能。自由に音程をコントロールできるメリットがあり、効果的なグリッサンドやポルタメントが可能となる。また鍵盤の左下には音の強弱を制御するトゥッシュ(タッチ)というボタン類がある。写真ではリボンがわかりにくい…。

スピーカー類は3種類。まず鍵盤の横にある妙な形のもの。琵琶の胴体のようなものがパルムで、これには弦が張ってある(本数は忘れた、24本かな?)。この弦が共鳴することで、独特な音色が生まれる。その下がプリンシパルで、これがメインのスピーカーのようだ。そして写真には写っていないが、もうひとつメタリックというものがある。シンバルのような打楽器的な音になる。メタリックはステージの端にも置かれていた。

音を出す仕組み自体は電気的だが、非常にアコースティックに近い楽器だと言えそうだ。高音はヴァイオリンのように響くし、笛のように聞こえるときもある。もちろん、電子楽器らしいブイ〜ン(あるいはブオ〜ン)という音も出る。後のシンセサイザーがさまざまな音を生み出す機械という印象が強いのに対し、オンド・マルトノはそもそもの発想が楽器なのだと思う。
決して過去の楽器ではなく、いろいろなところで何気なく耳にしている。例えば『刑事コロンボ』のテーマがオンド・マルトノだったと思う。
確かパリ音楽院にはオンド・マルトノ科があったのではなかったか。

オンド・マルトノを使った有名曲では、メシアンの『トゥーランガリーラ交響曲』とオネゲルの『火刑台上のジャンヌ・ダルク』が知られている。また、アンドレ・ジョリヴェにはオンド・マルトノのためのコンチェルトがあったはず。
NHKの大河ドラマ『独眼竜正宗』のテーマ音楽(池辺晋一郎)にも使われて、そこで弾いていたのが今回の原田節さんなのだそうだ。

残念なことに正面からだったので、奏法自体を見ることができなかった。
それでも貴重なものを聴かせてもらったと思う。
妙な言い方だが、電波系の音で、感情を揺さぶるというよりは、脳髄に直接来る音という感じだ。電子楽器なのに暖かい音だったと思う。

友理枝嬢のコンサートの後の同じ会場でのコンサート。タイムスケジュールを見ると、これを聴いてからでも、十分に例のトリオのコンサートには間に合う。ということで、会場に着いてすぐに当日券を取った。友理枝嬢のコンサートが終わってからでもいいかなあ、と思っていたら残り僅かだった。「早く買っておいた方がいいんじゃない」というたぬ〜の意見を聞いておいてよかった。友理枝嬢のコンサートの後には完売になっていた。

CD買ってサインでももらうおうか、と思っていたのだが、大幅に時間をオーバーしたためそれどころではなかった。移動に要する時間はおよそ20分強。オーバーしても十分余裕があったのだが、何があるかわからない。電車止まるとか、道に迷うとか、たぬ〜が転ぶとか。次のトリオこそが仙台に来た最大の目的だったわけだから、これを逃したら目も当てられない。小心者のたぬ〜は結構ハラハラしていたらしい。
それでも、いいものを聴かせてもらったと思う。充実した仙台旅行にさらに一花添えることになった。

※ せんくらについては10/4の日記に書いてます。
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