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2016年03月18日02:40

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LRT先進都市・ストラスブールの事例、そして池袋

●トラムを軸にしたストラスブールの街づくりとは
そんなストラスブールを訪れ、視察をした溝口氏。講演会壇上でまず、「美しい街並みにトラムが走る風景は感動的でした。カメラのシャッターを押したくなるフォトスポットが多く、歩いて楽しい街でした」と、印象を語った。この「歩いて楽しい街」であることこそが現在のストラスブールの大きな魅力であり、トラム導入による街づくりがもたらした成果であると、溝口氏の話から知ることができた。
1994年にトラムが導入される以前、1980年代のストラスブールは歩いて楽しい街どころか、街は自動車であふれ返り、交通渋滞や大気汚染の問題、さらには街の中心部が空洞化して商店街はさびれてしまっていたという。そんな状況を解決する鍵となったのがトラムだった。始まりは1989年の市長選挙。交通渋滞を解消するために地下鉄を導入する政策を掲げた現職の市長に対し、トラムを導入することを掲げたカトリーヌ・トロットマン氏が当選した。そうして6年後に約10kmの区間でトラムが開通(その後、路線延長がなされている)。
ここで重要なのは、車に代わる交通手段としてのトラム開通が目的だったのではなく、多くの人が集い活気ある街にするための手段としてトラムを導入したということだ。トラムの開通に伴い、車道や駐車場を歩道やオープンカフェに変える、トラムの専用軌道を緑地にするといった取り組みを行なった。なかでも画期的だったのが、トランジットモールと呼ばれる歩行者専用道路を設けたこと。トランジットモールを通行できるのは歩行者のほか、トラムなどの公共交通のみで、つまりは車を締め出した空間というわけだ。そして、車が街の中心部に乗り入れできないよう、車の乗り入れを規制し、「パークアンドライド」システムを取り入れた。パークアンドライドとは、自動車を都市周辺の駐車場に止め、そこから鉄道やバスなどの公共交通機関に乗り換えて街の中心部へ入る形態のこと。ストラスブールでは街の中心部入口に駐車場を設け、そこからトラムなどに乗り換えて移動するという仕組みを整えた。さらには自転車の専用道路の整備や、トラムを補完する交通機関として郊外にBRT(※)を新設するなど、交通網を総合的に整備したのだった。
「その昔は、歴史的な建造物であるストラスブール大聖堂の周囲も駐車場と化していたそうですが、今では車の姿はなく、人が歩いて楽しめる広場になっています。つまり、トラムを導入するとともに、街の景観を整備し、景観美のクォリティを高めたわけです」と、溝口氏は解説した。そうした取り組みで街に活気がよみがえったストラルブール。LRTを導入したことで、住民の買い物行動にも変化があり、街の中心部での買い物回数はLRT導入以前に比べて約3割増えたという。

●LRTはコンパクトシティを実現するための基幹公共交通
 こうしたさまざまな課題と向き合いながら、富山市(富山ライトレール)に続く国内2番目のLRT導入都市をめざして始動した宇都宮市。栃木県の県庁所在地で人口約51万人の中核市。東部地区には大規模な工業団地があり、工業都市としての顔ももつ。そんな宇都宮市を走るLRT計画の概要を紹介すると、まず区間であるが、JR宇都宮駅をはさみ、西側の中心市街地と、市東部の工業団地や宇都宮市に隣接する芳賀町の高根沢工業団地までの約18kmを結ぶ公共交通機関として計画されている。先行してJR宇都宮駅東側の14.6kmを整備する。富山ライトレールのケースは、利用客減少という問題を抱えていたJR富山港線を富山市が買い取り、約7.6km(富山駅北〜岩瀬浜)のLRTとして再整備したもので、既存の線路6.5kmに新たに路面電車の専用軌道1.1kmを敷くという形での開通だった。つまり新設したのは1.1kmだったのだ。が、宇都宮の場合は全線が新設路線として計画されているので、全線新設路線のLRTとしては日本初の試みとなる。LRTの事業方式は公設型上下分離方式を採用。「下」の部分にあたるレールや停留場などのインフラを公共(宇都宮市・芳賀町)が整備を行ない、「上」にあたるLRTの運行・運営については官民出資による第3セクターの宇都宮ライトレール株式会社(2015年11月設立)が行なうことになった。概算事業費は先行して整備を行なう区間で約458億円。平日の利用者を約1万6000人と試算し、開業初年度から黒字が見込めると想定しているという。
「宇都宮市でLRTが公的に議論されたのは、1993年にさかのぼります。当初、宇都宮市の東部地区に集中する工業団地の激しい渋滞を緩和するための交通手段として着目されたのがLRTでした。しかし、2000年になると、車社会の進行で中心市街地の衰退が問題になり、まちなかを活性化させるためのツールとしてLRTを走らせることが検討されるようになりました。そして、今、LRTはコンパクトシティを実現するための目的のひとつと位置づけられています。人口減少社会が進むなか、それに対応し、生き残るための街づくりをするという大きなフレームの中でLRT計画が動き出しています」と、森本氏は語る。コンパクトシティとは、商業圏や生活圏など拡散してしまった都市機能をいくつかの地域拠点に集約させていこうとするもので、地域拠点を結ぶ軸として期待されているのがLRTやバスなど公共交通なのだ。

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LRT先進都市・ストラスブールの事例、そして池袋
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