mixiユーザー(id:6486105)

2020年01月03日20:57

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『高く手を振る日』

 1月3日。
 まだ年賀状を書いている。
 午後3時にラズリと20分ほど散歩したあと、先月にブックオフで買った黒井千次著『高く手を振る日』を一気に読んだ。
   ★   ★
人生の行き止りを意識するようになった浩平は、雪の日に一度だけ接吻を交わしたことのある学生時代のゼミ仲間・重子と再会する。彼女に勧められ、携帯電話を初めて手にした浩平は、掌の中の重子と密かに交信を始め、しだいに想いを秘めたメールのやりとりにのめりこんでいく…。70歳を越えた男と女の純愛小説。 (Amazonの紹介文)
   ★   ★
 一度、黒井さんをインタビューしたことや、大規模パーティーの会場でお姿を拝見したこともあって、主人公・浩平の顔がときどき黒井さんの顔に重なる。私小説ではまったくないのに。
(人生の)行き止まりを意識している男と、自分の行方なんて考えない女が、再会してしばらくののち、女のほうが行き場を探すというアイロニカルな展開が面白かった。
 純愛小説ではなく、むしろ失恋小説と呼ぶほうが適切なストーリーだった。
 70歳半ばの男と女、というやや特殊な設定ではあるものの、優れた恋愛小説に見られる普遍性が描かれている。愛と疎外と共鳴と別離と……、上手く言えないけれど。130ページの短い中編小説で、いくつもの抽象概念が浮かんでは消え、消えては浮かんだ。
 この小説が邦画化されるのは想像しにくいが、フランス映画なら観たい。
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