悲嘆と虚無が、
夢と現のあいだで胸を踏んでいる。
風か水か、冷たいものが顔の横で畝っている。
寒い。寒い。冷たい。
闇に光が現れ、クリープの様に混ざり合う。
像を結ぶとレースのカーテンが形になって来て、
朝陽がヴォリュームを上げ始める。
にちようび。
からだから手足が生えて来る。
天井が日常を語り出す。
土から出た蝉の子の様だった意識は、
死装束を着てミンミン鳴こうと起き上がる。
生の光に、立つ。
PCの中の音楽を流そうと、
起動して彷徨いてたら、
グシャグシャなフォルダ内の隅に、
「地獄」と名付けられたファイルを見つける。
何だこりゃ。
クリック。
断片的に書かれた言葉。
しかし数年前の情景が、脳内で再上映され始める。
「あの頃のあれって、結構、辛かったのだな。
こんなの、書き残してたとは」
不意打ちのタイムカプセルみたいであったファイルを閉じる。
今も地獄は含まれている・・・
でも、聴きたかった曲を流して、
足裏のフローリングに生を感触をさがした。
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