退場シーンがダントツの見せ場となった竹中。雲野から託された使命を果たすべく老体に鞭打って原爆裁判を世に知らしめ、書き下ろし原稿を完成させて去るなんてカッコ良過ぎだろ。しかも「お嬢ちゃん」→「佐田判事」という置き土産的な捨て台詞。かつて
「竹中は鮫島でよかったんじゃないか」説を唱えた自分としては完敗です(笑)
四代目・優未を演じた毎田暖乃ちゃんの出番も終了。最後に強烈なローキックをのどか=リュウソウピンクに浴びせるという大技を披露。ところでその優未が今週、寄生虫研究の道を断念するしないで航一と寅子が対立しましたが、自分は断然航一派でした。興味がなくなったとか大学院が辛いからとかなら解りますが、将来のポストがなさそうだからという理由はどうにも理不尽。寅子の意見は母・はるが言っていたことの受け売りですよね。たしかに寅子に人生の覚悟を「地獄に進む覚悟」と称して悟らせたはるさんの言葉はあの時とても染みましたが、それにしてもとんでもない遠い過去から伏線を持ってきたなぁ。
余貴美子が朝ドラに出演するのはこれで4度目とのことですが、記憶に残る迫真の名場面でした。よろよろと床に座り込んでバナナを食べながら「朋彦さんのところに行きたい」と泣き崩れる姿にもらい泣き。家族を知らずに育ち、星家に嫁いで初めて自分に家庭ができたというそれだけで彼女は幸せで、必要とされていることが本望。ところがそこに介入してきた寅子と優未が、それ以上の幸福を持ち込んできた。残酷だけどもしかしたら、それが百合さんの認知症が始まるトリガだったのかも。
本作核心のひとつだったと思われる原発裁判。史実通りに原告請求の棄却で決着したとはいえ、主文前に読み上げたあの判決文の長廻しカットは圧巻でした。政治の貧困を結びの言葉とする内容は史実とほぼ同じだそうで、この5年後に原爆被害者の特別措置法が制定されます。この裁判が無意味ではなかったと解釈したいところですが、被爆者援護法が制定されるのはなんと平成6年。美人コンテストで優勝した話を泣きながら吐き捨てたミキのその後はどうなったのでしょう。
安田講堂、雷族、尊属殺人、公務員違法会合、女性差別、公害問題、夫婦別姓、LGBTQ、原爆裁判、少年法改正、ブルーパージ・・・次から次へと目まぐるしく降りかかる展開は、朝の支度時間にながらで観る “朝ドラルール” を完全に逸脱していますね。しかもそこに星&佐田家の親子騒動と新店「笹竹」誕生話を盛り込んでくる。でも総じて一貫しているのは「法の公正とは何か」であって、当時の時代背景渦中で、迷う人々を救うべく弱者の闘う術を導いてきた寅子の尽力は、果たしてどこまでが理想だったのか。粗暴に展開する学生運動の記録映像が差し込まれる度にそこが引っ掛かります。
香淑と薫が和解し、更にはあの兄貴とも再会できて、一連のヒャンちゃんエピソードは今週できれいに完結。皇民化政策に掻き乱され、祖国と名前を捨てた人生をもう一度取り戻そうという決意に安堵。ところが直後に多岐川が強烈な断末魔を桂場に放って退場するから息もつけない。ラストスパートはどうやら少年法改正が軸になるらしい。大臣直下の責務執行のため孤高の道を突き進む桂場に、来週は寅子が立ち塞がるのか。そして予告に待望ラスボス=美佐江が登場・・・え?セーラー服って? 娘だとしたら東大生時代にすぐ産んでいないと計算が合わないような・・・しかもしかも、寅子が腕を確認しているのはまさか美位子では??
轟が語った美位子の尊属殺人事件の経緯はあまりに壮絶で非業が過ぎる。これまた朝ドラで語る枠を外れているとしか思えないのだが、そこでふと思い浮かぶのが美佐江の言葉「佐田先生は心から納得する答えが出せます? どうして悪い人からものを盗んじゃいけないのか。どうして自分の体を好きに使ってはいけないのか。どうして・・・人を殺しちゃいけないのか」寅子はその問いにまだ答えていません。あと2週しかないのに、果たしてここにも決着をつけるのか?
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