バレリーナ The World of John Wick
ジュラシック・ワールド 復活の大地
8番出口
九龍ジェネリックロマンス
ソウルメイト
海辺へ行く道
九月と七月の姉妹
ちあきの変拍子
END of DINOSAURS
わたしのゆくえ
チューリップちゃん
アイスリンク
あなたの代わりのあなた展
Dear Stranger ディア・ストレンジャー
風のマジム
バード ここから羽ばたく
ふつうの子ども
テレビの中に入りたい
Into a Landscape
愛はステロイド
ファンファーレ! ふたつの音
ひゃくえむ。
新幹線大爆破
ホウセンカ
ワン・バトル・アフター・アナザー
『バレリーナ The World of John Wick』(アメリカ)
アクションの過剰化で疲弊してしまった『ジョン・ウィック:パラベラム』で鑑賞を止めてしまったため、続編の『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は観ていない。にも関わらずこのスピンオフ作品の鑑賞に戻ってきた動機は、主演のアナ・デ・アルマスに他ならない。彼女は『ノック・ノック』でキアヌ・リーブスと既に共演しており、『ブレードランナー2049』ではライアン・ゴズリング、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』ではダニエル・クレイグと、軽妙な会話センスと身体性を兼ね備えた希有な魅力を示してきた。『ブロンド』でのマリリン・モンロー役を経た彼女が、ついに本格アクション映画で主演を担う。そのキャリアの必然こそが本作最大の誘因だった。ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)を生み出したルスカ・ロマで殺しのテクニックを磨き、亡き父親に関する手がかりを掴んで復讐に挑むイヴ(アナ・デ・アルマス)は、敵教団とルスカ・ロマの休戦協定を無視して裏社会の掟をぶち壊していく。ジョン・ウィックが放っていた“容赦のなさ”や“処理速度”とは異なる戦闘質感の演出は、シリーズで慢性的になっていた暴力の過剰性をリブートしているようにも感じ、身体能力に加えてその柔らかさや戦闘時の呼吸の乱れ、相手を仕留める一拍前の思考が垣間見える瞬間のアナ・デ・アルマスの表情に痺れる。特に印象的だったのは物語序盤、まだ村全員が殺し屋教団だと判明する前時点でのカフェの一幕。店員が無表情から確信を持った殺意へと顔付きが切り替わるところから、本作は一気にアクセルをベタ踏みする。まるで『アトミック・ブロンド』(2017年)のクライマックスを延々と引き伸ばしたかのような密度の濃い肉弾戦と銃撃戦。それが既視感のない斬新さを保っているのは、アナ・デ・アルマスが心身を削られながら前進するタイプのアクションに徹しているからだろう。華麗さよりも持久戦のリアルに傾いた活躍は観客の呼吸をも奪っていくようで、だからこそ後半のジョン・ウィックの登場にもカタルシスが増していく。更に始まる火炎放射器戦は緊張の極点を超えてしまい、もはや笑うしかない過剰さに繋がっていくのも御愛嬌範囲。シリーズの濫用に疲れていた観客を、もう一度この世界に引き戻す世界観の刷新とアクションの再文脈化は見事。このスピンオフ版がシリーズの単なる補足ではなく、世界観の横展開とキャラクターの両面での更新を示したと感じている。果たして続編はあるのか?
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