何よりもヌレエフ版だというだけで観る価値があると思わせる内容だった。
ずっとヌレエフの群舞の複雑さをどうダンサーたちがさばくのか謎だったけど、
考えてみれば、サッカー選手がスペースを作りパスをもらうように、
次はこの群舞がここを通るから、このスペースを空ける、そんな風にさばくしかないのだ、ということに気づかされた。
そういう意味で、ダンサーは個人的な踊りだけでなく、全体の配置を考えながら踊らなければいけない、観客に見えない苦労をしているのだ。
そして更にヌレエフ版のではキャラクターの扱いが素晴らしく、キャラ立ちをしっかりして、役を人間味あふれる人物にするよう、ダンサーに要求するところだ。
で、今回にしてみれば、キトリ(エリサ・バデネス)とバジル(レオニード・サラファーノス)が、しっかり役どころを理解して、粋な性格のキャラに仕上げていた。
実際、あまり期待はしていなかったのだが、いい意味で予想を裏切る明るく楽しい舞台だった。
ヌレエフ版のいろんな作品、もっと観たいなあ。
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