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2006年09月01日22:05

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【バレエ】韓国ユニバーサル・バレエ「沈清」(その2)

「沈清」の元になった「沈清伝」は,
韓国では誰もが知っている民話とのこと,
これを元にオペラや舞踊、映画などが創られていて、
バレエもそのひとつ、というわけです。

振付はアメリカ人のエイドリアン・ダラスさん。
元バレエ・ダンサーで、怪我を契機に教師兼振付家に転向。
1984年、ユニバーサル・バレエ団の初代芸術監督に迎えられ、
「沈清」はその在任中に制作したもの。初演は1986年、
主役は現団長のジュリア・ムーンさんとABTのパトリック・ビッセルさん。

珍しい振付(韓国の民族舞踊?)が散見されるものの、
基本はクラシックで,チマチョゴリ風のロマンチック・チュチュや、
韓国のお祭りで見かける仮面を付けた踊りなども登場するので、
海外で評判が良いというのもわかります。(^^)

また、どことなくロシアン・テイストの舞台だな,と思ったら,
今回の公演は現芸監のオレグ・ヴィノグラドフさん
(マリインスキーの元芸監)による改訂版でした。

パンフレットのあらすじが良く出来ていて、
シムチョンの細かな心の動きなども描写されており、
読んでいると、ついほろりとさせられますが、(T_T)
舞台の方はなぜかベタな演技が多く、
つい笑いそうになってしまいます。(^^;)

作曲はケビン・ピッカードさん。
ブーランジェに師事したやはりアメリカ人で、
ソウル・オリンピックのファンファーレなども手がけているそうです。
韓国の人たちがどう思っているのかは不明ですが、
古典的なバレエ曲風の旋律にアジアン・テイストが散りばめられ、
初めて聞いたにもかかわらず耳に馴染んできます。(^^)
テープ録音なのが残念。自前のオケはないのかな。

気になるバレエ団の実力は、というと、
総合的には新国級という印象。

主役のファン・ヘミンさんは,自前アカデミー出身の期待の星とのことで、
笑顔が寺島ひろみさん似の美人。スタイルも良く踊りも丁寧で、
ジゼル、ジュリエットといった少女役が似合いそう。(^^)
パンフレットの扱いもトップ・プリンシパルであるカン・イエナさんの隣ですが、
ファースト・ナイトを預かる身としては、少々線が細い気が。

そのほかの目を惹いたダンサーとしては,
龍王子を務めたセミョン・チューディンさんと、
(ノボシビルスク・バレエ・アカデミー出身の若手)
夜の精役のイオアナ・バシレスクさん。
(自前アカデミー出身のルーマニア人で、1996年入団の中堅どころ。
ミルタ,カラボス,リラ精が持ち役というのもわかる存在感)

群舞も見応えがあります。(^^)
ダンサーの力量に差があって、揃っているとは言えませんが、
男女とも大柄でスタイルも良く、特に男性陣は特筆に値し、
マールイや新国にレンタルさせたいくらい。(^o^)

逆に物足りないのが、国王や船長といった準主役とソリスト陣。
風貌が良いだけに惜しい。
もっとも、振付が彼ら、彼女らの力量を生かしきれていないのでは、
と思われるところもありますが...。

前述のとおり、バレエ団の設立は1984年とまだ若く、
韓国初の民間バレエ団とのことで、韓国文化財団がその主要パトロン。
先の日記で日本では馴染みがないと記しましたが、
創立直後の1985年に初来日し、3年振りとなる今回の公演は、
13回目とのこと。3年前までは、1.5年に1度、
日本で公演している勘定になります。

その割にはバレエ・ファンの間で話題にならないのは、
昔はバレエ団の実力もあったのでしょうが、
PRの仕方にも問題があるようです。
果たして見せたいのは日本のバレエ・ファンではなく、
日本にいる同胞? という感じで、実際、会場の様子は、
その大多数が関係者、という雰囲気でした。(^^;)

       *     *     *

わが国でもマイナーな作品がいくつも作られていますが、
広く日本のバレエ・ファンの心を掴むまでには至っていないことを考えると、
自国の代表的なグランド・バレエとして愛されている作品を持つ、
ユニバーサル・バレエ団が、ちょっと羨ましく思います。(^^)
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