やっぱりキムタクの演技が凄かった『教場�供�
『教場』は、“教場”と呼ばれる警察学校の教室が舞台のドラマです。
前回の続編となる今回は、２年後の初任科第200期短期課程の教場にスポットを当てたもの。主人公の教官・風間公親（かざま・きみちか）の冷徹無比さは変わりなかったです。そま風間がモットーにしていること、「優秀な警察官を育てるための機関ではなく、適性のない人間をふるい落とす場である」ということで、生徒がトラブルを抱えたとたん、退校届を突き付ける非情さもかわりばえしていませんでした。
ただ今回はそんな風間が違う一面を見せることを見逃してはいけません。それは何もするのもそつなくこなせない教場一番の不適格者だった漆原への対応に一番よく表れています。
信号機が故障した交差点での交通整理中、門限に遅れそうになっていた後輩の漆原を通してやったことで交差点に進入してきた車に撥ねられてしまった198期生の宮坂の殉職に責任を感じて、自ら風間に退校を申し出るも、宮坂の命を背負っている事を諭され警察学校に残ることで大変身。見事に卒業を遂げたのでした。
これ以外でも200期のメンバーで、風間から退校届を突きつれられた生徒は、多数出ましたが、その多くは問題を克服して、卒業にこぎつけています。
なので風間の口癖の「ふるい落とす場」だという口癖は、表向きのもので、実は訓練生に対して深い愛情を抱いているのではないかと感じました。
風間が訓練生に対して、なぜ厳しく接するのでしょうか。今回のドラマのエンディングの後で、風間の刑事時代に起こった事件の模様が初めて描かれます。そこではある大雨の晩、捜査中に不審な人物に声をかけたところ、背後から千枚通しで襲われたのでした。その結果、相棒の後輩刑事は死亡。風間自身も右目を失明する事態に陥ったのです。そういう痛恨の過去を引きづっているからこそ、風間は中途半端な気持ちで警察官になってほしくない、自分の教場から殉職者を出したくないという思いを思って教壇に立っているという目でドラマを振り返れば、風間の指導が厳しいものになってしまうことにとても共感してしまいました。あの退校届も本人のため、優しさからだったのですね。
ということで、観察力に長けた教官が極限状態で生徒たちが抱いた邪（よこしま）な思惑を暴いていくミステリという一面をまといつつ、実は生徒たちの成長を描く物語であると同時に、見込みのある者をより成長させていく教師の物語として、見ごたえのある人間ドラマになっていることが本作の魅力であると思います。
前作に引き続き、教壇に立つ風間のすごみに圧倒されてしまいました。これを演じているがキムタクとは思えません。全く別人に見えます。ただ今回は、怖いだけでなくその奥にある苦悩と苦悩を味わった人間だけが見せる優しさを感じて、キムタクの演技に一層磨きがかかったような印象でした。
見逃した人は、Tverをご覧ください。
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