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2015年08月18日19:18

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「海のふた」@新宿武蔵野館

一昨年「いやむしろわすれて草」、去年「水の戯れ」と2つの舞台で生菊池さんを観て、素敵な女優さんだなぁ目がハートと思っていたので、これは行かねばダッシュ(走り出す様)と。よしもとばななさんの原作小説本も読んでるし。

西伊豆の小さな町に久々に帰郷したまり(菊池亜希子)。彼女は偶然再会した元カレ(小林ユウキチ)に、寂れてしまったこの町でかき氷屋を始めると宣言する。さっそく準備に取りかかるまり。そんなある日、母親(天衣織女)が大学時代の友人の娘"はじめちゃん"(三根梓)を預かることになり、しばらくの間いっしょに暮らすことに。彼女は顔に火傷の痕が残り、大切な人を亡くしたばかりで、心にも傷を抱えていた。一方、開店準備が進むかき氷屋だったが、メニューはなんと、糖蜜、みかん水、エスプレッソだけ。自分が本当にいいと思えるものだけしか出したくないというこだわりを貫いた結果だった。そしていよいよ、念願のかき氷屋をオープンさせるまりだったが…。

ばななさん原作の映画を観たなぁ〜、というのが第一に出てきた感想。ゆったりと流れる時の中、油断しているとチクリと刺さるエピソードや言葉があったり。この世界観が退屈とも捉えられそうだが、私はそれなりに楽しめた。

主役は菊池さん演じるまりだけれども、そのヒロインを目を通して、梓ちゃん演じるはじめちゃんが抱えた傷を乗り越え、自分のやりたいことを見つけていく物語になっている。都会でバリバリ働いていたまりがなぜ突然仕事を辞めて、故郷に戻ったかは描かれないので、ちょっとモヤモヤするが、そういうあまり背景を語らないのもばななさんらしいとも思う。

古い空き家を借り自ら内装なども手掛け、自分の理想のかき氷屋を作っていくまり。メニューもこだわって、かき氷2種類とエスプレッソのみ。どこかふわふわとリアリティがなく、これでやっていけるの?なんて思ってしまう。実家という住処があって、食うには困らないというのが根底にあるから、こんな甘いことできるんだよなぁ、といういじわるな気持ちも正直湧いてしまった。

まりとは対照的に元カレはずっと地元に居続け、家業のたばこ屋喫煙を継いでいた。寂れてしまった田舎町で自営業をする大変さが徐々に明るみに出てきて、ついにある行動に出る場面が本当に切なくて。でも、これが地方の現実の一端を示しているのだろう。

菊池さんと梓ちゃんのふたりがいろんな表情や軽やかな動きを見せてくれてとても魅力的ハート自転車に乗ったり、海に入ったり、花火をしたりなどなど、いちいち可愛い。これはきっと監督も意識して撮ったのだと思う。まりの元カレを演じた小林さんも実在感たっぷりで、すごくよかった指でOK

かき氷を作るシーンもたっぷり描かれていて、シロップ作りもとても丁寧で観ていて食べたくて仕方なかった。劇的なことは起こらないけれど、登場人物をじっくりと優しい視点で描いた素敵な作品だったわーい(嬉しい顔)
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