プレジデント社
本日ご紹介する一冊は、2040年の日本
が直面する「働き手不足」問題を、リ
クルートワークス研究所主任研究員の
古屋星斗(ふるや・しょうと)さんと
リクルートワークス研究所がレポート
した一冊。
シミュレーションによると、2040年に
は日本全体で1100万人の働き手が不足
し、生活に必要なあらゆることを、自
分でやらなければならなくなると言っ
ています。
配送やゴミの処理、災害からの復旧、
道路の除雪、保育、介護などを本書で
は「生活維持サービス」と呼んでいま
すが、日本のあらゆる地域で、この生
活維持サービスが提供できなくなる、
そんな日が近づいているのです。
P60〜62で示された47都道府県の2030
年、2040年の「生活維持サービスの充
足率の推移」の表は衝撃的で、2040年
に充足率90%を超えているのは、東京、
千葉、神奈川、埼玉、大阪、福岡の6
つだけ。
その他の都道府県では、生活維持サー
ビスの深刻な不足が顕在化することが
予想されているのです。
都市部だからと言って、安心はできま
せん。
都市のイメージが強い京都は、2040年
の充足率がわずか58.6%。ワーストの
新潟県(58.0%)に迫っています。
この表を見るだけでも、未来の日本が
どうなるのか、予想できるのではない
でしょうか。
本書では他にも、各産業で予想される
人手不足の影響を示唆。企業や生活者
にどんな影響があるのか、詳しく解説
しています。
もちろん、悲観的な話ばかりではあり
ません。
後半では、この深刻な働き手不足を乗
り越えるための方策を4つ、指南して
います。
「機械化・自動化」
「ワーキッシュアクト」
「シニアの小さな活動」
「仕事におけるムダ改革」
なかでも、娯楽や趣味・コミュニティ
参加の感覚で結果的に誰かの困りごと
を解決する「ワーキッシュアクト」と
いうコンセプトが秀逸で、これからの
トレンドになりそうな気がしました。
最後の方では、この働き手不足に取り
組んでいる先端企業の事例をいくつか
紹介しており、これからのキャリア・
投資の参考になると思います。
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業種別の労働受給シミュレーションの
結果を見てみると、2040年には介護
サービス職で25.2%、ドライバー職で
24.1%、建設職で22.0%が不足する
ことがわかった
「みなが無人島に住むような」社会
最大の問題が、人が生活の維持にかけ
る時間が増え、結果として生活に一杯
いっぱいで仕事どころではなくなって
しまう社会
「労働の消費者の割合が歴史上最も多
い社会」を、私たちは迎えようとして
いる
今後シニア層の人口は2040年まで増加
を続けるが、それを牽引するのは85歳
以上の人口
充足率75%以下は31都道府県
島根県による「しまね女性活躍推進プ
ラン」では島根県の女性の現状が整理
されており、そこでは働く女性の割合
が全国1位であること、子育て世代の
女性の有業率が全国1位であることが
国勢調査をベースに報告されている
「荷物が届くかどうか」が、人が住め
る地域を決めるように
メンテナンスが必要な道路のうち78%
しか修繕できず、地方部の生活道路は
穴だらけに
人手不足で相次ぐバスの減便や路線廃止
今後、平均年齢が「60代半ば」の働き
手によって担われるサービスが、どん
どん出現してくる
2010年から2021年までの間、日本の
労働生産性は年率で+0.9%と、ほか
の先進国と比較しても堅調に推移
女性の就業率はアメリカよりも高い
ワーキッシュアクトをしている人が多
いのは、大都市圏居住者よりも地方居
住者
リモートワークを導入している企業は、
従業員の可処分時間を直接的に増やし
ていることになり、それはじつは労働
供給制約社会において重大な社会貢献
消費者が単なる消費者でいられないの
が労働供給制約社会
「働き手が神様」になる
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