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2026年03月07日00:00

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映画2026年1月,2月/「未体験ゾーンの映画たち2026」より

フォト
AFRAID アフレイド
世界一不運なお針子の人生最悪な1日
ジェリーの災難
アーサーズ・ウイスキー
おくびょう鳥が歌うほうへ
五十年目の俺たちの旅
コート・スティーリング晴れ
フォト
ワーキングマン
サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行晴れ
ウォーフェア 戦地最前線
恋愛裁判晴れ
MERCY マーシー AI裁判
アグリーシスター 可愛いあの娘は醜いわたし晴れ
HELP 復讐島晴れ
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トゥギャザー晴れ
サリー晴れ
ランニング・マン
マーズ・エクスプレス
銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き
クライム101
ツーリストファミリー晴れ
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ブゴニア
百万円と苦虫女
ほどなく、お別れです晴れ
役者になったスパイ晴れ
おさるのベン
センチメンタル・バリュー
港に灯がともる

「未体験ゾーンの映画たち2026」(ヒューマントラストシネマ渋谷)より
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今年で15回目を迎えた新年恒例企画「未体験ゾーンの映画たち」。日本未公開の海外映画作品を集めて上映する本企画は、隠れた秀作のみならず、思わず笑いや怒りを覚える怪作までもが混在するという玉石混交の映画祭。近年は作品数の減少が続いていたのが、今回は4年ぶりに30本を確保(2022年27本、23年32本、24年24本、25年20本)して、盛り返しを感じさせるラインナップとなった。
『帰ってきたガリバー』(ウクライナ/キプロス)
自分が鑑賞できたのはわずか5本だが、その中にウクライナ作品が2本含まれていたことは印象的。CGアニメ『帰ってきたガリバー』は、有名な『ガリヴァー旅行記』の後日談。原案が現ウクライナ大統領ゼレンスキーによるという事実も興味深い。凱旋帰国したガリバーが実は巨人ではなかったという衝撃の設定から始まり、勇気と心こそが真の偉大さであると語る物語へと展開する。ユーモラスなキャラクターと明朗な語り口で、親子鑑賞にも適したエンターテインメントに仕上がっている。
『ブチャ 最後の証人』(ウクライナ)
もう一作は2022年ロシア占領下のウクライナの都市ブチャを舞台にした実話ベースの作品。占領地で軍人家族の亡命を助け、市民を略奪や暴行から守ろうとするカザフスタン人男性の姿を描く。検問シーンの緊迫感は特筆すべきものがある。ご都合主義的展開がるのも否めないが、現在進行形の戦禍を想起させる重さは観る者に衝撃を与える。
『アブルプティオ 狂気人形』(アメリカ)
異色作として群を抜いていたのが『アブルプティオ 狂気人形』(アメリカ)。パペット人形映画なのだが、実際はラバーマスクを人間が装着して演じるスタイルで、完全アナログ操演の異様なビジュアルが強烈なインパクトを放つ。首に爆弾を埋め込まれた主人公が生き延びるために他者を殺していくという展開も強烈で、肉襦袢による損壊描写は人形劇の枠を大きく逸脱する。ゴア描写が続く荒涼とした世界観は観客をシュルレアリスムの悪夢へと引きずり込み、ラストの“夢オチ”風解釈もなお多くの謎を残す。
『アリゲーター 暴水領域』(タイ)
あのタイトルに偽りあり過ぎ作品『インデペンデンス・デイ2021』を撮ったブランドン・スレイグル監督という時点でもう胡散臭さ炸裂なのだが、巨大ワニvs自然災害vs脱獄囚達という一見面白そうな気がするところからドスンと突き放される強烈作。こういうのをしれっと上映するのが「未体験ゾーンの映画たち」の醍醐味なのだ。
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『偽りの楽園』(カナダ/アメリカ)
そして今回最大の収穫が『偽りの楽園』(カナダ/アメリカ合作)という2023年全米公開作品。これは日本未公開だったのが惜しまれると思った。南国の楽園を訪れたインフルエンサーのマディソン(エミリー・テナント)は、SNS上で理想化された自分を演じ続ける現代的な若者。常にカメラを意識し、笑顔をつくり、理想の自分を投稿し続け、承認欲求を燃料に自己を商品化している。
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そんな彼女が現地で出会った顔に痣を持つ女性CW(カサンドラ・ナウド)と意気投合するのだが、近隣の無人島へボートで誘われて置き去りにされてしまう。電源も電波もない場所で、マディソンは何者でもなくなる。フォロワーもいいねもストーリーも更新できない無人島での彼女の視界には白骨死体が転がっており、脱出不可能な島という残酷な現実を物語る。
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興味深いのは、マディソンが置き去りにされた後は作品側も彼女を放置して、物語の視点が完全にCWへ移行する構成。CWは単独旅行の女性を狙う常習犯で、被害者のスマホやカードを奪い財産を搾取する。更にはマディソンのアカウントを乗っ取り、インフルエンサーの彼女になりすます。ここで描かれるのは単なる犯罪ではなく、デジタル空間における人格の可塑性と交換の可能性で、SNS上での自己は身体から切断され複製し改竄される。CWによって映像が更新され続ける限り、マディソンが消えてもフォロワー数は減らない。SNS上でマディソンは存在していることを誰も疑わないという現代の恐怖。
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本作の原題は『Influencer』で、騙す側と騙される側が交錯するダブル主人公的構造。CWは次の標的として同じく人気インフルエンサーのジェシカ(サラ・カニング)に接近するが、マディソンの恋人ライアン(ロリー・J・セイパー)が島に現れることで彼女への疑念の連鎖が始まる。登場人物の優劣が幾度も反転するのが醍醐味で、単なる詐欺師に留まらないCWのシリアルキラーぶりが衝撃的。彼女の動機を直接語らず、顔の痣を被害者意識や差別経験の単純な記号にも還元しないのも特徴で、そこには羨望、妬み、劣等感、あるいは自己肯定の歪みを読み取らせる観客心理を作用させる演出が巧みに続く。尚、CWの顔の痣はメイクではなく、演じるカサンドラ・ナウド本人の身体的特徴であるという点もインパクトに拍車をかける。
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そして無人島に残された前半の主人公マディソンも、単純な被害者にも軽薄な若者像に固定することもなく、終盤に再登場することでクライマックスへの準備が整う。南国の美しいロケーションは、インスタグラム的美学をなぞるように絵画的風景を彩るが、物語はそこから逆行するように私利私欲の不穏な印象を祭り上げていく。白骨が転がる無人島はフォロワーのいない世界の比喩なのか。
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ネット検索するとアメリカではかなりヒットしたようで、続編『INFLUENCERS/偽りの楽園2』も既に公開済み。さらに第3作の企画も進行中とのこと。SNS時代を鋭く切り取った現代的サスペンスとして、日本でも続編の劇場公開を望みたい一本。

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