先日久し振りに会った弟(医者)から聞いた患者(以下M)の話は衝撃的でした。
Mは非常に両足が痛そうで、両手に持った杖をついて身体を支えながらゆっくりゆっくりとしか歩けない状態で、その足の痛みを取り除くために病院に来たようでした。
とりあえず、レントゲンを撮ってみると、何と股関節が左右ともボロボロで、これは痛いはずだと一目で分かるほど軟骨がすり減ってほとんど消滅しかかっていたほどの酷い状態でした。
通常なら、出来るだけ早く人工関節を入れる手術を行うところだそうですが、Mの場合、ここで大きな問題に直面しました。全身にアトピー性皮膚炎の症状が現れていたからです。アトピー性皮膚炎の症状が現れている部位にメスを入れると非常に感染症を起こしやすく(場合によっては死に至る)、したがって、まずアトピー性皮膚炎の方を先に治してから手術するというのが医学界の常識なのだそうです。
そのためにMの場合も数カ月かけてでもアトピー性皮膚炎の方を根治しないことには股関節の手術に踏み切れないことになりました。
なんと、こんなことがあろうとは!
これはもういったんアトピー性皮膚炎を患ってしまうと、別の病気で手術が必要になっても、すぐには実行されないことがあることを覚悟しなければならないということですよね。いやはや、アトピー性皮膚炎恐るべしです。
しかしさらに衝撃的だったのは、Mがそのアトピー性皮膚炎になった経緯でした。
実は、Mは近所でも有名なゴミ屋敷の住人だったのです。
アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患の一種ですから、そこには免疫が過剰反応を示すこととなった物質(アレルゲン)が存在します。どんな物質がアトピー性皮膚炎のアレルゲンになり得るかというと、特に環境的なものとしてダニ、カビ、ハウスダストなどなど、どれもゴミ屋敷に付き物とさえいえるものばかりです。
実際、Mの場合も、家がゴミ屋敷化したのはMの父親が他界した20年ほど前からのことで、アトピー性皮膚炎の症状が出るようになったのもそれ以後のことだったらしいことが判明してきたようです。
なので、今はMを入院させて病院という清潔な環境においてアトピー性皮膚炎の治療を進めるか、家の方に業者を入れてゴミ屋敷を解消させるかが検討されているということです。
これはもう事実上、ゴミ屋敷が股関節の手術の前に大きく立ちはだかっているようなものでしょう。
普段、テレビ等でゴミ屋敷が取り上げられる場合は、もっぱら悪臭や倒壊の危険といった隣近所の被る迷惑の観点からですが、ゴミ屋敷の住人自身もこうした不利益を被っているわけです。まぁ、ゴミ屋敷にしたのは本人なので自業自得とはいえますが、そうやって出来てしまったゴミ屋敷が手術の前に立ちはだかることがあるとは、びっくりでした。まさにゴミ屋敷恐るべしです。
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