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2021年07月04日17:30

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鏑木清方記念美術館へ

 朝9時から放映の「日曜美術館」を見ながら朝食のペペロンチーノを食べ、2杯目の珈琲を飲んだ。
 昨年の5月以来、ずっと気に掛かっている美術館がある。「鏑木清方記念美術館」で、日本画や浮世絵に関心がないにもかかわらずだ。きっかけは沢木耕太郎で、『旅のつばくろ』を読んでいたら、彼が鎌倉霊園へ墓参りに行った帰り道に偶然立ち寄ったのが鏑木清方記念美術館で、尊父が句誌に遺したエッセイに鏑木清方の「築地明石町」を取り上げられていて、美術館でその絵を見たときにこの偶然性を楽しめた、と綴られていた。
 週の始まりは日曜日なのか、月曜日なのか。
 旧来のカレンダーやスケジュール帳の多くは日曜始まりで、デジタル時代になって以降は月曜始まりが混在するようになった。どちらでもいいのだが、相変わらず(自作リフィルの)システム手帳を使っていて、日曜日が一週間の始まりだという気がする。そして、日曜日の過ごし方がその週を規定する、という根拠なき思いを少し感じている。
 今日は雨。どうも終日雨らしい。それなら観光客も多くはあるまい、と思い、鏑木美術館に行って、感受性を充電してみることにしよう。一日最低5千歩を歩く、というようにスマートウォッチも設定しているので、うちからちょうど1キロなら3千歩くらいは歩数だって稼げるはずだ。
 門から美術館までのアプローチがよかった。雨に濡れた石畳と木々が光の粒粒をまとっている。
 館内に入ったところにいきなり図録が10数冊、並べられていた。7月2日(一昨日)からの展示は「夏色美人〜清方がみた夏景色」で、たぶん涼しげな美人画だってあるだろう。手に取った図録には「今回展示作品」と書かれた付箋が貼られてあって、図らずも予習が出来る。が、じっくりと見てしまうと感動が薄れるかと思い、目を凝らすことなく、さらっと流すように見てみた。が、一点だけは目に焼き付いた。「ゆかた」というタイトルが付いていた。
 最初に見た絵は「紅雨荘」というタイトルで(http://www.kamakura-arts.or.jp/kaburaki/collection/kouu-so.html)、地球に降りてきた天女がいるとしたらこういう構図を見たいもんだ、というようなジジイっぽい妄想を喚起してくれる。原画は縦横1.5メートルの大作で、じっと見ていると江戸時代にタイムスリップしたような気持ちが湧いてくる。描かれたのは1912年(大正元年)だけど。
 お目当ての「ゆかた」は奥まった一郭でひっそり掲示されていた。これも私好みだな。
 美術館の所蔵点数は膨大だと思うが、展示されているのはごく少なく35点だった。だからか、一点一点じっくりと見てまず一周し、いったん閲覧室のようなガラス張りの部屋で図録を見たり手入れが行き届いた中庭の風景を見たりして、もう1回展示室に戻り、目を再起動させてから眺めてみた。
 ぴったり1時間、館内に滞在した。
 沢木耕太郎が挙げていた「築地明石町」は2点、下絵が展示されていて、「ああ、この絵かあ」と納得。唯一私が知っていた美人画だった。
 梅雨の雨の日曜日の、静かな時間。
 今週は静けき週にしたい。
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