まずオルフェウスの冥府下りと、日本神話のイザナギの冥府下りを比較したいと思います。
画像はカミーユ・コローの「冥府からエウリュディケを連れ出すオルフェウス」です（・ω・)ﾉｼ
解説は順番に
�．�ルフェウスとイザナギ、冥府へと下る理由
�¬宿椶任離織屐爾鳩詼�
�８酩筺疔盻�け、穢れ払い
�こ擶狒喙�
この４つの順番で行きたいと思います。
主なテキストはイザナギ＝古事記、日本書紀
オルフェウス＝ギリシア神話、変身物語(オウィディウス)
と細々した補完テクストです〜
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�．�ルフェウスとイザナギ、冥府へと下る理由
オルフェウスとイザナギ、それぞれが冥府に下る理由は”伴侶の死”と言う点では一致してますが、経緯には差異が見られます。
イザナギは伴侶である女神イザナミが火輝神ヒノカグツチを生む時に女性器に火傷を負い、それが元で冥府へと下ります。その折イザナギはヒノカグツチを剣で切り殺してしまいます。
オルフェウスの場合は、伴侶のニンフのエウリュディケとの婚礼直後、エウリュディケが他のニンフ達と森を歩いてる時に、牧人アリスタイオスに見られてしまいます。アリスタイオスはエウリュディケに一目惚れし、エウリュディケを追い回します。彼女は逃げる途中、草の中の毒蛇に気付かず踏みつけてしまい、毒蛇に咬まれ死んでしまいます。
横恋慕と蛇のモチーフと言う事で性的な暗喩とも捉えられますが、蛇のモチーフはオルフェウス神話を通して一つの鍵となるもので、次の冥府における比較に移っていきます。
�¬宿椶任離織屐爾鳩詼�
オルフェウスとイザナギに課せられた冥府でのタブーもまた同じものです。
それは”指示されてから伴侶の姿を見ない”と言う点です、話の流れを比較して見ましょう。
オルフェウスは生きたまま冥府に辿り着いた後、冥府の王ハーデスと女王ペルセポネーに、アポロンより貰い受けた竪琴とその技術で、伴侶を地上に連れ帰る事の許しを得ます。
そして「地上に着くまで後ろを振り返ってはならぬ」という制約を受けて、エウリュディケと共に地上に向かいますが、道の先から地上の光が見えてくると、思わず振り向き妻の姿を確認してしまいました。
そしてエウリュディケは掻き消えるように冥府の奥へと引きずりこまれ、オルフェウスは慌てて取って返し、冥府の渡しカロンに説得を試みるもの、７日７晩かけてもそれが叶わず、独り地上へと戻りました。
イザナギの場合も生きたまま冥府（＝黄泉）へと下り、イザナミと邂逅する事が出来ます。
イザナギはイザナミに一緒に帰ろうと説得しますが、彼女は
「黄泉の食物、ヨモツヘグリを食べてしまった私は地上に戻れない」と拒みます。
それでも説得を続けるイザナギにイザナミは根負けし
「冥府の主に、地上に帰っても良いか相談してきます。扉の奥で話してますが絶対に覗かないで下さい」と言って奥の扉に入って行きます。
しかしイザナギは扉を開けて中を見てしまいます―――
そこには既に全身が腐乱し蛆がわき、さらに蛇の姿をした８柱の雷神が身体に巻きついた、恐ろしい姿のイザナミが横たわっていました。
イザナギは慌てて地上へと逃げ出し、恥をかかされたと思ったイザナミはヨモツシコメと言う冥府の女住人にイザナギを追わせるのです。
ここで、日本神話にも蛇が登場しやはり女神に絡みつく姿で登場し、女神の死と密接に関わってる事を示唆します。単純に不吉の象徴なのか？性的な隠喩なのか？
後の話になりますが、蛇は現世と異界を繋ぐ一種のトリックスターで、古くは雨と豊穣の象徴であった事を証明して行きたいと思います（・ω・)ﾉｼ
�８酩筺疔盻�け、穢れ払い
オルフェウス、イザナギ共に生きたまま冥府を下り、無事戻るための護符の存在も重要だと思います。しかしオルフェウスが護符を利用するのは下り、イザナギは戻りの時と真逆になってます。
オルフェウスの護符は竪琴と演奏、歌で、これはカロン、ハーデス、ペルセポネーや、ケルベロス、地獄の罪人達まで魅了するものでしたが、エウリュディケを再び失った後は、冥府での効果を失ってしまいます。
イザナギはヨモツシコメ軍団から追われた時に護符が効果を発揮します。まず投げた髪飾りがブドウになり、櫛はタケノコになります。更に黄泉の入り口になっていた桃を投げつけ、それらをヨモツシコメが必死に食べている間、大岩で入り口を塞いでしまいます。
イザナギは地上の食物＝豊穣によって身を護られましたが、実はオルフェウスにもその要素は見られます。オルフェウスの竪琴の音色は、動物を集める以外に草木や花、岩までも魅了すると言われてました。つまり太陽(アポロン）と自然の関係で、冥府の住人達は地下では得られない地上の恵みを得たとも考えられるわけですね。
�こ擶狒喙�
いきなりテーマが飛んだように思えますが、冥界下りの神話は一つの「楽園喪失」の神話でも有ると言えます。
日本神話イザナギの方は明解で、大岩で冥府の入り口を閉じた後の会話で、
イザナミ「私はこれから毎日１０００人の人間を殺す」
イザナギ「ならば私は毎日１５００人の人間を誕生させよう」
と、これ以後”人間に寿命が出来た”という、元から有った永遠性の喪失の神話となっています。
オルフェウスの場合は、―――これが自身の死の切っ掛けにもなりますが―――絶望の後に女性を相手にする事をその後放棄してしまいます。
これはオルフェウスの単純な性的欲求の喪失というより、季節的な冬の訪れ〜豊穣の喪失と考える方が私には利に適ってると思います。
何故伴侶を失ったオルフェウスの竪琴がカロンに効かなかったのか＝それはもうオルフェウスの音色が冥府に豊穣をもたらさなくなったから、と・・・・・
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まあ強引な解釈は多いですが、最初はこの流れから短篇を描いて行きたいと思います（・ω・)ﾉｼ
セクシャルな部分も多かったですが、神話元来のものもありますでご了承をｗ
次は短篇になるのかまた準備になるかわかりませんが、まったりいきますよ（σ・ω・）σ
ではでは〜
拓也◆mOrYeBoQbw
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