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2017年05月07日02:23

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久々の落語 THE MOVIEでは、大ネタとなる「藪入り」が放送されました。

【超入門!落語 THE MOVIE 春スペシャル「藪入り」】
http://www4.nhk.or.jp/rakumov/
 久々の落語 THE MOVIEでは、大ネタとなる「藪入り」が放送されました。

 このネタの枕の定番と言えば、ねずみの懸賞金付きの駆除届出制度です。明治時代にペストの流行とき、警察は感染経路となるねずみを駆除すべく、ねずみを捕まえた人には懸賞金を支払っていたそうです。
 非感染のねずみなら2円(現在の貨幣価値で約8000円)、感染したねずみなら5円(現在の貨幣価値で約2万円)も支払ったそうなのです。感染したねずみの高額報酬が本作のオチととなります。
 ところで、感染したねずみに対して倍額支払ったことから、後世なチフスのことを“倍金”と呼ばれるようになったとか(あくまで落語界でのお話し)

 さて、薮入りとは、かつて商家などに住み込み奉公していた丁稚や女中など奉公人が実家へと帰ることのできた休日。旧暦1月16日と旧暦7月16日がその日に当たっていました。
 噺では、商家に奉公している少年・亀吉が3年ぶりに実家へ帰る藪入りの前日の夜、息子の帰りを待ちきれない父親の男は「あいつの好きなウナギを食わしてやりたい。ああ、あとお汁粉を食わしてやりたい、それから天ぷら、刺身、シャモ、寿司を……」と妻(=亀吉の母親)に提案。妻から「そんなに食べられやしませんよ」とたしなめられます。
 しかし父親は勢いづいて、「今日は湯に行かせたら、本所、浅草に連れて行きたい。ついでに品川で海を見せて、羽田の穴守様にお詣(まい)りして、川崎の大師様に寄って、横浜、横須賀、江の島、鎌倉。ついでに名古屋のシャチホコを見せて、伊勢の大神宮様にお参りしたい。そこから京、大阪を回って、讃岐の金比羅様を……」とまくし立てて、妻をあきれ果てさせるのでした。

 当日。玄関でコンコンと戸を叩く音に両親は、気が気で鳴りません。案の定、戻ってきた亀吉は、三つ指立て平伏し、立派に挨拶を述べるのでした。身長が伸び、キリリと礼儀正しい亀吉を見て両親は感涙します。
 
 ところが、母は湯屋に出かけた亀吉の荷物をふと見て、財布に5円札の紙幣が3枚も入っているのに気付くのです。現在の貨幣価値なら約6万円の高額。奉公先に持たされた小遣いにしてはあまりに高額なため、両親は、「亀吉が何か悪事に手を染めたのでは」という疑念を抱きます。父親は気を落ち着かせて待とうとするが、いら立ちがつのるばかり。 
 帰ってきた亀吉に対し、父親は「このカネは何だ」となじります。亀吉はカッとなり、「人の財布の中を見るなんて、下衆だよ。これだから貧乏人はいやなんだ」と言い返したので、父親はすかさず殴り飛ばしてしまうのでした。母親は父親を制止し、「じゃあ、どうやって手にしたおカネなのか」と泣きながら問いただすと、亀吉は「そのおカネは、いやしいことで手にしたものではなく、店で捕まえたネズミを警察に持って行ったら、懸賞が当たってもらったもの。大金だからなくしちゃいけないよといわれて、店のご主人に預かっていただいたもので、今日の藪入りのために返してもらってきたところだ」と答えたのです。
 
 両親は安心するとともに、亀吉に疑ったことを深く詫びました。そして我が子の徳と運をほめたたえたのです。父親は「これからもご主人を大事にしろ」と亀吉に教え、次のようにオチをいうのでした(^^ゞ
 
「これもご主人への忠(チュウ)のおかげだよ」(=ネズミの鳴き声と掛けた地口)。

 亀吉役の鈴木福くんの好演が印象的でした。また本シリーズのホスト役の濱田岳による「現代版枕」も印象的でした。
http://www4.nhk.or.jp/rakumov/5/
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