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2011年01月07日08:15

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【バレエ】マールイ(レニングラード国立バレエ)「白鳥の湖」(4日マチネ)

2010年の観覧締めくくりはタコさん、
そして2011年の観覧幕開けも彼女。
実に福々しい、願ってもない年末年始でした。(^o^)

       *     *     *

良くも悪しくもプロ集団のマールイ・ダンサーと劇場付きオケ、
手抜き(?)舞台も、たまにあります。(^^;)

年始、それも開始時間の早いマチソワの昼公演は要注意で、
今季は4日の昼公演がまさにソレ。
ボルチェンコさんは観たいけど、手を出さないでいたのには、
そういう理由がありました。(^o^;)

ところが。

ご存知のとおり、2010-11公演が開幕してほどない12月8日、
ボルチェンコさんは来日せず、代わりにタコさんが踊ります、のお知らせが。
...気付いたら、チケを購入していました。f(^o^;)

とはいうものの、やはり心配は心配。
真面目なタコさんについては、もちろんなんら不安はありませんが、
(ていうか、多少失敗しても笑って誤魔化すくらいの方がいいんですけど。(^^;))
オケや群舞、ちゃんと目が覚めてるだろうか...。

結果は、すべて杞憂に終わりました。(^^)

       *     *     *

タコさん、今日はどんな解釈を魅せてくれるのだろう、
とわくわくしていると...動きがいつもより慎重というか、さらに丁寧です。
派手さはないけれど、動きがゆっくりな分、
ステップの正確さや音楽とのシンクロ具合などが、より明瞭にわかります。

「白鳥」のような演目では、抒情性が増して効果的ですが、
鍛えてない人がこれをやると、つながりがぎこちなくなったり、
脚が震えて逆に印象が悪くなる、まさに両刃の剣。
けれど、彼女のテクニックは磐石でした。(*^^*)

実は、「長過ぎる手足を持て余しているようにも見えた」という、
ふみふみさんの指摘されていた部分が気になって、
どんなところだろう? といつもより気をつけて観ていたのですが、
わかりませんでした。f(^^;)

普段から冷静な感想を書かれる方ですし、
タコさんといえどもパーフェクトではありませんから、
(失敗したら機嫌悪くなるし...。(^^;))
たまたまだったのでしょう。
というのも、彼女ほど指先から爪先にまで神経を配り、
長い手足を優雅に使いきるダンサーは、なかなかいないからです。

この日のタコさんオデットは、不純物の一切ない透明な白鳥姫。
優雅でしなやかなペテルブルク・スタイルの、まさにイメージ通りの白鳥で、
音楽と踊りが融合し、彼女の体が音楽を奏でているかのよう。
(指揮者のブベルニコフさん、GJ!(^o^)v)
また透明ではあるけれど、同時に体温の温もりも感じる、
しとやかな深窓の令嬢でもありました。

2幕のオディールも、一見物静かではありますが、
実は内に青白く燃え盛る炎を秘めたロットバルトの共犯者。
目つきはコレスニコヴァさんのオディールから色香を除いた感じで、
あくまでも気品があり、王妃様にも、みせかけではあるけれど礼を示し、
疑い深い家庭教師すら欺きます。

王子を騙す時も悪意や楽しむ感じはなく、
これは仕事、役割はきっちり果たします、といった様子で、
ロットバルトや配下の踊り手たちとチームを組む、
一流の詐欺師集団のメンバー、といったところ。(^^;)
オデットの幻影にも微動だにせず、悠然と構えているのですが、
それはロットバルトが適切に処理するであろうことを、
疑ってもいないからなのでしょう。(^o^)

見せ場のひとつ、32回転はシングルで通しましたが、
軸がほとんど動かないんですよね、彼女は。
私の席からは、ちょうど背後に柱がかぶって見え、
杭を床に打ちこんだよう、とはよく使われる表現ですが、
まさにそんな感じでした。

シンプルだけど、脚の動きはダイナミックで正確。
それを観ていて、世界ラリー選手権(WRC)の7連覇王者、
セバスチャン・ローブの走りがオーバーラップしました。

車の走らせ方には、派手なパフォーマンス系のドリフトと、
トラクションを路面に伝えきるグリップ系があり、
ロープのスタイルは後者なのです。

観客を沸かせるのはドリフトですが、
(私も、観るのもやるのも好きです。(^o^))
タイムを追及するなら、無駄の少ないグリップに軍配が上がります。
玄人好みの走り、とでも言うのでしょうか。

タコさんの場合、3回転を連発したり、
男性顔負けのジャンプはしませんが、
すべてのステップが優雅で美しく、まさにバレエの王道です。

派手で見栄えのする踊りが好きな人には、
ペレンちゃんの威勢の良い踊りはたまらないでしょうが、
叙情性や舞台全体の統一感、完成度の高さでは、
まだまだタコさんには敵わないようです。

今回イメージしたオデット/オディールの魅力を、
タコさんがいかんなく引き出せたのは、
これまた優雅で気品に満ちたプハチョフ王子のおかげでもあります。

彼は、ノーブルな踊りと、
長い脚を生かした大きな跳躍が特徴のダンサーで、
一昨年までは「つなぎ」が課題の人でしたが、
昨年から動きが良くなり、今年ついに開花しました。(^o^)
こうなると、持ち前の上品で柔らかい踊りが一層輝いてきます。

ただし、主役はやはり女性! といわんばかりの、
クラシックなコルスンツェフさんタイプの性格に変わりはなく、
先日奥さんと組んだ時はまだ前に出ていましたが、
今回は再び控え目なジークに戻っていました。

その一歩引いた役作りは、
今回のたおやかなオデットにはぴったりで、
母王妃にはオディールを嬉しそうに紹介し、
オディールにかしずく様はわんこのようでした。(^o^)

2人の間には、出会いから最後まで、信頼と愛がありました。
プハチョフ王子は誠実そのものでしたから、
3幕、舞台に駆けこんでくるオデットの様子は、
王子が裏切ってしまったではなく、彼が騙されてしまった、どうしよう?
と悲嘆にくれているかのようで、
謝りに来た王子に対しても、許すというよりは最初から責めておらず、
あなたもまた被害者なのだからと、慰めているかのようでした。

ロットバルトはツァルさん。
白鳥を支配し、王子を幻惑する、正統派のロットです。
2幕、オデットの幻影にもあわてる素振りすらみせず、
こざかしいまねを、と鼻で笑っていそうな背中でした。(^o^)

前回の「ジゼル」では、舞台の統一感を強く感じたものですが、
今回もまた、彼と王子、オデット/オディールの三者が、
常に一体となっての演技は、実に見応えがありました。(^^)

トロワはステパノワ、プローム、ザパスニコワ。
優雅なマリインスキー、豪勢なボリショイの、
中間的な印象です。(^^)

4羽の小白鳥たちは、まだ余裕が少ないかな。
以前のレベルに達するには、もう少し経験が必要なようです。

大きい白鳥たちの中では、
エリマコワさんとクテポワさんが、やはり目を惹きます。(^^)
特にエリマコワさんは、動きがダイナミックで存在感もあり、
今回は白鳥なので無表情でしたが、笑顔も素敵なので、
長身のシェミウノフ君とコリッパーが鍛えてくれれば、
主役もいけるんじゃないかな。(^^)
2008年ワガノワ卒の22歳に、大いに期待です。

このほかスペインに配役されていたクリギンさん、
体格が良くなり、父親譲りのクセ者感も出てきました。(^o^)
彼もいよいよ次のステップに足を掛けたのでしょうか。

       *     *     *

ボルチェンコさんも目が離せない人ですが、
今回の2人は、「白鳥」を観るには最適のペアでした。
先にチケットを取った人、知らずに観に来た人たちはラッキーです。
今年はシアワセな1年を過ごせることでしょう。(^O^)

客席は、最初は後方に空席が目立ちましたが、
いつの間にか埋まってました。(隙間はありましたが。)
午前中に新年の挨拶を済ませ、駆け込んできた人がいたのでしょうね。
最初は寂しかった拍手ですが、最後は大いに盛り上がっていました。

そのたくさんの拍手に、タコさん、プハチョフさんも満足そうな笑顔笑顔。
指揮者とオケにも丁寧に挨拶をしていました。(^^)
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