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2021年09月10日19:01

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狐につままれたような電話

 夏が出戻り。嬉しいな。
 午前11時、ラズリのドッグフードを買いがてら、クルマに乗ってホームセンターへ。マイミクさんからもらった「ブレードランナー」のサウンドトラックをUSBメモリーに保存したので、それを聴きながら運転するというのが目的のような気もする。ドッグフードならAmazonで買えるもんな。
 30分後にホムセン着。暑くなりそうなので屋外ではなく立体駐車場に入れようと思い、ビル内に入って空きのスペースを探した。と、なんとマイカーと同じスマートフォーツーを見つけ、運がいいことにその隣が空いている。当然、そこに駐めた。
 白かぁ。スマートは限定色を除いて、白、赤、黒。銀が主なカラーリングで、自分的にはシルバーを除いてどれでもよかった。が、シートを含む内装の色は出来れば赤が欲しかった。運転中、ボディの色は自分じゃ見えないけれど、インテリははずっと目に入っている。赤は目に映えるので、それで気合いが入りそうと。
 で、クルマから出て、あらためて2台並んだスマートを見てからiPhoneで写真を撮った。と、7〜8歳年上の畏友から着信があったことが判明。ブレードランナーのサントラに浸っていたので聞こえなかったのだろう。
 かけ直してみたら、今度は畏友が出ない。
 で、まずはホムセンで買い物をすることにした。ドッグフード、ササミジャーキー、そしてA4用紙500枚の束などを買った。私は印刷魔でA4用紙は大量に使う。まだ200枚くらいはあるのだが、それでは心許ない。どれを買おうか、かなり迷った。上質紙、一般的なコピー紙、そしてカラー用紙と何種類もある。いったんは安いコピー紙をカゴに入れたのだが、レジに向かう途中で思い直した。これから翻刻文を全てプリントアウトする。その際、これまでの校正紙とはっきり区別できるカラー用紙のほうがいいのでは? 売価は2倍だったが、これくらいは贅沢じゃない。青、緑、黄色、ピンクの4種類あったが、緑色を選ぶ。用紙選びで結局10分近く費やした気がする。
 クルマに戻った。まだ隣のスマートは駐車したままで、位置も変わっていない。
 少し大回りをしてブックオフに行く。
 電化製品のコーナーをちょろっと見たら、たまたま自室の天井照明と同じでしかも4灯の照明器具があった。今は2灯タイプなので、明るさが倍になる。
 LED電球は4球とも付いていた。電球色でかつ4個とも切れてないなら買おうと思って、レジに行く。これ、試しに点灯して欲しい旨を店員さんに告げると、やってくれた。4個とも正常で、電球色だったので、その場で買って精算した。
 莫迦丸出しだが、照明器具を持って本のコーナーへ行き、読みたい本が1冊見つかった時点で終了ということにする。15分後、瀬戸内寂聴さんの『爛』という長編小説で、93歳(執筆当時)の著者が「八十歳を目前に自殺を遂げた友人の、一人の女として愛欲に忠実に生き抜いた様を描く」というような文言が帯に載っている。寂聴さんは瀬戸内晴美時代、女性性を前面に出した官能的な長編を数々お書きになっていて、女をよく知らない私には驚愕するばかりの作品であった。もっとも瀬戸内さんの描く女の人って世間一般の女性とは違うので、参考にならない。どころかえげつな過ぎて害悪である(笑)。
 で、照明器具と寂聴さんの本を持ってクルマに入った瞬間、畏友から折り返しの電話があった。
 いきなり、意味が分からない質問とお願いをされた。
「鎌倉で、お茶室がある家屋で、お茶のお稽古をお弟子さんたちにつけていたけどもう歳も歳だから師匠を引退して別の家に越そう、という家、知らないですか?」
 えっ、お茶室がある鎌倉の家ですかぁ?
「鎌倉なら歳とったお茶の先生っているでしょ!」
 はあ、いるかもしれませんね。
「妻がね、茶室のある家に住みたい、って言い始めてね。しかし、そんな家ってそもそも公に売り出さないじゃない。だからこうして訊いているんです」 
 ……(そのとおりだけど、私が知る由もないじゃないか)
「鎌倉って田舎なのに、結構家の値段は高いんです。もし別荘代わりならもっと安くて立派な家を買うほうがよくないですか?」
「いや、妻が鎌倉で、毎日お茶を点てて暮らしたいって言うんです」
「最低でも5千万円以上かかると思いますけど」
「金に糸目はつけません。いまも財産はあるし、この先遺産相続で使い切れないお金が入ります。探してみてよ」
「その道に知り合いがいないこともないので、リサーチしてみましょうか。しかし、一つ訊きたいんですけど、奥様と別居ということになるのですか(ご夫妻は3年前、渋谷のマンションに越したばかりゆえ、合点がいかないのだった)」
「別居……というか、いまのマンションで一緒に暮らしたり、妻だけ鎌倉にというふうにはなるだろうね」
 うーん、いきなりこんな話を振られるとは思わず、狐につままれたような気分だ。さらに、既に茶室がある日本家屋っていうことは、それなりの立派なお屋敷なので、こういう極端な物件は少ないだろうなと戸惑う。
 まあ物は考えようで、お茶室がある屋敷で売ってあげてもいいという家を探すのは面白いと言えば面白い。もしそんな家が万が一にでもあれば、畏友と奥さんが鎌倉にやって来て、3人でお茶も出来る。
 ブックオフの駐車場ですぐにエンジンを回す気が起こらず、しばし佇んでしまったのだった。
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