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2022年01月28日21:07

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ポタリストの記録・【2022年の初ライドは禅寺参拝とサイエンスライドヘ・その4】

■本命は「はやぶさ」ではなく、「イカロス」■

忠生通りを南に進み、JR横浜線のアンダーパスを潜る。この通りは県道507まで渋滞が続く。この日も例外なく混雑していた。

R16を横断すると信号の間隔が広くなるため、それ以前の密集した状態から幾分緩和される。

松が丘二丁目交差点を二段階右折し、忠生公園通りとお別れ。そこを相模原の中心街に向かう。林の中にJAXA相模原はある。2021年12月13日より入場に予約不要となった。但し入場コースは限られていた。床に貼られたテープが混雑を物語る。勿論本日は全く混雑はない。入口手前の自販機に驚く。500mlのペットボトルに至るまで全て90円。かなり福利厚生は手厚いことが分かる。

入場すると、記念品として宇宙のイラストが描かれたマスクケースを頂いた。自転車に乗らない人からすれば、サイクリストのカッコウはただの変態ファッションでしかないが、先方はそのような不格好の私にも至って丁重だった。

ギャラリーの多くは精巧な模型のはやぶさに興味津々だ。しかし個人的には ソーラー電力セイル実証機「イカロス」に関心をそそられた。これはソーラーセイルは、ひと言で言うと「宇宙ヨット」。地球上のヨットは、海でセイル(帆)を広げて、風を受けて進むが、その宇宙版ともいえる。ソーラーセイルは、風の代わりに太陽の光を受けて進むので、エンジンも燃料も要らない夢の宇宙船だ。

太陽光の圧力を使って進むソーラーセイルのアイデア自体は約100年前からあり、欧米でも盛んに研究・開発が進められている。

しかし、難問もあり、なかなか実現出来ていなかった。その一つとして、ソーラーセイルに最も重要な、軽くて薄いセイル(帆)の膜を安定的に作る技術がなかったからである。またセイルの膜は、宇宙空間の放射線や熱にも強い素材を用いる必要があった。

そこでその素材として白羽の矢が立ったのがポリイミド樹脂である。

ポリイミドは「イカロス」のセイルの素材としてだけでなく、人工衛星の断熱材としても使われている。

このような優れた素材ができたからこそ、ソーラーセイルが現実味を帯びてきたのだとプロジェクトリーダーの森氏は語る。

因みにこのポリイミドの世界シェアを日本が1位を占めている。さしものアメリカといえども日本製のポリイミド樹脂なくしては宇宙計画を実現出来ない。

「この点に優位性があると思いますし、世界初のソーラーセイルを実現させる意義も大きいと思います。」

と森氏は語る。

JAXAでは軽いセイルを作るため、接着剤を使わずに、熱を加え、融着して貼り合わせが可能なポリイミドを開発した。ポリイミド樹脂はもともと黄色だが、「イカロス」のセイルの片面は銀色だ。これは、ポリイミドの膜の片面にアルミを薄く吹き付けて、太陽光をよく反射するようにしているため。さらに、万が一、膜が破れたとしても、その亀裂が途中で止まるような構造になっており、膜の一部が裂けた場合、ソーラーセイルの性能は少し落ちるものの、宇宙航行は継続可能とのことである。

平成22(2010)年5月19日、種子島宇宙センターから金星探査機「あかつき」及び小型副衛星4機と一緒に、H-IIAロケット17号機により打ち上げられた。ロケットは順調に飛行し、あかつきは所定の軌道に投入された。イカロスも計画通りに分離信号を受け、無事に分離された。5月24日には初期動作チェックを終え、イカロスは実証実験へ移行した。

同年7月9日、以前より取得できていた通信電波のドップラー効果を利用した地球に対するIKイカロスの相対加速度のデータに加え、新たに算出されたレンジアンドレンジレート(RARR)によるイカロスの軌道決定により、セイルが太陽光の光子を受けて、イカロスは加速出来たと確認された。

同年12月8日、日本標準時16時39分、IKAROSは金星から80,800 kmの地点を通過した。ソーラーセイル宇宙機としては、初めて他の惑星の近傍に到達したのである。

夢の太陽光宇宙ヨットの計画、実験は成功したと云って良いだろう。

果たしてどこまでこの計画は進行するのか。大変興味深い。太陽光エネルギーで有人宇宙船が可能になれば、従来のスペースシャトルのイメージを一変させるほどのエポックではないか。

帰りは松が丘2丁目から相模原中心部に向かう道に戻り、中心部を通り、清新6丁目の交差点を二段階右折して北上、R16を横断。本当は寄りたかったが、時間の都合でコーナン相模原小山店前を通過した。三鷹のコーナンよりははるかにマシと期待してのことだったが、家事があるので、残念だ。

JR横浜線の踏切を越えて橋本駅前、寿橋から相原駅南交差点を経由して、来た道を引き返す形で復路に就いた。

走行距離は約63km、平均時速は20.1kmと運動不足と北風の割にはまあまあだった。

最後まで御覧頂きまして、ありがとうございました。

(了)

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