「花江の前では伸び伸びと、寅子の前ではおりこうさん」ここのところナレーションが益々冴えている。本来の解説役のみならず、寅子の心情を代弁しながら、その一方で彼女にクエスチョンを投げる役も担うマルチタスクな “語りべ役” は地味に斬新。だいぶ前だけど怒りを込めた「なんだ?したたかって?」は名台詞。最近だと「何だか、とっても、すんごく、やりづらい!」って人の再登場を楽しみにさせる。大傑作『カーネーション』を超えようかという勢いの『虎に翼』をそのヒロイン・尾野真千子が語るのも宿縁です。
生放送中の最高裁長官に向かって過去最恐の「はて?」を繰り出した寅子。穂高先生の引退祝賀会から続いている彼女の暴走に誰がブレーキをかけるのか・・・それが桂場。見てますねぇ、さすがの人事課長です。法曹界首脳陣の後ろ盾に甘んじる寅子の環境を「今の君のハテ?は非常に重い」と危惧しての転勤辞令。志だけを信念に行動する多岐川との対照的な視点と思考に、組織バランスの妙を感じます。

そのラジオ放送で寅子が演説する男女平等蘊蓄をブチリと切って、ひとり飯で漬物をポリポリする花江ちゃんも最恐。子供たちを送り出して残り物での朝ごはん(ブランチかな)。戦争で夫を失った同志ながら、寅子に経済的依存がある花江は “家族を守る”ことを砦にします。対して分け隔てない平等社会を目指した司法開拓者であるはずの寅子が、自分の家庭でそれをまったく意識できていないという矛盾。
親友であるが故、お互いの立ち位置に主従関係を作りたくないはずが、私がしっかり稼いでいるからと無意識にマウントを取りにくる寅子。これを受けての花江の心境は察するに余りある。まだ家電製品が揃っていない時代の家事がどれだけの重労働なのか。
これは寅子から歩み寄るべき事象。だって貴女は賢い人だったじゃない。花江も直明も優未の世話はするけど親としての教育使命は果たしていない。1年前のテスト改ざんはその最たる事例。泣いて心情を露呈する花江を目の当たりにしても、それでもまだ事態を呑み込めない寅子。これはもう典型的な盲目のエスタブリッシュメントです。しかも時を同じくして仕事の後輩や依頼人にも敵対されカミソリを食らう大ピンチ。
救いの手を差し伸べるのは直明, 直人, 直治, 道男, そして優未。自分が不在時の家族団欒を見てようやく事態を把握し涙する寅子。家族とは何なのかは、先々週の梅子騒動で予習はできていたはず。でも自分自身が「はて?」だったと認識してからの寅子の行動は素早い。自己感情に屈した多岐川の壮行儀式と、よねとの本音の会話を果たしたところで今週は終了。もし今まだ穂高先生が存命だったら、寅子は先週の別れの会話よりもっと寄り添った言葉をかけられたかも。言うべきことをしっかり言うことと、相手を察した言葉を選ぶのは両立するのですよ寅子さん。「雨垂れの一滴」の意味は解釈しだいなのだから。
大人になって裁判官に昇進しても、そこから更に成長を遂げようとしている寅子。『ブギウギ』スピンオフ登場の茨田りつ子サプライズもすっかり忘却に吹き飛んだ怒涛の展開。変化するトラちゃんは、優未の被った「スン」の仮面を外せるのか・・・期待を込めて新潟・三條編へ
P.S. 再登場でひと皮剥けてきた竹中記者。でもまだ鮫島とのキャラ被り感はある(笑)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1987565918&owner_id=4380531
◆「虎に翼」森田望智演じる“花江”のモデルとなった人物は「生涯、夫への想いを大事に」
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=84&from=diary&id=7938200
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