mixiユーザー(id:18419990)

2023年09月02日00:46

13 view

同志少女よ、敵を撃て と 風神神雷@読書感想文

同志少女よ、敵を撃て
 読破して、巻末の参考文献を見た。「亡国のハントレス」は無かった。てか、そこに並んでる書を見て先日の私の憶測を恥ずかしく思う。
参考文献の中に「戦争は女の顔をしていない」がある。このタイトルだけ聞いた気がする。2015年にノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ氏の作だ。ベラルーシ国籍の女性作家。
 両書の参考文献が同じだったという推測は妥当だろう。小説家を志す者がノーベル文学賞受賞作家の書を読むのは不思議ではない。
 それはさておき、物凄く素晴らしい小説だ。ベストセラーである事や、数々の賞を受賞している事や、その中のアガサ・クリスティー賞の4人の選者が異例の全員満点をつけている事も納得だ。私も満点をつける。
 アガサ・クリスティー賞の選評も巻末に載っているが、最終選考の他の作品は運が悪かった、という意見が多かった。それも納得。
 先の日記で「亡国のハントレス」を引き合いに出した事すら恥ずかしい。これは単なる戦争冒険譚だが、本書はそれを凌駕している。何が凌駕しているのかというと戦争というものに対し哲学的に斬り込んでいる事だ。

原田マハ「風神神雷」
 何故これを「同志少女よ、敵を撃て」と同じ項で投稿するのかというと、それは私の憶測に関連するからだ。
 俵屋宗達とカラバッジョは同じ時代を生きていた。この二人が遭っていたらどうだろうか?そう思うだけなら単なる妄想だ。だが本書の著者はそれを作品に仕立ててしまった。
 憶測いわんや妄想すらも類い稀な創造力で作品になる。その例が本書だ。
 筆者はキュレーターでもあり、それゆえ美術に対する造詣と愛がハンパない。だから駆け出しの創作者にはぐっと来る。なんだかよく判らないが涙目になってしまったりする。
 良い絵には「ほんものの何か」が有るという。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年09月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

最近の日記

もっと見る