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2025年02月05日00:00

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未体験ゾーンの映画たち2025開催中

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年初恒例 “未体験ゾーンの映画たち” が今年もヒューマントラストシネマ渋谷にて開催。諸般の事情で日本未公開となった海外映画を集めて、短期間集中上映するこの企画も14回目。今年は過去最少の20作品(21年42本, 22年27本, 23年32本, 24年24本)と寂しくなったが、全作鑑賞コンプリートで無料鑑賞券と抽選5名に同館1ヶ月フリーパスプレゼント!のスタンプラリーあり。さすがに自分は全作鑑賞までは無理だが、宝くじのように当たりハズレがあるこのイベントは面白い。
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『炎上ドライブ』(韓国)
フォロワー70万の人気YouTuber ユナ(パク・ジュヒョン)は、業界の力関係を推し量り大手事務所への移籍を狙ったロビー活動で駆け引きを繰り返す。だが突如ユナは何者かに襲われ彼女自身の愛車のトランクに閉じ込められ、誰かの運転による暴走が始まった。スマホを通じて犯人からは「深夜0時までにライブ配信で6億5000万ウォンの投げ銭を稼がなければ、スクラップ処理場で愛車ごとペチャンコに潰す」と脅迫される。脱出不可能なトランクに閉じ込められたまま展開する密閉サスペンスは、次々起きるハプニングやカーチェスの果てに意外な結末へと向かう。
とにかくシチュエーションで押し切ることが優先で整合性は二の次という韓国エンタメ映画では割と多いパターン。展開が強引で犯人の行動にも辻褄が合わないところが散見されるが、面白ければそれでよいでしょう?と言わんばかりの正面突破に呆れつつ、でも実際に楽しめてしまうのだから製作側の完全勝利ではある。
暴走からラストまでノンストップで、喜怒哀楽をややオーバーぎみに振る舞うパク・ジュヒョンの演技も見応えあり。承認欲求に溺れた主人公がここまで酷い目に合わされながら、つまらない説教で改心することもない現代風な落としどころもよい。フォロワーゼロの無名時代のユナからプロローグで描いているので、彼女が元々から傲岸不遜な性格ではないことを鑑賞側は知っていて、敢えてそこに戻る部分を描かないのが皮肉なスパイスであり、意図しての狙いであろう推測ができる。不足しているのは彼女を狂わせたネット配信社会の仕組みそのものを風刺する部分。完全娯楽に徹しているのでそれすらも不要と敢えて切り捨てているのかもれないが。
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『シャーク・ガール』(アメリカ)
サメが登場しないサメホラー。こちらもSNSでのバズりを目指すインフルエンサーのハイディ(アレクサンドラ・コリン・ジョンストン)が主人公。配信で金を稼ごうと強引な演出を強要する彼氏の指示によって、ビーチで嫌々ながらの水着動画撮影をしていたその時、ハイディはサメに襲われ鋸歯状の歯を持つ「サメ人間」に変貌してしまう・・・というのがアバンタイトルまでなのだが、浜辺でハイディが海中に突然沈んで見えなくなるシーンしか映像にはないため、サメの背ビレすら画面には登場しない。陸地に戻ったハイディは何も変化がない普通の人間から、突如として牙を剥き出しにして人間の首に食らいつく。
志のあるB級映画に失礼なほどチープな映像と行き当たりばったりのストーリー。それもそのはずでエンドクレジットを見ると、殆ど自主製作の範囲だという規模感が伝わってくるので同情してしまう。作品内で「FUKUSHIMA」を連呼するのが日本人的には耳障り(こんな作品に悪口言われたくない)。冒頭の原発映像から察っしてしかるべしなのだが、放射能で汚染された海でサメが突然変異したことが、サメ人間誕生の原因という背景がある。この原発影響汚染を提唱する大学教授や陰謀論等も序盤に飛び交うが、それらの描写は伏線になることもなく投げっぱなし。ハイディのサメ姿も市販にありそうな入歯なのがバレバレ。
カラーグレーディングを小まめに使うなど、低予算なりの工夫や頑張りは見られるのだが、サメ人間の背景や意味は希薄なままなので普通のゾンビやドラキュラとの差別化ができていない。そろそろ終わりかと思う頃に、背後で何らかの組織が暗躍している描写が始まり、まるで続編を匂わすような余韻を膨らませて物語はクローズする。ハイディの親友を演じるスマイヤ・アミーラが続編の中心だとでも言うべく颯爽とバイクに乗ったライダー姿で登場するラスト。次作への意欲があることだけは充分に伝わった。
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『ゾンビーズ』(カナダ,フランス)
名作も多々あるカナダ映画だが、オーストラリアと共に稀にとんでもなく意味不明のぶっとび作品にお目にかかることがある。この作品世界でのゾンビは生活障害者という扱いで、一般人から差別的扱いを受ける「非生者」と呼ばれながら社会で普通に生活をしている。これだけでもとんでもない設定なのだが、家庭で厄介者扱いされているゾンビを合法的に引き取って研究開発機関に売りつけるというビジネスモデルが成立し、主人公3人組はそれを非合法で行い荒稼ぎを企んでいる。
ゾンビの人権(?)を無視した行動も粗雑だが、呼称こそゾンビとしているだけでもはやこのキャラクター(人も襲わない無害)は単なるマイノリティの代表的な扱いに捉えるべきと思えてくる。ストーリーには社会風刺や教訓的要素を盛り込む気は毛頭ないのだろう。
ゾンビ清掃会社を装う悪徳企業のコールマン社に騙されて祖母を誘拐された主人公3人組が、大物芸術家を騙して身代金を払わせようと企む。だが全編ドタバタ会話劇なので、ノリとしてはひと昔前のアメリカンホームコメディの香り。そこにユル目のゴア描写を混ぜての終盤バトルはごった煮感があってる面白い。意外とゾンビの造形&メイクが高水準なのもアンバランスで勿体ない。特にマザーテレサゾンビと阿修羅ゾンビは注目。尚、アメリカ版テレビドラマ『ゾンビーズ』シリーズと本作は無関係。
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『エム 絶望の世界』(北マケドニア・クロアチア・フランス・コソボ・ルクセンブルク)
こちらは同じゾンビ映画でもかなり真面目。世界がパンデミックによって荒廃し、感染した生物はゾンビ化するという黄金パターンなのだが、序盤はその存在を見せない描写が続く(つまりこのレビューは既にネタバレ)。人里離れた奥深い山中で父親と少年が原始的隔離生活をしている背景から始まり、森から出ることを禁じられ唯一の文明は音楽端末をヘッドホンで聴くことだけという少年。彼の手首には“M”の刻印があり、これが物語の伏線になることは明らか。だがやがて森の外はウイルスが猛威を振るうパンデミック汚染世界であることが判り、血肉に餓えたゾンビが出てきた所でようやく「あ、ゾンビ映画だったのか」と落胆のつぶやきが出たのが正直なところ。「未体験ゾーンの映画たち」にゾンビ映画は恒例だが、5本鑑賞して2本がゾンビものというのも複雑な心境。
本作の見応えは厳格に息子を守っていた父親がゾンビに襲われ感染し命を絶つと、少年=マルコはダウン症の少年ニコ(母親は感染していたためマルコの父親が射殺)と“白い妖精”がいる都市を目指す旅を決意し街へ向かうところから。ロードムービーが静かに不気味で独特の空気感を演出しているところが他作品と一線を画す部分。ゾンビとのバトルはほぼ皆無で、世紀末世界を徘徊する少年マルコへ愛を与える人物が果たして現れるのか?という疑念の中、看護師姿の女性に母性を求めて近付くマルコの藁をも掴もうとする気持ちが切ない。だがそれを容赦なく打ち砕いていく手強さは一筋縄ではない。マルコからの視点で展開するためパンデミック発生の背景や経緯は語られない。宇宙からの飛来なのか人間による生物兵器原因なのか、何らかの内戦があった痕跡も垣間見えるので、人間が自ら引き起こした破滅への道程という解釈が妥当なところか。
ラストシーンでようやくその存在が示唆されるところで物語は終結。世界観は鑑賞側の想像に任せるというクローズなのだが、マルコの手首の刻印“M”はマルコのMではなく、メシアのMではないかと勝手に想像する。
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『メーデー 彼女たちの戦争』(アメリカ)
その唯一無二の個性を『Xエックス』『Pearl パール』で放っていたミア・ゴスが出演するというだけで楽しみにしていた作品。フライヤーや宣伝から彼女が主役と思っていたのだが、主人公は別にいてミア・ゴスはそれを翻弄するグループリーダー役だった。
大型ホテルの従業員アナ(グレイス・ヴァン・パタン)は、当日そこで結婚式を挙げる花嫁に助けを求められる。だが上司のパワハラや重労働に嫌気が差したアナは、どこからか聴こえてくる謎のフォネティックコードに誘われて厨房のオーブンを開く。するとそこに広がっていた海底を経由してアナは見知らぬ島まで流されてしまう。半壊したUボートを基地とすマーシャ(ミア・ゴス)に助けられたアナはその仲間に誘われる。他に2人(ソコ、ジュリエット・ルイス)がいて合計4人となった同世代女子達は、無線で男性兵士を島に誘き寄せ、軍隊さながらの装備でそれを皆殺しにしていく生活を始めた。アナは射撃の腕を買われて狙撃担当となり新しい環境での生き方に順応していく。横暴な男達を殺していくことに快感を覚えるアナだが、しだいに彼女の心境も変化を始めた。
場所が何処なのかも時代がいつなのかもよく解らず、何故マーシャ達が武器を無限に持って兵士たちを無差別に殺しているのか? という疑問符が限りなく溢れる展開が続くが、単独行動を始めたアナが道中で遭遇するホテルの料理長や、更には上陸している男性兵士個隊と始めるミュージカル的な展開を経ることで、これは現実ではなくアナの心象世界なのだと気付く。そう解釈すると疑問や矛盾の謎解き思考は無意味であり、アナが抱く現実逃避の楽園と夢から覚めるための抗いが起きている景色を見ていたこと解ってくる。
前衛的でファンタジックな世界に「戦争」というシチュエーションを持ち込んで、現実世界での男達からの暴君に復讐するアナの心理。そして現実に戻ろうとしても戻れない足掻きこそ、誰もが経験したことがある逃避と回帰に翻弄される明け方の夢と同じなのだろう。ここに導く役を担うマーシャこそが、アナの映し鏡的な存在だったのではないだろうか。全編不思議な空気感に幻惑されるインパクトが強く残る。

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<『安楽死のススメ』「未体験ゾーンの映画たち2025」>
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