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2015年12月24日13:50

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映画『スター・ウォーズ／フォースの覚醒』3D・IMAX版作品レビュー

★★★★★採点外！
　公開日の新宿歌舞伎町では、熱狂に包まれていました。街路では、スター・ウォーズキャラのコスプレが闊歩。21時を超えたのに、映画館場内は、グッズとチケットを購入する長蛇の列。そして、スクリーンを前にしたとき、異様な観客の熱気を感じました。その熱気が爆発したのが、オープニングのテロップが流れたとき。
　あのテーマ曲が鳴り響き、字幕がせり上がっていく冒頭部分を見ると、やはり気分が高揚してきますね。
　これまで年間200本以上の映画鑑賞をこなしてきましたが、始まる前に怒濤のような歓声と拍手に包まれたのは初めてでした。それだけに10年も待たされたファンの思いが、一杯詰まった上映となったのです

　先ずは、トータルの感想から言えば、監督が替わって、内容の変化が案じられましたが、かえって前6作よりも、過去の6作品より脚本が優れていると思います。本作は、アナキン、ルーク、○○と三世代に渡る家族の葛藤の物語。その中でも本作は、父と息子のドラマにおいて、きわめて感傷的で、メロドラマ的。エピソードⅥでルークの腕の中で息絶えるベイダーの死以上に、衝撃的でした。無駄のない演出、エネルギー、ユーモアを取り戻したという点で、ややダークサイドへの転落理由の説明調になって、暗かったアナキン3部作と比べて、エンターティメントでも凄く楽しめるルックになっています。アクションが満載で、万人受けする映画といえるでしょう。
　
　また、昔懐かしいキャラクターと新キャラクターの両方が出ているので、多くのファンから愛されてきた過去の6作品ともちゃんとつながっていて、旧３部作の変奏曲のようで、ファンとしてはうれしい限りですね。
　おそらく本作が現実点でシリーズ最高傑作の評価が固まるのもそう時間がかからないでしょう。監督が交代したことへの不安は、全く払拭されたのです。

　舞台は、「エピソード６／ジェダイの帰還」（８３年）の時代設定から約３０年後の世界。孤独な少女レイ（デイジー・リドリー）が暮らすジャクーは、第１作の主人公ルーク（マーク・ハミル）の故郷タトウィーンを思わせる砂漠の惑星でした。

　今回の大きなテーマは、最後のジェダイであるルークが姿を消し、その居場所を突き止めることにありました。前シリーズでヨーダが没したあと、ジェダイの後継者は途絶え、フォースの力は急速に弱まり、暗黒面の復活を許してしまったのでした。
　そんな現状をなんとか打開しようと、ルークは諸国を放浪しながら、次の世代のジェダイを担う後継者探しの旅を続けていたのです。
　一方、旧帝国軍側は、新たな強力なフォースの担い手であるカイロ・レン（アダム・ドライバー）というベイダーの後継者を得て、ファースト・オーダーという軍事組織を立ち上げて、次第にかつてのように反乱軍側を追い詰めていたのでした。何しろデス・スターの改良版となる惑星破壊兵器を完成させており、一発で反乱軍を惑星ごと吹っ飛ばす力を得ていたのです。反乱軍側は前作以上にピンチに追いやられていました。

　そんななか、ルークの存在がキーアイテムとなり、ファースト・オーダー、反乱軍双方が捜すことになったのは、ルークの強力なフォースの力が戦局を左右しかねない問題だったからです。
　冒頭、反乱軍のパイロット、ポー・ダメロン（オスカー・アイザック）は、ルークの居場所を示す地図を手に入れ、ドロイドのＢＢ―８に託します。逃走するＢＢ―８が出会ったのが、既出のレイ。子犬のようなＢＢ―８になつかれるレイは、ファースト・オーダーの脱走兵フィン（ジョン・ボイエガ）と出会ったところを、ファースト・オーダーに襲われたのでした。

　レイたちは、次々逃走手段を破壊されるなかで、なんとかオンボロ宇宙船に逃げ込むことができました。その宇宙船こそ懐かしきミレニアム・ファルコン号だったのです。宇宙に飛び出したレイとフィンの前に、ハン・ソロ（ハリソン・フォード）、チューバッカ（ピーター・メイヒュー）が現れると、思わず拍手したくなることでしょう。
　ソロの提案で、反乱軍の根拠地へと向かう前に、すぐ見つかってしまうファルコン号から別な宇宙船に乗り換えるために、旧友のアジトへと立ち寄ります。
　そこで、レイはルークのセイバーに引き寄せられて、フォースに覚醒するのです。もしかしたら、彼女こそ本シリーズの主役なのかもしれません。しかし、本作ではレイの血縁関係など一切明かされませんでした。ジェダイが全く活躍しない本作のなかで、彼女がルークのセイバーを操って、レンとセイバーで対決するシーンは、これまでの作品にもひけをとらない壮絶なアクションシーンでした。

　ルークの他図を狙ってソロとレイを追いかけるファースト・オーダー。そのリーダーであるレンとソロの間には、なにやら因縁もあるようです。その関係は、かなり早い段階で明らかになります。
　レンが尊敬するダース・ベイダーと違うことは、レンは全くの健常者であるということ。ベイダーをリスペクトするあまり、似たような素顔をマスクに隠したコスチュームを纏っているようです。それと、ベイダー同様に暗黒面に落ちた過去のあるレンは、ベイダーと違って良心の呵責が強く残っているということが、ベイダーと決定的に違うところです。もしかしたら、今後ベイダーとは逆に暗黒面からジェダイ側に寝返るのかもしれません。
　このレンは、父親が意外な人物であることはダース・ベイダーとルークの関係にも似た、父と子の因縁が繰り返されています。特に実の父親に久々に対面して、改心したかのように見せた上で見せる意外な仕打ちの件は、ベイダー最後のシーンの対極をなすような似ていて否なるシーンでした。

　ファースト・オーダーはついに、デス・スターを超える惑星兵器を操り、反乱軍の根拠地となっている惑星の破壊を企みます。それを破壊するための反乱軍の戦闘機による攻撃も第１作を思い出させてくれました。ハミルもレイア役のキャリー・フィッシャーも久々に同じ役で登場します。同窓会で懐かしい顔に再会した気分ですね。

　旧作へのオマージュがたっぷりなのは、Ｊ・Ｊ・エイブラムス監督の本作へのリスベクトと並んで、「エピソード５／帝国の逆襲」（８０年）、「ジェダイの帰還」の脚本を手掛けたローレンス・カスダンが共同脚本に加わっていることが大きいでしょう。

　「スター・トレック」（２００９年）で人気シリーズを復活させたエイブラムス監督は、「スター・ウォーズ」もまた、新たな強いヒロイン、レイを軸として見事に復活させてくれました。2年後の次作が待ちどうしいですね。

　最後に、本作はIMAXカメラで撮影されているシーンが多用されているため、一般劇場では上下がスクリーン幅に応じてカットされています。監督のイメージに近い状態でご覧になるには、IMAXで鑑賞されることをお勧めします。

●Introduction
SF映画の金字塔にして世界中で愛され続ける人気シリーズの新3部作第1章で、『スター・トレック』シリーズなどのJ・J・エイブラムスが監督を務めた超大作。ジョン・ボイエガやデイジー・リドリー、オスカー・アイザック、アダム・ドライバー、旧シリーズのマーク・ハミルやハリソン・フォードらが出演。新たなエピソードやキャラクターと共に、最新鋭の技術とリアルなセット撮影を融合した映像にも期待。
［日本公開：2015年12月18日］

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