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2024年05月10日05:44

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分岐した種が交雑した雑種から新種になったアマゾンのドクチョウ;種の起源に新しい証拠

 新しい生物種は、長く続いた遺伝的隔離によって、ついに分岐群が元の群と生殖できずに(生殖しても生まれた仔に繁殖能力がなく)生成される。そうやって過去と現在のすべての種は、元の種から分岐して進化していった。

◎交雑種分化の新しい証拠
 これを、著名な進化論の提唱者チャールズ・ダーウィンは、『種の起源』の出版22年前の1837年に、ノートに「生命の樹」の絵(写真)を描いて示したことだ。
 種から発芽した樹はやがて上に伸びるに従い、次々と枝分かれをしていき、やがて大きな枝から中くらいの枝、さらに小さな枝へと分枝した大きな樹になる。「生命の樹」は、共通の祖先から新しい種が分岐するプロセスの比喩として生物学者によく利用される。
 だが一部の科学者は、木の枝同士が融合するように、古い種が混ざり合って新しい種が生じることもあるのではないかと考えてきた。このほど、その「交雑種分化」の証拠が示された。
 アメリカ、ハーヴァード大学などの研究チームがイギリスの科学誌『ネイチャー』2024年4月25日号に発表した。

◎南米アマゾンに棲むドクチョウの親種2種と交雑新種
 研究チームは、南米アマゾンに棲むドクチョウ属(Heliconius=ヘリコニウス属)のゲノムを比較した結果、ヘリコニウス・エレバトゥス(Heliconius elevatus)という種が、H.メルポメネ(H. melpomene=写真)とH.パルダリヌス(H. pardalinus)の交雑によって生じたことを見出した。エレバトゥスも2つの親種(H.メルポメネとH.パルダリヌス)も、南米の熱帯雨林で普通に見られるチョウだ。
 ドクチョウ属は花粉を食べる唯一のチョウのグループで、彼らがこの花粉を使って合成する「青酸配糖体」は、捕食者が美味しくないと感じる成分だ。彼らは、明るくコントラストの強い警告色(写真)で、自分の不味さをアピールして捕食を免れている。

◎200万年前に分岐したものが18万年前に交雑して新種に
 研究チームの解析によると、H.エレバトゥスの2つの親種は200万年前頃には分岐していたが、氷河期のアマゾンの熱帯雨林が生物多様性の避難所になっていた18万年前に2つの親種が交雑して新種としてのエレバトゥスが現れたという。
 研究者たちはこれまで2つの親種の交雑から生じた動物種を探し求めてきたが(ロバとウマの交配によって作られるラバには生殖能力がないので、新しい種が出来たわけではない)、今回の論文の著者らによれば、説得力のある例はわずかで、論争にもなっており、これまではっきりした結論は出ていなかった。
 多くの研究者に仮定されていながらほとんど実証されていなかったものを、研究チームは自然界で発見したのだ。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202405100000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「函館の旅(7):山野草の花と杉並木の函館山の登山」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202305100000/

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