近年恒例化しつつあるGWの遠征合宿だが、今年の合宿は長崎県対馬で行われた。対馬は1980年代後半から90年代半ばまで3回(6月上旬、7月下旬、9月下旬)の渡島経験があるが、20年ぶりともなればずいぶん様子が変わっていることだろう。時期的にややフライイング気味と思いもあったが、今までと違う時期でこそ違った種が期待できるはずと積極的に捉えることで、前回採りこぼした種を積極的に探索してみたい。
メンバーは昨年同様羊さんと蛾屋さんのI氏の3人。3日早朝に自宅を出発。連休の混雑もそれほど影響なくすんなりと福岡発対馬行きの飛行機に乗り込んだまでは良かったが、到着時刻となる30分後も機は対馬上空をトンビのように旋回を続けている。機内アナウンスでは空港の気象条件が悪く着陸できないと無情なお言葉とともに翼を翻し福岡まで引き返すことになった。
後発便のキャンセル待ちと船便の二股かけでバタバタさせられたが、壱岐経由で小雨の降りこめる対馬厳原港に到着したのは夜8時も過ぎた頃となった。しかし転んでもタダ起きはしない、こんな事でもなきゃ壱岐など立ち寄ることも無かろうと、わずかな乗り継ぎ時間に港の脇でアリバイ作りの採集。お陰で普通種ながら壱岐ラベルの虫を確保できたのは不幸中の幸いとしよう。
壱岐 芦浜港
壱岐ラベルを求めて
4日(初日)は昨日の雨も上がり、龍良山方面へと繰り出す。以前の狭い道路は広くなり、新しい道路もできてすんなりと目的地に到着することができた。途中の内山峠ではまだ春の装い濃く、シイの花などとても期待できる状態ではない。
龍良山原生林は以前と変わらぬ見事な照葉樹林が出迎えてくれたが、昨日の雨の影響か木肌は濡れ気温は低い。そして冷たい風が林内を走り抜けて行く。午初日の午前中は体を慣らす程度のつもりでゆっくりとしたペースで朽木をめぐって歩いた。久しぶりのご対面となるタイワンテンダマやキオビオオキノコが対馬で採集しているという実感が湧きあがる。しかし予想通り虫の影は薄く、前回6月の採集に比べるまでも無い。目ぼしい収穫も無く、本命は夜間の採集にかけると決めお昼過ぎには採集を切り上げる。
午後は近くの林道で小さな伐採地跡を見つけて潜り込み、ビーティングの雨を降らす。コナラの細い伐採枝からハガタナガクチキが落ちてくれたのが一番の収穫となった。
次は広大な伐採地へ立ち寄る。最近では経済諸事情から国産パルプ原料の採算が採れるようになり、各地で伐採が復活し始めている。今回の採集行でも行くところ必ず伐採地が見つかった。広大な伐採地はまだどこかで作業中らしく稜線の向こうからチエーンソウの唸るような音が聞こえてくる。伐採地では風が強目に当たり、ソダの上を飛ぶ虫の姿も少ない。やたらと目につくのはヒゲオヤジくらいで望み薄と早々に引き上げる。
ヒゲオヤジ
昼間の採集の締めくくりはシイタケのホダ木採集。前回の採集ではツシマヨコミゾ、その後新種記載されパラタイプ標本となったツシマヒサゴホソカタが多数採れ、夜間の見回りではカトウヒメナガクチキを得ている。1時間ほどの探索でヨコミゾとホソカタは大量に採れたが、他にめぼしいものは入らなかった。
すでに冬眠明けのなまった体は疲労でぐったり。深夜徘徊に向けて体力温存とばかり採集を切り上げた。
龍良山の収穫品
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