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2024年05月15日05:34

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タバコ禁止が近付いている:証拠とモデルは何を物語っているのか

 先日も先を走るチャリからタバコの臭いが漂っていた。追い越してチラリと見ると、中年男がタバコを吸いながら自転車を走らせている。吸い終わったら、ポイ捨てするのだろう。公衆の迷惑を顧みない男が、自転車をわざわざ止め、携帯灰皿に吸い殻を収納するとはとても思えないからだ。

◎日本の山火事原因の5%は「たばこ」
 吸い殻の捨てられた所に枯れ葉や反古紙が溜まっていたら、火事になりかねない。日本での山火事の発生原因は約5%が「たばこ」となっている(図)。登山者やハイカーは、マナーのしっかりした人が多く、めったに吸い殻をポイ捨てしたりはしないが、それでもいい加減な輩がいて、森林火災を引き起こす。
 喫煙者の健康にも悪影響が及ぶことは、この何十年かの研究で疑いないものであることがはっきりしている。それでも、タバコを止められない。最近は、少しでも健康に留意しようと、電子タバコに転換するひとが増えているが、火事の原因とならないまでも、それでも健康被害は免れない。

◎喫煙率は減少しているが
 イギリスの科学週刊誌『ネイチャー』4月25日号の「ニュース」欄を見て、いよいよ先進国では喫煙全面禁止が近いことに意を強くした。タバコはもちろん電子タバコも禁止される方向だ。この法律が施行されると、先進各国で何千人もの命と数十億ドルもの医療費が削減される可能性があると科学者たちは述べている。
 確かに嫌煙意識が高まり、喫煙率は世界的に低下している。
 タバコを吸うことによる健康への害は、何十年も前から確証されており、がん、心臓病、糖尿病などの病気のリスクを大幅に高める。これらの健康リスクに対する意識の高まりにより、過去数十年で致命的な喫煙習慣が世界的に減少した(図)。しかしゼロではない。それどころかまだ20%を超している。

◎イギリスで2040年に「煙を知らない」世代
 4月16日、イギリスの議会議員は、2040年までに合法的にタバコを買うことができない「煙を知らない」世代を作るという、世界で最も野心的な計画を支持することを決めた。この提案により、喫煙禁止の法制化に1歩近づいたと言える。
 イギリス、オーストラリア、フランスの政府も、電子タバコによる吸引の取り締まりを行っている。研究者によると、これらの国々の大胆な政策は現在少数派だが、そのような措置はほぼ確実に病気を予防し、命を救い、何十億ドルもの医療費を救うだろうという。
 イギリスの計画は、おそらく「これまでに導入された中で最も影響力のある公衆衛生政策になるだろう」と、シェフィールド大学の医療政策研究者ダンカン・ギレスピー博士は言う。保守党政権のリシ・スナク首相が提案を主導した。政府は、喫煙規制が個人に健康上の利益をもたらすとともに、使用済みの電子タバコから環境に浸出する有毒化学物質を減らすことを期待している。

◎少しずつ煙草購入可能年齢を上げていく方向
 喫煙率が下がれば、タバコに費やす支出が節約され、医療制度の負担が軽減される。世界保健機関(WHO)の推計によると、喫煙によって医療費と生産性の低下で毎年1兆4000億米ドルの費用がかかっている。タバコに起因するあらゆる疾病は、医療制度への負担を不必要に増やしているのだ。
 昨年10月に発表されたイギリスの冒頭の提案は、2009年以降に生まれたすべての人へのタバコの販売を禁止するものだ。そうなれば今年15歳以下の人は、国内で合法的にタバコを買うことができなくなる。2027年からは、煙草製品を購入できる最低法定年齢が18歳から毎年1歳ずつ引き上げられ、例えば2028年の基準は20歳になる。 イギリス政府のこの戦略により2040年までに煙を知らない世代が確立される可能性が高まる。イギリスの動きは、ニュージーランドが2021年に発表した同様の法律に続くものだ。減税の財源を賄うためにタバコの販売が必要だったため、同国は禁止を撤回したが、政府は先月、使い捨ての電子たばこの禁止を目指すと発表した。

◎喫煙者のモデル化
 イギリス政府の政策は、昨年12月に発表されたモデル研究によって裏付けられている。この提案は、時間の経過とともに喫煙率と人々にどのような影響を与えるかを予測している。
 「悲観的」モデルでも、この政策により14〜30歳の喫煙率が2023年の13%から2030年には約8%に低下する可能性があると予測する。2040年までに、この年齢層のわずか5%が喫煙するだけになる。ベースラインシナリオでは、14歳〜30歳の8%が喫煙する。最良の「楽観的」なシナリオでは、2040年までに喫煙を開始する年齢層はわずか0.4%にまで下がる。この頃の若年層にとって、喫煙は今のドラッグと同じ程度に「不道徳な」準犯罪となるだろう。
 そして2075年までに、この政策が喫煙起因疾患を予防することで、数万人の命を救い、医療費110億ポンド(137億ドル)を削減てきることが推定されている
 これらの予測は確かな証拠に基づいており、質の高いものであると、バース大学のタバコ研究者アレン・ギャラガー博士は指摘する。

◎電子タバコの禁止も俎上に
 反喫煙先進各国は、2010年頃から若年層の間で急増しているトレンドである電子タバコも標的にしている。
 多くの人々は、喫煙に代わる、より健康的な選択肢として電子タバコを認識しており、これには実質的な証拠がある。
 電子タバコ自体が健康に害を及ぼすかどうかは長い間、論争の的となっており、その証拠は不確かだ。ただ、肺疾患を長年研究する、カナダ、マッギル大学ヘルスセンターのキャロリン・バグローレ博士は、電子タバコが肺やその他の臓器にダメージを与えていることは確かだと語る。

◎健康被害はゼロではない
 電子タバコは通常、ニコチンを含む液体で満たされた箱、液体をエアロゾルに変える発熱体、そしてフルーティーまたはデザート風味のエアロゾルのクラウドを吸い込むためのマウスピースで出来ている。吸引クラウドにはタバコやタバコに含まれる有毒化学物質のほとんどが含まれていないが、ニコチンは依然として有害だ。ニコチンは血圧を上昇させ、心臓や肺の病気のリスクを高め、子どもや青年の脳の発達を撹乱させる可能性があり、結果として注意力、記憶力、学習力が低下する可能性がある。
 さらに分かっていることの1つに、電子タバコの発熱体が吸入したエアロゾルに重金属を放出する可能性があるということだ。これらの粒子は、心臓病や呼吸器疾患のリスク上昇と関連しているという。

◎次は電子タバコが標的に、JT投資家は注意を
 つまり電子タバコも、決して健康にとって中立ではない。となると、紙巻きタバコの次に、電子タバコも禁止の標的になることは間違いない。
 日本では、日本たばこ産業(JT)が今年から2026年までの3年間で電子タバコに約4500億円を投資すると決めたという。座礁資産になる可能性が強い、と言える。
 JTは、株式市場では年間配当利回りが4.5%として人気が高い。
 しかし、それは永遠ではない。ひょっとすると10年、20年後には無配会社に転落しているかもしれない。長期投資を考える個人投資家は、この懸念を念頭に置くことを勧める。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202405150000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「大阪の28歳女性看護師が多数の老人たちから3億円も詐欺した事件は若者の復讐? その社会的背景を考える」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202305150000/

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